ライター : 相羽 舞

管理栄養士

マーガリンが「危険」「体に悪い」って本当?

マーガリンは、植物油脂を主体に作られる加工食品です。お菓子や料理作りに特化したもの、フレーバーをつけたものなどさまざまなタイプがあります。マーガリン類には、ほかにもより油脂の含有率が低い「ファットスプレッド」があります。

しかし、「マーガリンは危険」と聞いたことがある方も多いでしょう。実際はどうなのか、危険と言われる理由を詳しく見ていきましょう。(※1)

マーガリンが危険と言われる理由2つ

理由

  1. トランス脂肪酸が含まれている
  2. トランス脂肪酸への規制がある国がある

1. トランス脂肪酸が多く含まれている

マーガリンには、トランス脂肪酸が含まれます。トランス脂肪酸とは、液体の植物油脂を固体や半固体に加工する際におこなう「水素添加」という過程で生成されることがある不飽和脂肪酸のひとつです。

トランス脂肪酸は、日常的に摂り過ぎると健康に悪影響だということがわかっています。そのため、マーガリンは体に悪いといわれているようです。(※2)

2. トランス脂肪酸への規制がある国がある

脂質やトランス脂肪酸の摂取量が多く、健康への影響が懸念されている国では、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の含有量の表示義務や、食用油脂のトランス脂肪酸濃度の上限を設定している場合もあります。また、製造過程でトランス脂肪酸ができることがある「部分水素添加油脂」の使用規制をおこなっている国も。

日本では通常の食事において健康への影響は小さいと考えられ、トランス脂肪酸の表示義務や上限値の設定などは定められていません。(※2)

マーガリンのトランス脂肪酸は危険?

マーガリンのトランス脂肪酸量

2013年から2014年の調査では、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は100gあたり0.99g。一般的な1食分(ひとかけら:10g)中では、0.099gです。

実は2007年から2008年の調査では、マーガリン100g中のトランス脂肪酸量は8.7gでした。食品メーカーの企業努力や新たな加工技術によって、トランス脂肪酸の低減が叶っています。(※3)

トランス脂肪酸を一日にとってよい量

国際機関による専門家会合によると、「トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%に相当する量よりも少なくすること」が望まれています。一日の総エネルギー量を1,900kcalとすると、2g程度が相当します。

1食分(10g)のマーガリンに含まれるトランス脂肪酸量は0.099gとされているので、マーガリンが健康に悪影響を与えるとは考えにくいです。仮にマーガリンでトランス脂肪酸約2g分に達するには、毎日200g食べることになり、現実的ではありません。(※2,3)
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