ライター : macaroni 編集部

ラストを飾るのは“スペインのおふくろの味”

Photo by Nobuyoshi Miyamoto

料理研究家の植松良枝さんにご紹介いただくスペインバル風デリも、いよいよラストのレシピ! 最後を飾るのは「アルボンディガス」というバスク風のミートボールです。バスク料理に精通する植松さん曰く、アルボンディガスは「スペイン全土で愛されているおふくろの味」なのだそう。

「アルボンディガスはいわゆる肉団子の煮込み料理のこと。トマトで煮込むのが一般的で、バルでは一度に大量に作ったアルボンディガスを注文が入るごとに温め直して提供します」

Photo by Nobuyoshi Miyamoto

料理研究家/植松良枝さん 料理教室「日々の飯事」を主宰。季節を取り入れながら暮らすスタイルが人気を集めている。野菜作りは今やライフワークになっていて、野菜を多く使ったシンプルな料理が得意。著書に『バスクバルレシピブック』(誠文堂新光社)、『一度は使ってみたい野菜で、何度でもつくりたいレシピ』(プレジデント社)など
そんなアルボンディガスは、時間の経過とともに味がまろやかになってくる点が特徴なのだとか。どの段階で食べてもおいしく、まさに保存食向きの料理といえそうです。今回のレシピも3~4日程度は日持ちできるので、作り置きレシピを探している人はぜひチャレンジしてみてください。

さらにこのレシピでは旬の新れんこんとズッキーニを付け合わせにして、ボリュームと華やかさもプラス。見た目のインパクトがあり、おうちで手軽にスペインバル気分を味わいたい人にはぴったりな料理ですよ。さっそく作り方をチェックしていきましょう。

フライパンひとつで手軽!バスク風ミートボール

Photo by Nobuyoshi Miyamoto

「今回のレシピは、フライパンひとつで作れる点がポイント! 肉だねに焼き色をつける、野菜を焼く、トマトソースで煮込むという一連の流れをフライパンで完結させます。洗い物も少なく済むので、気軽にチャレンジしていただけると思いますよ。

バスク風の味わいを再現するためにぜひ取り入れてほしい調味料が『スモークパプリカ』というスパイス。スペインではハーブやスパイスをあまり多用しないのですが、スペインを代表する赤いソーセージ「チョリソ」には入っていることが多い、バスク料理には欠かせない存在です。

特徴はスモーキーなフレーバー。かつおぶしのような香りと表現する方もいますね。この独特な薫香と風味が、料理にコクと旨味をプラスしてくれます。さらに鮮やかな色合いから料理の色付けとしての用途もあり、今回のように赤い色を生かしたい料理に利用されることが多いです。もし用意するのがむずかしい場合はパプリカパウダーでも代用できますよ」

材料(4人分)

Photo by Nobuyoshi Miyamoto

・合い挽き肉……500g
・新れんこん……200~250g
・ズッキーニ……1本(大)
a. 松の実……大さじ3杯
a. 塩……小さじ2/3杯
a. 粗挽き黒こしょう……小さじ1/3杯
a. スモークパプリカパウダー……小さじ1/2杯
・オリーブオイル……大さじ2~3杯
・イタリアンパセリ……2~3枝分

<ソース>
・玉ねぎ(みじん切り)……1/2個(約120g)
・にんにく(みじん切り)……1片分
b.トマト水煮……1缶
b. 白ワイン……100cc
b. 水……100~150cc
b. 砂糖……小さじ1杯
b. 塩……小さじ1杯
b. スモークパプリカパウダー……小さじ1~1と1/2杯

作り方

1. 冷蔵庫から出したばかりの冷たいひき肉をボウルに入れ、(a)を加えてしっかりと練って混ぜ合わせる

2. 熱したフライパンにオリーブオイル大さじ1強を引いて火を弱める。1を厚さが1.5cmほどになるように、フライパンいっぱいに敷き詰めて中強火にして焼く。途中で裏返しながら両面に香ばしい焼き色がつくまで焼き、いったんトレイに取り出す

3. 肉は粗熱が取れたら、包丁やキッチンばさみなどで好みの大きさに切り分ける

4. フライパンに2の油が残っている状態で、ズッキーニと水気をふいた新れんこんを広げる。3~4分ほど香ばしく焼いたら取り出す

5. 4のフライパンに残りのオリーブオイルを入れ、玉ねぎとにんにくを炒める。透き通ってきたら、(b)をすべて加えて煮立たせる

6. 35に加え、煮立ったら弱火にしてフタをし、7~8分煮込んでなじませる

デリ風に仕上げるポイント

形やサイズを変える

Photo by Nobuyoshi Miyamoto

「本来のアルボンディガスは肉だねをひと口サイズの団子状に丸めますが、今回は時短も兼ねてパンケーキ型にして一気に焼きます。あとで煮込むので、中心部までしっかり火を通さなくてもOK。香ばしさをプラスするため、表面に焦げ目をつけることを優先しましょう。

肉だねがひっくり返しにくい場合は、フライパンのうえで4等分に切り分けても大丈夫です。時短だけでなく、料理を豪快に見せるテクニックなのでぜひ活用してみてください」

普段と違う素材の切り方をする

Photo by Nobuyoshi Miyamoto

「見栄えと食べ応えのある料理にするには、付け合わせも重要です。新れんこんは輪切りだと和食の雰囲気が強いので、デリ風にするならひと口大の乱切りに。シャキシャキとした新れんこんの食感がダイレクトに伝わって、おいしさを感じやすくなりますよ。ズッキーニは厚めの輪切りにすると見た目の豪華さだけでなく、ジューシーな食感をより楽しめます。

食材の味わいを長続きさせるには保存の仕方にも工夫を。付け合わせはアルボンディガスとは別の容器に保存すると、食感が損なわれずおいしさをキープできます」

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