日本の代表的な「なれ寿司」

滋賀県・琵琶湖周辺の「鮒ずし」

琵琶湖周辺で食べられている鮒ずしは、においがある郷土料理として、メディアに登場することも。琵琶湖で水揚げされる固有種ニゴロブナ、特に卵を持ったメスで作られたものが珍重されます。

鮒ずしは風味が強いため、薄くスライスして食べられます。地元ではお茶漬けとして食べることも多いのですが、ワインや日本酒との相性も抜群です。

石川県「かぶらずし」

石川県で作られるかぶらずしは、塩漬けしたかぶとブリを重ね、ニンジンなどの野菜と一緒に、米糀を混ぜた飯で漬け込んだもの。すしというよりも、漬物に近いイメージです。

地元では、今でも冬の郷土料理として作られており、正月やおめでたいときに食べられます。

岐阜県「鮎のなれ寿司」

岐阜県長良川流域で、鮎の保存食として作られてきました。塩漬けした鮎の腹に、炊き立てのご飯を詰め、約1年間発酵させます。

岐阜県以外にも、富山県、栃木県、滋賀県、兵庫県などでも作られた記録があり、それぞれの地域によって米麹を使ったりと、製法や味わいが違います。

秋田県「ハタハタずし」

日本海で獲れたハタハタを、酢漬けにして長期熟成させ、米、ショウガ、ニンジン、カブ、昆布と米麹を混ぜて発酵させます。

江戸時代ごろから、冬のハタハタを保存食として通年食べられるように作られたようです。一匹丸ごと使ったものや、切り身にしてつける漬け方があります。

和歌山県ほか「さば・さんまのなれ寿司」

さばやさんまを使ったなれは寿司、和歌山を始め福井県、滋賀県などで、現在でも受け継がれている郷土料理です。福井県では、さばをぬかに漬けて作る発酵食品「へしこ」を使ってすしにすることもあります。

つくり方、発酵期間のバリエーションも地域によりさまざまです。滋賀県では、30年以上熟成されたさんまのなれ寿司があるんですよ!30年モノになると、飯もさんまもドロドロに溶けて、ヨーグルトのような見た目になりますが、その味わいは熟成されたチーズに近いようです。

なれ寿司はクセになる発酵食品

なれ寿司は、ほかの発酵食品同様、独特のにおいと風味があり、慣れ親しんだ食文化圏以外の人は「おいしい」と感じにくかったり、慣れが必要な食べ物。

ただ、一度好きになってしまうと、その魅力にとりつかれてしまいます。旅先やお取り寄せなど、チャンスがあれば食べてみて、その魅力に触れてください。
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