ライター : ☆ゴン

「イタリアにはイタリア料理がない」とは?

この言葉の意味は、イタリア全土を代表する料理が少ないということです。世界中にはいろんなグルメがありますが、イタリア人にとっては自国の料理が一番。それもほかの州や地域の料理ではなく、生まれ育った土地の料理しか食べない人が意外と多いようです。

料理の好みや味付け、材料、調理法などの食文化においては、かなり保守的だとされます。そこからイタリア料理は、各地の郷土料理を集めたものと考えるほうが自然。この記事では、南北に長いイタリア半島を3つの地域に分けて、食文化の違いと代表的な料理を紹介します。

南イタリアの食文化の特徴

半島に18州あるイタリアは、地中海に浮かぶシチリア島とサルデーニャ島を含めて、20州で構成されます。そのなかの半島南部の6州、そこにシチリア島を含めた7州が南イタリアです。温暖な気候が野菜や果物の栽培に適しているうえ、海沿いの街では漁業が盛ん。

ナポリを中心とした南イタリアでは、料理にトマトとオリーブオイルをよく使います。南部発祥のペペロンチーノやボンゴレ、海鮮料理のアクアパッツァは日本でも人気。パスタやピザに使われるトマトソースも、ナポリで誕生したのだそうです。

南イタリアの代表的な料理

シチリア名物の野菜煮込み「カポナータ」

Photo by 稲吉永恵

なすやズッキーニ、パプリカ、トマトなどの夏野菜をワインビネガーで煮込み、塩と砂糖で味付けするシンプルな野菜煮込みです。シチリアの家庭料理ですが、同じ島内でも地域によって材料や作り方に違いが。パレルモ風やアグリジェント風など、いろんなレシピがあります。

日本でもおなじみのサラダ「カプレーゼ」

Photo by macaroni

正式名称は「インサラータ・ディ・カプレーゼ」で、カプリ島のサラダという意味。ナポリ湾に浮かぶ島で、ここから全国に広まったことからその名があります。バジルの緑とモッツアレラチーズの白、トマトの赤色がイタリア国旗と同じなのは有名な話です。

ナポリピッツァの代表格「マルゲリータ」

Photo by uli04_29

もちもちした生地の食感とおいしさを味わうため、具材をできるだけシンプルにするのがナポリピッツァの基本。そのなかの代表格とされるのがマルゲリータです。こちらもイタリア国旗を彷彿させる、同じ色合いのピッツァとして知られています。

中央イタリアの食文化の特徴

Photo by macaroni

首都ローマがあるラツィオ州と、フィレンツェがあるトスカーナ州を含む4州を、中央イタリアと呼びます。南部と北部の間にある地理的条件から、食文化は両地域の影響を受けた料理が多い傾向が。海や山がある州もあるため、農業や牧畜、漁業なども営まれています。

カルボナーラはローマの伝統的なパスタ、アマトリチャーナはローマ近郊で生まれた比較的新しいパスタ。またナポリピッツァとは一線を画す、四角いクリスピー生地のローマ風ピッツァも定評があります。もちろんフィレンツェにも、おいしい料理が盛りだくさんです。
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