ライター : 稲吉永恵

野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ

ひっぱりうどんとは?

「ひっぱりうどん」とは、はうどんの種類というより、食べ方のひとつです。乾麺を用い、ゆで上がったうどんを鍋からそのまま、納豆やサバなどで作るタレで食べる、つけ麺スタイルのうどんです。

ひっぱりうどんの語源

ひっぱりうどんの「ひっぱり」とは、みんなで釜や鍋からうどんをひっぱるというところからや、納豆が糸を引く姿からなど諸説あります。そのほかの言い方としては、「ひきずりうどん」「ひっぱりあげうどん」など、釜からうどんを出すことをイメージして名前がついたと言われています。

ひっぱりうどん誕生の経緯

発祥は、山形県の村山市戸沢付近です。この地域では、冬の寒い時期は炭焼きを生業としていて、山ごもりすることが多いといいます。炭焼きは火力の調整が非常に重要なため、作業中は釜のそばから離れられません。そこで、持ち寄った乾麺や、自家製の納豆、保存食であるサバ缶などを使い、あり合わせの材料で簡単に作ったのがひっぱりうどんの始まりと伝えられています。

なぜサバ缶が……?

1960年代、山形の名産品であるさくらんぼや桃を缶詰加工するためにマルハニチロ系列の工場が村山市にできました。マルハニチロの缶詰といえば、魚介系がほとんど。その流れから村山市でもサバ缶が広く販売されるようになりました。厳しい冬の間の保存食として一般家庭に浸透し、ひっぱりうどんの材料としても使われるようになったのです。

ひっぱりうどんのPR活動

ひっぱりうどんは、2000年辺りから郷土料理としてメディアに取り上げられたことで、ご当地グルメとして知られることになりました。

今では「ひっぱりうどん研究所」や「ひっぱりうどんのテーマソング」なるものが作られ、官民共同でPR活動に力を入れています。うどんの関連イベントに出展していることから知名度も徐々に増え、ひっぱりうどんをメインとしたイベントも開催されています。

「ひっぱりうどん研究所」では、家族でひっぱりうどんを食べて和やかに過ごすことを目指して、旧暦の大晦日に「年越しひっぱりうどん」を食べることを習慣づけることで郷土料理を伝えていく活動をすすめています。

ひっぱりうどんのレシピ

ひっぱりうどんの魅力は、やはり特徴的なつけだれです。非常用の缶詰食のサバや納豆を使ってタレを作っているため、簡単で早いというのも特徴のひとつ。実際によく使われているつけだれの材料と作り方を紹介していきます。

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