ライター : 椛嶋 貴子

管理栄養士

「畑のキャビア」と呼ばれる「とんぶり」とは

ふわふわの「ほうき草(コキア)」を見たことがありますか?とんぶりは、収穫したほうき草の実の外皮をむき、乾燥させたもの。

実際にとんぶりを目にしたり味わったりした経験がある人なら、誰もが「キャビアによく似てる!」と思うことでしょう。「とんぶり」といえば、正式名称よりも「畑のキャビア」の通称のほうが有名かもしれません。(※1,2)

とんぶりの特徴

  1. プチプチとした食感が楽しめる
  2. 東北ではメジャーな食材
  3. 旬は10~11月
とんぶりは直径1~2mmの小さな緑色の実で、プチプチの食感が特徴です。主な産地が秋田県であることから、東北ではよく知られている食材のひとつ。クセがなく淡白な味わいで、刺身に添えられていたり、和え物で食べたりする機会が多いですね。

とんぶりの旬は秋の深まる10月ごろから春にかけて。ゆでた状態で瓶詰めや袋詰めして販売しているものや、味付けをした加工食品として手に入れられますので、一年を通して味わえます。

とんぶりが注目される理由は、キャビアに似た見た目だけではありません。実は、美容と健康面で注目すべき点の多い食材なんですよ。(※1,3)

ヘルシー食材!とんぶりのカロリーと糖質量

カロリー糖質量
とんぶり89kcal5.8g
(※4)
※100gあたりで算出
とんぶりのカロリーは、100gあたり89kcalで、チョウザメの卵の塩漬けであるキャビアに比べてローカロリーで塩分もなくとってもヘルシー。

とんぶりはキャビアのほかに、スーパーフードとしておなじみのキヌアにもちょっと似ていると思いませんか?実はキヌアもとんぶりと同じ、アカザ科植物の仲間です。どちらも、小さいですが身体にいい成分がたっぷり。日々の食事で、ぜひ積極的に摂りたいですね。(※3,5,6)

実はかなり優秀!とんぶりの栄養効果

とんぶりはあっさりと淡白な味わいなので「栄養があるのかな?」なんて思われるかもしれません。しかし、とんぶりはビタミンやミネラル、食物繊維などを多く含む、非常に栄養価が高い食材なんです。そんなとんぶりの主な効能をご紹介しますね。

栄養

  1. 抗酸化作用がある「ビタミンE」「サポニン」
  2. 便秘対策に役立つ「食物繊維」
  3. 皮膚や粘膜を健康に保つ「β-カロテン」
  4. 造血のビタミン「葉酸」
  5. 骨の健康を保つ「ビタミンK」
  6. 丈夫な骨をつくる「マグネシウム」
  7. 塩分の摂り過ぎを調整する「カリウム」
  8. 貧血対策ができる「鉄」
  9. 味覚を正常に保つ「亜鉛」

抗酸化作用がある「ビタミンE」「サポニン」

とんぶりに含まれるサポニンには、活性酸素を取り除いて血液中の脂肪やコレステロールが酸化されるのを抑えるはたらきがあります。

また、とんぶりには100あたりに4.6mgのビタミンEが含まれています。ビタミンEには強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を抑えることができます。とんぶりを食べると老化対策も期待できますよ。(※4,7,8,9)

便秘対策に役立つ「食物繊維」

食物繊維の含有量は、とんぶり100gあたり7.1g。食物繊維が多いとされるごぼうが100gあたり5.7gですから、とんぶりの食物繊維が非常に豊富なのが分かりますね。

食物繊維は、大腸内の細菌により分解されてビフィズス菌といった善玉腸内細菌のエサになります。その結果、善玉菌が増えて腸内環境を整えられますよ。腸内環境を整えると排便がスムーズになることも。とんぶりは便秘対策にひと役買う食材といえますね。(※4,10,11,12)

皮膚や粘膜を健康に保つ「β-カロテン」

とんぶりには、100gあたり800µgのβ-カロテンが含まれています。

β-カロテンは、体内でビタミンAに代わるプロビタミンAの一種。皮膚や粘膜を健康に保つはたらきがありますよ。脂溶性の栄養素なので、油と一緒に摂ると吸収率がアップします。意識して摂りたいときには、とんぶりに油を合わせて摂取すると良いですね。(※4,13)
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