ライター : FOODIE

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この記事は、三越伊勢丹が運営する、「FOODIE」の提供でお送りします。
夏から秋にかけて旬を迎えるいちじく。香りが豊かでやわらかな食感が特徴の果物は生で食べてもおいしいですが、砂糖で煮て加工するとその魅力がいっそう増します。今回は、昔ながらの食べ方であるいちじくの甘露煮の作り方を、プロが詳しく伝授。

教えてくれるのは、旬の素材を使った手仕事を得意とする料理研究家の小島喜和さんです。甘露煮にしたいちじくは冷蔵庫で1週間ほど保存可能なので、多めに仕込んでおくのもおすすめですよ。

おいしい甘露煮作りのポイント

①材料はシンプルに、素材のおいしさを引き立てる
今回、紹介するレシピの材料は、いちじく、砂糖、レモン汁のたった3つだけ。醤油を使ってコクを出すレシピもありますが、調味料を砂糖のみにすると、素材本来の持つ味わいをダイレクトに感じることができます。材料がシンプルなぶん、できあがった甘露煮をいろいろなものに合わせやすいというメリットも。

②いちじくは皮ごと使って煮崩れを防ぐ
食感が気になる場合は皮をむいても問題ないのですが、皮ごと使うことで長時間加熱しても形が崩れにくくなります。皮をむくよりピンクの色味が残るので、見た目がきれいに仕上がるのもポイント。

③長時間じっくり煮含めて、ジューシーな仕上がりに
おいしい甘露煮を作るための最大のポイントが、時間をかけること。ごくごくやさしい火加減で2時間ほど動かさずに煮ることで、とろけるほどやわらかく、煮汁をたっぷり吸い込んだジューシーな仕上がりになります。

それでは、実際にレシピを見ていきましょう。

【決定版】プロが教える「いちじくの甘露煮」の作り方

<材料>(作りやすい分量)

いちじく…4〜5個(約350g)
砂糖…100g
水…400ml
レモン汁…大さじ1と1/2

<作り方>

1. いちじくのヘタを除く
いちじくはさっと水洗いし、ペーパータオルで水気を拭き取って、ヘタの固い部分を切ります。
2. 鍋に水、砂糖を入れて中火にかける
鍋に分量の水と砂糖を入れ、中火にかけます。

「今回、砂糖はミネラルが豊富で茶色い洗双糖を使用していますが、好みのもので問題ありません。洗双糖を使うと少しコクのある仕上がりに、グラニュー糖だとややあっさりした仕上がりになります」
煮汁が沸いて砂糖が溶けたら、いちじくをそっと入れます。

「鍋はいちじくが重ならないよう一段で入るくらいの大きさのものを選んでください」
3. レモン汁を加える
レモン汁を加えます。

「レモン汁を加えることで、ただ甘いだけでなく、甘さの中にほどよい酸味が加わって、味が全体的に締まります」
4. 落としぶたをして弱火で静かに煮る
中央に穴を開けたクッキングシートをかぶせ、表面がぐらぐらしない程度のやさしい火加減で2時間ほど静かに煮ます。

「いちじくが傷つかないように、木ではなく紙の落としぶたを使用しましょう」
1時間ほど煮た様子。煮汁がトロッとしてくるまで動かさずじっくり煮る。
5. 火を止め、そのまま冷ます
2時間ほど煮たら火を止めてそのまま冷まし、味を含めます。

ふっくらトロトロ! 絶品いちじくの甘露煮が完成

時間をかけて丁寧に作ったいちじくの甘露煮。器に盛るとぽってりとしたフォルムがとてもかわいらしいです。ひと口食べるととろけるようなやわらかい食感にびっくり!

やさしい甘さの中に、いちじく独特の風味が感じられ、砂糖で煮ただけとは思えないほど味わいに深みが感じられます。少しずつ大事に食べたい、旬の味覚を堪能できる上品なデザートです。

「そのまま食べてももちろんおいしいですが、私はホイップした生クリームを添えるのがお気に入りです。アイスクリームと一緒に食べてもおいしいですよ。いちじくの旨みが溶け込んだ煮汁は寒天で固めて冷たいデザートにするのもおすすめです」

作った甘露煮は冷蔵庫で1週間ほど保存可能

できあがったいちじくの甘露煮は保存も可能。多めに作った場合は完全に冷めてから保存容器に入れ、乾燥しないよう表面にぴったりとラップをし、ふたをして冷蔵庫へ。1週間ほどを目安に食べ切りましょう。

時間はかかりますが、作り方はいたってシンプルないちじくの甘露煮。ひと口食べるとフレッシュのフルーツとはまた異なるおいしさにきっと驚くはず! ぜひ、旬のいちじくが手に入ったら、作ってみてください。
小島喜和さん
テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。http://kiwakojima.com/
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