ライター : Uli

フードコーディネーター/パンシェルジュ/薬膳アドバイザー/レシピライター

オーバーナイト発酵は、初心者にも上級者にもおすすめ!

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オーバーナイト発酵とは、ひと晩かけてゆっくりパン生地を一次発酵させる方法です。冷蔵庫内でゆっくり発酵させるため、冷蔵発酵や低温長時間発酵とも言います。

オーバーナイト発酵の魅力は、ゆっくり生地を熟成させるため、小麦粉の旨味や風味が引き立ち、しっかり膨らむ生地を作れること。時間はかかりますが手間はかからず、失敗もしにくいため、パン作り上級者さんだけでなく初心者さんにもおすすめの方法です。

夜仕込みで朝焼く。パンの作り方

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調理時間 210
*冷蔵発酵させる時間は含みません
前日の夜に仕込んで、朝は簡単な作業だけですぐ焼ける丸パンです。シンプルな材料のみで小麦粉のおいしさを引き出します。焼きたてはしっとりふんわりやわらかく仕上がるのが特徴。丸めるだけの成形は作業しやすく、パン作り初心者さんでも手軽に作れますよ。

材料(6個分)

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コツ・ポイント

  1. 折りたたむ作業を繰り返して膨らむ生地を仕込む
  2. オーバーナイト発酵する直前に室温で生地をかるく発酵させる
  3. 冷蔵庫のなかでも温度が高めの野菜室で発酵させる

作り方

1.前日の夜

生地の材料をスプーンで混ぜる様子

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強力粉、砂糖、塩、ドライイーストをボウルに入れてスプーンでぐるぐる混ぜ、水(ぬるま湯)を加えてひとまとまりになるまで混ぜます。冬場は室温が低く発酵しにくいため、30~40℃のぬるま湯を使ってください。
生地をゴムベラで折りたたむ様子

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生地がざっくりまとまったら、ゴムベラに持ち替えて生地の端を中心に寄せるように、ボウルを回しながら30回折りたたみます。

※ゴムベラの代わりにカードやしゃもじでも作業できます。水分が多く手につきやすい生地のため、手で作業する場合は指先にサラダ油を塗っておくのがおすすめです。
生地を入れたボウルにラップをかけて休ませる様子

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ラップをかけて室温で20~30分置きます。生地内の水分がなじんで膨らみやすくやわらかい生地になります。
なめらかになってきた生地をゴムベラで折りたたむ様子

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再度ゴムベラで生地の端を中心に寄せるように、ボウルを回しながら30回折りたたみ、再度ラップをかけて20~30分休ませます。生地がなめらかにまとまってきます。
なめらかになった生地が入っているボウルにラップをかけた様子

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休ませて折りたたむ作業をもう一度繰り返します。時間がなければ二度目の折りたたみ作業は省略可能ですが、繰り返すことでよりしっとりやわらかい生地に仕上がります。
保存容器に生地を平らにならして入れた様子

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大きめの保存容器に生地を移して平らにならし、ラップをかけて蓋をします。

※底が平らな保存容器に入れると発酵の膨らみ具合を確認しやすいですが、ボウルのままでも問題なく発酵できます。密閉できる保存容器があればラップは不要です。
保存容器に入れた生地が少し膨らんだ様子

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室温で生地が1.2~1.5倍程度、ほんの少し膨らむまで20分から60分置きます。夏場は20分、冬場は40~60分が目安です。低温発酵させる前に室温に置いてイーストが働きやすい状態にしておくと失敗しにくいですが、時間がなければこの工程は省略可能です。
保存容器に入れた生地を冷蔵庫の野菜室でひと晩発酵させた様子

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野菜室に移して8時間から12時間置きます。生地が2倍以上に膨らめば一次発酵完了です。冷蔵室は温度が低すぎてイーストが活動しにくいため、温度が比較的高い野菜室に入れるのがポイントです。

2.当日

生地を6等分に切った様子

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野菜室から膨らんだ生地を取り出し、作業台に出して6つに分割します。
分割した生地を丸めた様子

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分割した生地を表面が張るように簡単に丸め、濡れ布巾をかけて室温で20~30分置きます。冷たい生地を室温に戻しながら生地をゆるめて成形しやすくします。夏場は20分、冬場は30分が目安です。
クッキングシートを敷いた天板に丸めた生地を並べた様子

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生地を手のひらでやさしく潰して空気を抜き、表面が張るように生地を4~5回折りたたむように丸めます。とじ目を指先でしっかりつまんで下にして、クッキングシートを敷いた天板に並べます。
生地に濡れ布巾をかけてオーブンで発酵させる様子

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濡れ布巾をかけて生地がひとまわり大きく膨らむまで、35℃で30~40分を目安に発酵させます。オーブンの発酵機能がない場合は、25℃前後の室温で1時間ほど置いてください。予熱時間が長いオーブンを使う場合は、早めにオーブン発酵を終えて室温に生地を出し、予熱を開始しておきます。
オーブンを190℃に予熱する様子

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オーブンを190℃に予熱します。
生地の表面に茶こしで強力粉をふりかける様子

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表面に濃い焼き色をつけたくない場合は、強力粉(分量外)を茶こしで表面に薄くふりかけます。お好みで包丁で表面に浅く切り込みを入れたり、ハサミで十字に浅く切り込んだりして見映えを良くするのもおすすめです。
オーブンで丸パンをこんがり焼いた様子

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生地を予熱完了したオーブンに入れ、190℃で約15分焼いて完成です。

トッピングでアレンジも

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生地を分割して休ませたあと、細長く丸めて縦に切り込みを入れ、ウインナーソーセージを押し込んで発酵させるとウインナーパンが作れます。からしマヨネーズやケチャップをトッピングして焼くと絶品ですよ。

コーン缶とツナ缶、ミートボールととろけるチーズなど、お好みのトッピングをのせるアレンジも楽しめます。

よくある質問

生地を仕込んでからどれくらいで焼けますか?

生地を夜の間に仕込んでおけば、朝は90~120分ほどで焼き上げまで完了できます。夏場は90分、冬場は120分が目安ですが、生地の状態によって二次発酵完了のタイミングが異なるため、時間に余裕がある日に作りましょう。もちろん朝仕込んで夜に焼くことも可能です。

二次発酵はスキップできますか?

二次発酵は必要でスキップできません。二次発酵をせず冷たい生地をそのまま焼くと、生地の中心に芯があるような食感になったり、膨らみが悪く目の詰まったパンになったりします。

二次発酵の時間を短縮できますか?

温度を上げると短縮可能です。オーブンの発酵機能があれば、45℃で20分を目安に発酵させてください。オーブンの発酵機能がなければ、コンロ周辺や予熱中のオーブンの近くなど、なるべく温かい場所に置いて様子を見ましょう。オーバーナイト発酵させた生地は、二次発酵が短めでもおいしく焼けるのが特徴です。

生地はどのくらい保存できますか?

生地は仕込んでから48時間まで保存可能です。12時間ごとに膨らみを確認し、容器いっぱいに膨らんでいればヘラで生地全体を押してガスを抜いてください。変色して異臭がする場合は傷んでいるおそれがあるため廃棄してください。

生地は冷凍保存できますか?

オーバーナイト発酵後の生地は、冷凍で2週間ほど保存可能です。成形した生地を金属トレーに並べ、ラップをふんわりかぶせて冷凍しましょう。凍ったらひとつずつラップで包み、フリーザーバッグに入れて冷凍保存します。

焼く際は、冷蔵庫で8時間、もしくは室温で1~2時間置いて解凍してから、基本の作り方と同じ手順で二次発酵をとって焼いてください。

焼いたパンはどのように保存すればよいですか?

生地に油脂類が入っていないパンは時間が経つとパサつきやすいため、当日中に食べない分は冷凍保存するのがおすすめ。粗熱が取れてからひとつずつラップで包み、フリーザーバッグに入れて冷凍してください。冷凍で2週間ほど保存可能です。冷蔵保存は食感が劣化しやすいので避けましょう。

オーブン以外でも焼けますか?

オーブンで焼くとパンらしいふわふわ食感に焼き上がりますが、トースターやフライパンでも焼く方法はあります。

トースターで焼くとふんわり焼けて香ばしさが出るのが特徴。焦げやすいためアルミホイルをかぶせて焼き、こまめに様子をチェックしてください。フライパンで焼くと平焼きパンのような見た目になり、表面がカリッとかための食感、中がもっちり食感に仕上がります。
道具焼き方仕上がり
オーブン190℃で15分しっとりふわふわ
トースター1000~1200W(230~250℃)で12~16分香ばしくふっくら
フライパン蓋をして弱火で片面8~10分ずつカリッともっちり

夜に仕込んで朝焼きたてふわふわのパンを堪能しましょう

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焼きたてのパンは強くつかむと潰れてしまうほどやわらかく、半分にちぎるともっちり引きのある生地です。表面の薄い皮の食感はかるく、中はふわふわでしっとり食感。噛むほど小麦粉の旨味を感じられ、クセがないため、サラダやスープ、ベーコンエッグなど幅広い料理と合うのも魅力です。

焼きたてパンが食べたいときは、生地を前日の夜に仕込んでおきましょう。朝起きて身支度や朝食のおかずを用意をしている間に発酵させれば、手軽に焼きたてパンが食べられますよ。

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