ライター : 稲吉永恵

野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ

食材の旨味が凝縮!「煮こごり」とは

「煮こごり」という料理を聞いたことがありますか?"煮"という文字が使われている以上、煮物の一種……?と考える方もいらっしゃるかもしれません。煮こごりには、大きく分けて人工的に作るものと料理をする過程で自然と生まれるもの、2種類あるんです。

煮こごりは煮物を作った際にできる副産物

鶏肉や魚の煮物・煮付けを作って冷蔵庫で保存すると、汁(出汁)の部分がぷるんっと固まることがありますよね。これが煮こごりです。煮物を作る際にゼラチン質を含んだ食材を使うと、ゼラチンが汁を固めて、ゼリーのように仕上がります。

具体的な食材としては豚足や鶏の手羽元、ウナギ、穴子、エイ、ふぐ、ヒラメ、鯛などが挙げられます。ゼラチンは融解温度が低いため、口に入れるとなめらかで溶ろけるような食感を楽しめますよ。

ゼラチン質を利用し作られた料理も「煮こごり」と呼ぶ

副産物だけでなく、意図的にゼラチンによって冷やし固めて作る料理も、煮こごりと呼びます。ゼラチン質を豊富に含む食材を使ったり、粉ゼラチンや寒天で固めたりすることもあります。

粉ゼラチンは、動物の骨や皮から取られた食品なので、粉ゼラチンで作る煮こごりは自然に作られる煮こごりに近い食感になります。

一方で、寒天で作る煮こごりは粉ゼラチンを使ったものとは違い、やや固めの食感です。これは寒天の融解温度がゼラチンに比べて高いことが原因。自分で煮こごりを作るときは好みの固さや食感に合わせて選びましょう。

煮こごりを英語で言うと?

煮こごりを英語で言うと、"jellied broth""congealed food"などと表し、直訳すると"ゼリー化した出汁""凝結した食べ物"を意味します。

飲食店で料理として出されることも

日本ではお通しやおつまみ、箸休めとして提供されることが多い煮こごり。和食では主に醤油や生姜で味付けをした魚の煮こごりが出されます。夏場は暑くて溶けやすいので、寒天を入れて溶けにくくして作ることもありますよ。

海外にも日本で言う煮こごりのような料理が親しまれています。イギリスの「ウナギのゼリー寄せ」や、出汁に野菜などを入れて冷やし固めるフランスの「aspic(アスピック)」、ロバ肉を用いる中国の「肴驢肉(ヤオリューロウ)」など、多くの料理が世界各地で愛されていますよ。

女性の味方!煮こごりはコラーゲンたっぷり

煮こごりには「コラーゲン」がたっぷり含まれています。女性にうれしい効果がある食べ物として、名前を聞くことも多いのではありませんか?

食事でコラーゲンを食べようとすると何を食べればよいか分からず、サプリや粉末でコラーゲンを摂取している人もいるでしょう。しかし、煮こごりなら食べ物で簡単に摂取できますよ。煮物を作る副産物として生まれるため、作りやすいこともポイントです。(※1)

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