ライター : 稲吉永恵

野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ

のらぼう菜とはどんな野菜?特徴を詳しく解説

「のらぼう菜」とは主に関東地方で見られるアブラナ科アブラナ属の野菜で、西洋アブラナの一種。江戸時代から栽培されていたとされる伝統野菜なんです。この記事では、野菜ソムリエがのらぼう菜とはどんな野菜か、旬の時期や主な産地、栽培方法などをご紹介します。おすすめの食べ方もぜひ参考にしてください。

のらぼう菜の特徴が早わかり!記事のまとめ

  1. のらぼう菜とは2月下旬から4月中旬にかけて収穫されるアブラナ科アブラナ属の野菜で、西洋アブラナの一種
  2. 主に東京都あきる野市五日市地区、青梅市などの西多摩地方、埼玉県の比企郡小川町付近、神奈川県川崎市多摩区で栽培される
  3. 見た目は菜の花に似ているが、菜の花と違い苦味がなくほんのり甘味があってみずみずしく食べやすい
  4. ビタミン類やカリウム、カルシウム、鉄などのミネラルが豊富
  5. のらぼう菜は寒さに強く丈夫なのが特徴で、家庭菜園で育てやすい
  6. 塩を入れた湯でサッと下ゆでし、マヨネーズにつけてそのまま食べたり、和え物やおひたしにしたりするのがおすすめ。ゆでずにそのまま炒めたりパスタの具材にしたり天ぷらにしたりしてもおいしい

のらぼう菜は春に出回る伝統野菜

のらぼう菜とは、アブラナ科アブラナ属の野菜で、菜の花によく似た見た目が特徴です。旬の時期は2月下旬から4月中旬で、主に東京都あきる野市五日市地区、青梅市などの西多摩地方や埼玉県の比企郡小川町付近、神奈川県川崎市多摩区などで収穫されます。直売所や産地のスーパーなどで手に入りますよ。

江戸時代から栽培されていたとされる伝統野菜のひとつ

のらぼう菜は、江戸時代から栽培されていたとされる伝統野菜のひとつで「江戸東京野菜」に指定されています。のらぼう菜がいつ頃から栽培され始めたのかは不明ですが、江戸時代の古文書に記載されている「闍婆菜(じゃばな)」がのらぼう菜の原種と言われていますよ。

のらぼう菜という名の由来は、農民が年貢の取り立てを免れるために「野良にぼーっと生えていて何の役に立たないもの」と評したことからという説も。「野良坊菜(のらぼうな)」は飢饉の際に多くの民の命を救ったとされています。

菜の花と似ている?のらぼう菜の味わい

のらぼう菜の見た目は菜の花に似ていますが、菜の花と違い苦味がなく、ほんのり甘味があってみずみずしく食べやすいのが魅力です。しっかりとした茎と花芽を食べるため、ゆでたり炒めたりしても歯ごたえがあり存在感がありますよ。味わいもクセがなくさまざまな料理に使えます。

のらぼう菜の栄養素

栄養素含有量
(のらぼう菜100g当たり)
食物繊維(総量)3.2g
ナトリウム10mg
ビタミンA234μg
ビタミンB20.15mg
ビタミンB60.140mg
ビタミンC71mg
葉酸190μg
カリウム380mg
カルシウム76mg
1.1mg
のらぼう菜にはあらゆる栄養素が含まれています。特にビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、葉酸などのビタミン類やカリウム、カルシウム、鉄などのミネラルが豊富です。

のらぼう菜のビタミンCやカルシウムなどの成分量は茎よりも葉において高く、またゆでたあとは茎における栄養成分の損失が少ないという結果も出ています。(※1,2)

食べ過ぎは危険?

のらぼう菜の食べ過ぎが危険とされる理由はいくつかあります。のらぼう菜には食物繊維やカリウムなどさまざまな栄養素が含まれているのが魅力。ただ食物繊維の過剰な摂取は、鉄分やカルシウムなどの吸収を妨げるおそれがあります。下痢や便秘を招くこともあるので気をつけましょう。

またのらぼう菜に限らず野菜には多くのカリウムが含まれていますが、腎臓の機能が低下している場合はカリウムの過剰摂取には注意が必要です。高カリウム血症になると、しびれをはじめさまざまな症状を引き起こす場合があることも頭に入れておきましょう(※3,4)
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