ライター : ☆ゴン

雑魚だったゲンゲがいまや高級魚

四方を海に囲まれた日本は漁業資源が豊富なため、昔から魚が大事なたんぱく源のひとつでした。大衆魚から高級魚までさまざまな種類の魚があるなかで、スズキ目ゲンゲ科に属する深海魚がいます。世界中の海に広く分布し、その種類は200を超えるそうです。

日本近海に生息するゲンゲは8種類ほどで、食用となるのはノロゲンゲとタナカゲンゲ、シロゲンゲ、カンテンゲンゲの4種類。そのなかでもっとも味がよく、高級料亭にも登場するノロゲンゲについて解説します。

ゲンゲとはどんな魚?

「下の下」だからゲンゲ

ゲンゲの大半が北太平洋と北大西洋、北極圏、南極圏の冷たい海に分布し、深海の砂泥に生息します。ほとんどの種類が海蛇のよう細長く、体表がヌルヌルしてグロテスクな姿形が特徴です。ノロゲンゲは目がパッチリしていて、見た目はあなごのような感じ。

底引き網によくかかるため、対象魚とは違う外道として嫌われ、「下の下(げのげ)」と呼ばれていました。それがなまったのが名の由来なのだとか。雑魚として捨てるか産地で消費していたのが、意外とおいしいとTVで紹介されたのがきっかけで、一躍有名になるのです。(※1)

ゲンゲのおもな産地と旬

日本では日本海がおもな産地で、カニや甘えび漁の網に入っていることが多いです。とくに富山県では、ホタルイカや紅ズワイガニ、白えびに次ぐ名産品としてアピール。富山湾では9月~翌5月に収穫され、「幻魚」の字を当ててゲンゲと呼ぶそうです。

ゼラチン質の白身は傷みやすいため、昔は干物に加工していました。一方、冷蔵技術や輸送網が発達した近年は、鮮魚のゲンゲが関東に出回り、割烹や料亭のメニューに加わることも。全漁連が主催する、プライドフィッシュの富山ブランドにも選ばれています。(※1,2)

ゲンゲの食べ方と下ごしらえ

ゲンゲの一夜干しはそのまま炙って、酒のアテにするのが一番おいしい食べ方。鮮魚をぶつ切りにして具材にするみそ汁は、農林水産省による富山県の郷土料理として認定されています。煮付けや天ぷら、唐揚げなどもおいしいですよ。

ゲンゲの体表には、目に見えないくらいの小さなうろこがありますが、やわらかくて口当たりに支障ないのでそのままでOK。頭とえらを落として内臓を取り除き、腹の中と体表のぬめりをきれいに水洗いすれば、下ごしらえが完了です。

ゲンゲのおすすめレシピ3選

1. 定番の調味料でゲンゲの煮付け

和食の魚料理といえば、やはり煮付けが王道中の王道。酒と砂糖、しょうゆで作る定番のつゆが、ゲンゲにもベストマッチです。プルプルした白身は水分が多いので、味付けは濃いめのほうがよく合います。

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