ライター : ヤマモトマコ

製菓衛生士・現役パティシエール

しっとり濃厚!簡単チョコレートロールケーキ

Photo by ヤマモトマコ

しっとりとしたチョコレート生地と、口の中でとろける濃厚なチョコクリームがおいしいロールケーキのレシピです。初心者さんでもチャレンジしやすいように、生地の作り方からロールの巻き方までプロが詳しく解説します。コツをしっかり押さえて、美しい仕上がり、本格的な味わいを目指しましょう。

材料

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チョコクリームは完成してからすぐに使うこともできますが、しっかり冷やすことで格段になめらかな口あたり、安定した状態に仕上がります。時間がある場合は生地を焼く前日、最低でも2~3時間前にはチョコクリームを作って冷やしておきましょう。

作り方

1.下準備

クッキングシートを敷いた天板

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オーブンを190~200℃に予熱しておき、できあがった生地をすぐに流せるように、クッキングシートを敷いた天板を用意しておきます。
切り込みを入れたクッキングシート

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クッキングシートの四隅に写真のような切れ込みを入れると、天板にきれいに収まります。
ガラスの容器に入った純ココアパウダー、牛乳など

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泡立てた卵黄と合わせるココアペーストを作ります。純ココアパウダーに電子レンジ700Wで10~20秒加熱した牛乳を加え、ホイッパーでダマがなくなるまでよく混ぜます。
透明な容器に入ったココアペースト、はちみつ

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ダマがなくなったらはちみつ、サラダ油を混ぜて完成です。
ガラスのボウルに入った卵白、卵黄

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卵白は油分が混ざると泡立たなくなるのできれいなボウルを使いましょう。また、卵黄と卵白を分ける際に、卵黄が卵白のボウルに入らないようにしてください。

2.チョコレートクリームを作る

ガラスのボウルに入った溶かしたチョコレート

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耐熱ボウルに刻んだチョコレートを入れ、電子レンジ700Wで1分程度加熱し溶かします。
ガラスのボウルに入ったチョコレート、生クリーム

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生クリーム50ccとはちみつを耐熱容器に入れ、電子レンジ700Wで10~20秒ほど加熱。溶かしたチョコレートに2~3回に分けて入れます。
ガラスのボウルに入ったガナッシュ

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しっかりホイッパーで混ぜて乳化させ、写真のようなツヤがあるガナッシュを作ります。ここでしっかり乳化させないとザラっとした口当たりの悪いチョコクリームになってしまうので注意です。
ガラスのボウルに入ったガナッシュ、生クリーム

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ガナッシュに冷たい生クリーム120ccを混ぜて完成です。
ガラスのボウルに入ったチョコクリーム

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ラップをして冷蔵庫でしっかり冷やしましょう。

3.卵黄にグラニュー糖を入れ泡立てる

ガラスのボウルに入った卵黄、グラニュー糖

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卵黄にグラニュー糖の3分の1(20g)を入れ、電動ホイッパーの高速モードで2~2分半を目安に泡立てます。
電動ホイッパーで泡立てている卵黄

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時間はあくまで目安と考え、写真のように白くもったりするまで混ぜてください。ここでしっかり卵黄を泡立てておくと、メレンゲを作ったあとの作業がスムーズに進みます。

4.メレンゲを作る

ガラスのボウルに入った卵白、グラニュー糖

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泡立てた卵黄はひとまず置いておき、ホイッパー部分をキレイに洗ってからメレンゲを作ります。残っているグラニュー糖(40g)を一度に卵白に加え、高速で立て始めます。
電動ホイッパーで泡立てはじめた卵白

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高速で30秒ほど立てたら、すぐに低速に切り替えます。強くなめらかなメレンゲにするには、低速~中速でゆっくりキメを整えながら泡立てることがとても大切です。
ガラスのボウルに入ったなめらかなメレンゲ

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写真のような固さのキメが整ったメレンゲになればOKです。時間は3~4分を目安にしてください。

5.卵黄に薄力粉、ココアペーストを加える

キメの粗い泡立てた卵黄、グラニュー糖

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先に泡立てた卵黄のキメが粗くなっているので、低速で30秒ほど混ぜて整えます。ホイッパーはメレンゲ作りで使っていたものをそのまま洗わず使えばOKです。
泡立てなおした卵黄、ココアペースト

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キメがだいたい整ったらココアペーストを入れて混ぜます。完全に混ざっていなくても大丈夫ですので、手早く進めましょう。
薄力粉を加えた、卵黄を泡立てなおしたもの

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薄力粉を加え低速で混ぜます。高速で混ぜると薄力粉が飛び散るので注意してください。心配でしたら手で混ぜましょう。混ぜムラと粉のダマがなくなればOKです。

6.卵白と合わせる

卵黄、ココアペーストなどを合わせたものにメレンゲの一部を加える

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卵黄のボウルにメレンゲの4分の1程度を加えます。メレンゲはゴムベラで軽く混ぜてから使ってください。
メレンゲの一部をざっくり混ぜた卵黄、ココアペーストを合わせたもの

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ざっくり混ざれば大丈夫です。
メレンゲに加えたココアペーストなどが入った泡立てた卵黄

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メレンゲに卵黄ボウルのすべてを加え、ゴムベラで混ぜます。
ざっくり合わせている最中のロールケーキ生地

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奥からボウルの側面、そして前へゴムベラを大きく動かし、なるべく少ない手数でメレンゲを合わせます。ときどきボウルの向きを変えると混ぜ残しを防げますよ。混ぜれば混ぜるほどメレンゲの泡がつぶれるので、慌てず大きく丁寧に混ぜましょう。

7.オーブンで焼く

クッキングシートを敷いた天板に流したロールケーキ生地

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天板に生地を流し、カードやL字パレットで軽く平らにならします。やわらかめの生地なので、だいたい平らなら大丈夫。それよりも生地を触りすぎたり、時間をかけすぎるのは止めましょう。190℃で10~11分焼成します。
焼き上がったロールケーキ生地

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表面をそっと押してみて、水っぽい感触がなくしっかりした生地の弾力を感じられれば焼き上がりです。天板を布きんの上などで一度軽く叩き、蒸気を抜きます。
クッキングシートをまわりからはがした生地

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天板から生地を出し、焼き目を上にしてケーキクーラーの上で粗熱を取ります。写真のように、クッキングシートを生地のまわりからはがしておきましょう。
焼目を下にしたロールケーキ生地

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内巻きで仕上げるので、粗熱が取れたらひっくり返し、焼き目がついていない面にシワがつかないうちにクッキングシートを完全にはがしておきます。
ベーキングシートをかぶせたロールケーキ生地

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完全に冷めるまで、乾燥しないようにフワッと新しいベーキングシートをかぶせておきましょう。

8.巻く

焼目を上にしたチョコレート生地

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焼き目を上向きにして生地をクッキングシートにのせます。写真のように手前2~2.5cm程度を空けておくと巻きやすくなります。クッキングシートの下には滑り止めにシリコンマットを敷いています。
端をななめにカットしたロールケーキ生地

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手前、そして奥になる生地を斜めにカットします。カットすることで巻いたときに生地のおさまりが良くなります。
側面を少しカットしたロールケーキ生地

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両サイドはまっすぐにカットします。膨らみやすい側面の生地を処理しておくことで全体がフラットになり、巻いたときにツルっとした形になりますよ。
ガラスのボウルに入った泡立てたチョコクリーム

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冷やしておいたチョコクリームを8分立てにします。暑い時期は氷水を当てておくとダレにくく安心です。
チョコクリームを伸ばしたロールケーキ生地

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チョコクリームを手前を厚く、奥の巻き終わりは薄くなるように塗ります。
定規と使ってロールケーキを巻いている

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紙と定規を一緒に指で挟んで持ち上げ、手前5cmほどの生地をロールの芯になるように軽く折り込んで作ります。
シリコンマットの上で巻いているロールケーキ

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定規と紙を一緒に上に持ち上げながら左右均等に奥へ動かすと、ロールが自然と丸くなります。
シリコンマットの上で巻き終わったロールケーキ

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最後は手でそっと押さえて巻き終わります。
横から見たチョコレートロールケーキ

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写真のように、ロールの端が一番下に来ていればOKです。
定規で締めて形を整えているチョコレートロールケーキ

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定規で上部の紙をロールの下へキュッと差し込んだら、下部の紙を奥へ引っ張ってロールを締めて形を整えます。
側面をクリームでしっかり埋めたチョコレートロールケーキ

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紙を一度はがし、側面のチョコクリームを中にパレットナイフで押し込みます。こうすることで、カットした時に、クリームの中にすき間ができることを防止します。
ラップで包んだベーキングシートで巻いたチョコレートロールケーキ

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再び紙を巻いてその上からぴっちりラップで包みます。チョコクリームを締めるために、冷蔵庫で1時間以上冷やしましょう。
上にチョコクリームを絞って飾り付けたチョコレートロールケーキ

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切れ味の良いナイフを50℃ほどのお湯であたため、3~3.5cm厚にロールケーキをカットしたら完成です。お好みでクリームを絞ったり、チョコレートを飾りましょう。

コツ・ポイント

先に卵黄を立て、メレンゲをより良い状態で合わせる

別立て生地のできあがりは、どれだけ良い状態のメレンゲを合わせるかに大きく左右されます。そのため通常プロが別立て生地を作る場合は、卵黄と卵白を同時進行で泡立て、泡立て終わった直後の状態の良いもの同士を合わせます。

道具も限られる家で作る際は、泡が潰れやすいメレンゲの状態を優先しましょう。卵黄を先に一度泡立てておけば、メレンゲが完成したあとは卵黄に粉類やココアペーストを合わせてる時間だけで済み、より良い状態の生地が完成します。

メレンゲは立てすぎない、キメを整える

Photo by ヤマモトマコ

ロールケーキ生地のメレンゲは、ツノがふにゃっとなる程度のやわらかさが理想です。固さを求めるのではなく、細かいキメの整った状態を目指しましょう。しっかり立てると、生地のボリュームが出て良いんじゃないかと思うかもしれません。ですがメレンゲが固いと、結局せっかく泡立てたメレンゲを潰しながら混ぜ合わせることに……。

キメが整ったメレンゲは写真のようなやわらかさでもちゃんと膨らむ力を持っています。なめらかなので卵黄とも混ざりやすく、メレンゲへのダメージを最小限におさえることができますよ。

チョコクリームには高乳脂肪の生クリームを使用する

濃厚でリッチなチョコクリームに仕上げるには、乳脂肪率の高い生クリームを使います。おいしいのはもちろん、高乳脂肪の生クリームを使うチョコクリームは、ホイップ後の保形性が高く、ロールケーキのキレイな形がキープしやすいのがメリットです。

チョコレートをミルクやホワイトに変えたいなら、レシピのチョコレートの部分をそのまま変更してもらえば大丈夫。保形性のある、口溶けなめらかなクリームに仕上がります。ただし、同じレシピで作ると使用するチョコレートによってクリームの甘さが変わることだけは注意してくださいね。

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