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知っておきたい出汁のきほん
この記事は、三越伊勢丹が運営する、食メディア「FOODIE」の提供でお送りします。
和食の要といわれる「出汁」。せっかく手間暇かけて出汁をとるなら、素材選びにもこだわりたいものです。
そこで、今回は日本橋だし研究所の南出洋伸さんに、鰹節と煮干しの基礎知識を教えてもらいました。素材選びや保存方法を変えるだけで、出汁の美味しさは格段に変わるんです。
鰹節のきほん
【主な種類】関東は「枯れ節」、関西は「荒節」
「関東と関西では出汁が違う」といわれますが、鰹節においてはまず加工方法に大きな差があります。写真の手前が関東で使われる「枯れ節」、奥が関西で使われる「荒節」です。
荒節は表面に焼き目がついているため、香りが強いのが特徴。流通量は比較的多めです。
一方枯れ節は、荒節の表面を削りそこにカビをつけ天日干しする作業を繰り返し、中の水分をカラカラに抜いたもの。荒節よりも軽く硬い手触りです。さらに枯れ節の中には「血合い」を削った「血合い抜き」の節も流通しており、雑味が少ないのが特徴です。
【出汁の取り方】地域に合わせて、「素材」も「取り方」も変えるべし
関西と関東では削り方にも違いがあります。ザルの左にのっているのが薄削り(花がつお)、右にのっているのが厚削りの鰹節です。
鰹節と聞くと、左の薄削りの方を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はこれは本来、軟水が主流の関西圏で使用されてきた形。硬水が主流の関東では右の厚削りの方が濃い出汁が取れるのです。
「関西圏では、出汁は煮立てず取るのが一般的です。沸騰したお湯をざっとかけて瞬間的に出汁をとるため、表面積を大きくする削り方になりました。
一方、関東の硬水は出汁を引き出すのにやや時間がかかるので厚めの鰹節でしっかり煮出す必要があります。酸味、香りの強い関東の出汁は大豆の香りと相性が良いのが特徴です」
※ここでは主に関東方面で使われる硬度50以上の水を硬水、関西方面で使われる硬度40程度までの水を軟水と表記しています。
【保管方法】削る前の節は冷暗所で、削った後は冷凍庫で保管
鰹節の保存は、節をまるごと保持している状態か削ってある状態かで方法が変わります。
節をまるごと保持している場合は、昆布と同じようにビニール袋に入れ、密封しないで冷暗所に保管します。
一方、すでに削ってある状態の場合は、空気を抜いて密封し冷凍庫で保存します。一度削ってしまうと鰹節の香りがとびやすく、酸化も進んでしまうためです。使うときは戻さず凍った状態のまま湯にかけます。
【その他の種類】鰹だけでない!? マグロに鯖……「雑節」の世界
鰹以外の魚でできた節は「雑節」と呼ばれ、鰹節とは区別されます。とはいえ、味や風味が鰹節よりも劣るわけではありません。
鰹節や雑節は種類によってうまみの構成が違うためブレンドすることで無限に美味しく変化するのです。代表的な雑節を紹介します。
血合いが多く、鰹よりも香りは強め。香り高い出汁にしたいときにブレンドして使います。
鰹節よりもさらに上品で香りが良いとされ、京都で多く使われます。血合いを抜いたものは最高級の節といわれます。
甘みが強いのが特徴。出汁に甘さをプラスしたいときにブレンドして使います。
背や腹だけを使う鰹節と異なり、全身を節にするため複雑な味が出ます。
イワシよりも少しだけ身体が大きいため、身が大きく甘みが出ます。
煮干しのきほん
【主な種類】煮干しの出汁は、味噌汁や煮物の下味に
節よりもシンプルな製法で作られる煮干し。こちらはお吸い物ではなく、味噌汁や煮物の下味など、味が濃い料理のベースとして使われます。主な種類は、小さいものからちりめん、カエリ、小羽、中羽、大羽の5種。煮干しは大きくなるほど甘みやコクが増す傾向があります。
さらに、煮干しは千葉などの遠洋で取れるものを青口、瀬戸内や長崎などの近海で取れるものを白口と呼びます。
青口:香り、味ともに鮮烈で、こいくち醤油に合う出汁がとれる
白口:やわらかな風味でうすくち醤油に合う出汁がとれる
煮干しも鰹節同様ブレンドすることで味を楽しめるため、さまざまな魚を混ぜてみることがおすすめです。
【出汁の取り方・保存方法】水出しでも煮出しでも美味しくとれる
水出し・煮出しそれぞれの取り方を紹介します。
水出し
水に浸して、冷蔵庫で5〜8時間置く。お好みで頭部と腹部を取り除いてもOK。必ず煮干しを取り除いてから煮沸してください。
煮出し
水出しよりもやや臭みがでますが、より少ない量でとれるのがメリット。沸騰したお湯に入れ、弱火で10分加熱します。
酸化をさけるため、煮干しを保存する場合は密封して冷凍庫へ。保存料が入っていないものはとても傷みやすいため常温に放置しないようにしましょう。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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