ライター : 相羽 舞

管理栄養士

監修者 : 竹内 弘久

杏林大学医学部付属病院 外科医

お腹がすいてないのに食べたい……原因は?

お腹がすいていなくても、ストレス発散のために食べる、食べないと落ち着かないといった状態は、ストレスによる過食=エモーショナルイーティングが考えられます。

大量に食べることで悲しさや怒りなどの感情を発散させている人は、ストレスの根本的な解決にはなっていないため、習慣化してしまうおそれも。どのような人がなりやすく、続くとどうなるのか、詳しくみていきましょう。(※1)
竹内先生:
「ストレスによる過食がある場合は、原因となるストレスが改善すれば治る一過性のことが多いです。ストレスの原因を知り、その原因に対処することが重要ですよ。

自分で対処が困難な場合は心療内科でのカウンセリングが有効で、ほとんどの方が1回のみで過食症が改善します」(※2)

「エモーショナルイーティング(情動的摂食)」とは?

エモーショナルイーティング(情動的摂食)の原因は、ストレスや精神的な不満が関与していると考えられています。生きるために必要なエネルギーや栄養を摂取する “通常の食欲” と異なり、気分の落ち込みや不安など、否定的な感情やストレスを食べる行動で回避するのがエモーショナルイーティングです。

食べている間は一時的にストレスから解放されますが、食べていないとストレスから回避できなくなり、食べていないと落ち着かない状態になってしまいます。(※1,3,4)

ストレス過食を起こしやすい人の特徴

特徴

  1. ストレス発散がうまくできない
  2. がんばりすぎてしまう
  3. 感情をうまく相手に伝えられない
  4. まわりから「良い人」といわれる
過食は、ストレスを回避するための対処方法と考えられています。ストレスによる過食を起こしやすい人の特徴をみてみると、がんばりすぎたり、うまく感情を伝えられなかったりしてストレスをためやすく、そのストレスを発散できていない人がなりやすいと考えられます。(※1)

【セルフチェック】エモーショナルイーティング診断

チェックリスト

  1. 机やかばんの中に常にお菓子を常備している
  2. ストレスを感じると食べ物に手が伸びる
  3. 気晴らしを食べることに求める
  4. 味わうことなく、一度にたくさん食べてしまう
  5. 限界まで食べないと不安になる
  6. お腹がいっぱいになっても食欲が収まらない
  7. 食べたあとに罪悪感をおぼえる
エモーショナルイーティングでは、思考をストレスから食べる行動へ向けられるため、味わって食べるのではなく、気晴らしとして一度にたくさん食べてしまう傾向があります。限界まで食べても食欲が止まらず、食べ終わったあとに罪悪感をおぼえるという悪循環に陥るおそれが。

チェックリストに多く当てはまる人は、ストレスを感じたときにエモーショナルイーティングになっていないか、行動を振り返ってみましょう。(※1)

過食が続くとどうなる?

エモーショナルイーティングが習慣化すると、自分ではコントロールできなくなってしまいます。過食が続くと体重増加のほか、体に負担がかかり健康を損なうリスクも。

過食することがまたストレスとなり、食べたあとに吐き出すようになる人もみられます。この場合、摂食障害を起こすおそれもあり注意が必要です。異変が続く場合はかかりつけの医師に相談してみましょう。(※1,4)
竹内先生:「受診の目安は、以下に該当する場合です。

1. 体重増加が著しい(糖尿病、肥満症、Cushing 症候群、脳腫瘍などが隠れている)
2. 体重変化はないが精神面で不安がある、過食で体重増加させたいために下剤や利尿剤を利用している、食べたら必ず自分で嘔吐を誘発している(神経性過食症が隠れている)
3. 体重が減少している(甲状腺機能亢進症が隠れている)

さらに、異常な量の過食で嘔吐を認めた場合、嘔吐したくてもできない状態で腹痛を認めた場合は、緊急で医療機関への受診が必要です。急性胃拡張から胃穿孔や胃壊死を引き起こす可能性があります」(※5,6)

ストレス過食を防ぐには

ポイント

  1. 食べる前に、本当に食べたいものなのかを一度考える
  2. ひとりではなく、誰かと楽しく食事をする
  3. 打ち込める趣味をみつける
過食を引き起こさないためには、食べようとしているものと向き合ったときに、本当に今食べたいものなのか?必要なものなのか?と自問自答してみてください。いったん少しの時間をおくと、食べたい衝動を抑えることにつながるといわれています。

また、誰かとおいしいものを食べに行ったり、話したりして楽しく食事をする時間を持ちましょう。没頭できる趣味をみつけてストレス発散につなげるのもおすすめです。(※4)
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