ライター : macaroni 編集部

12月の手仕事:魔法瓶で簡単「黒豆」作り

Photo by Yasuaki Watanabe/UP inc.

おせち料理のひと品として、黒豆を手作りされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、やわらかくなるまで煮込む必要があるため、皮が破けてしまったり焦がしてしまったりと失敗することも多いと聞きます。時間がかかるのに上手にできないと、悲しくなってしまいますよね。

毎月、生活の知恵ともいえる手仕事と季節のレシピを教えてくださっているフードアドバイザーの神谷よしえさんは、「黒豆を炊くのは、まったく苦じゃない」といいます。そこで、連載の6回目は、よしえさん秘伝の簡単な黒豆の炊き方をご紹介します。

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フードアドバイザー・調味料ソムリエプロ/神谷よしえさん 大分県宇佐市出身。伝承料理研究家の母が設立した台所だけの建物「生活工房とうがらし」を継承。「ごはんはエール」をテーマに人と人を繋ぎ、産地と料理人を繋ぐ活動や国内外でおにぎりや調味料の講演やセミナーなどをおこなっている。趣味はおにぎりを握ること
「おせちのなかでも黒豆は人気のひと品。『まめに暮らす』という意味の縁起物として、黒豆は欠かさず入れるという方も多いですよね。

私は、黒豆がお店に並び始めると年の瀬を感じます。黒豆を炊いて、あれをやって、これをやって……ソワソワと年末モードになってしまいますね。でも、黒豆をいっぺんにたくさん炊いて人にお裾分けをするととても喜ばれるので、楽しい季節でもあります。良質の豆で炊いたときの艶感としっとりした味わいは格別です。

今回は、おせちに欠かせない黒豆を魔法瓶を使って炊く方法をご紹介します。びっくりするくらい簡単で、きれいにできますよ!」

火にかける時間は10分!黒豆煮のレシピ

Photo by Yasuaki Watanabe/UP inc.

調理時間:約2日(火にかける時間は約10分)
保存期間:目安は1週間~1カ月


「黒豆は温度が急激に下がると、皮が割れたりシワが寄ったりときれいな仕上がりになりません。魔法瓶に入れておくと保温効果で温度がじんわり下がっていくのですが、この間に豆がやわらかくなるんです。

魔法瓶は、普段使っているもので大丈夫。最近のものは、高性能で冷めにくくてとても便利ですよね。使い古したものや冷めやすくなった魔法瓶は、途中で温めなおせば十分使えます。広口のものなら、豆の出し入れがラクにできてさらに使いやすいですよ。

冷蔵であれば、一週間ほど保存が可能です。冷凍保存する場合はチャック付き袋に入れてしっかり密封することで1カ月保存できます。冷凍すると風味が落ちてしまうので、早めに食べてくださいね」

材料(作りやすい分量)

・黒豆……50g
・砂糖……50g
・しょうゆ……小さじ1杯
・水……500cc
・古釘(なくてもOK)……数本

「黒豆は、皮が薄く大粒で粒がそろったものがおすすめ。丹波産なんかがよいですね。見た目の美しい、もっちりとした噛み応えが味わえます。黒豆は、新しいものはやわらかくなりやすいが、古いものは硬くなってしまうので要注意です」

下準備

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・黒豆は、やさしく洗っておく
・砂糖、しょうゆ、水を鍋に入れ、沸騰させて火を止める。黒豆と古釘を入れて、1日(24〜30時間)置く
・魔法瓶に熱湯を入れて温めておく

「豆をつけ込むときに古釘を一緒に入れると、黒々としたきれいな艶のある仕上がりになります。数本は束にして、お茶パックに入れると便利。もちろん、鉄玉子を使用してもいいですよ。

ご自宅にない場合は、無理に入れなくても大丈夫。色は黒くはなりませんが、味に変わりはありません」

作り方

Photo by Yasuaki Watanabe/UP inc.

1. つけたおいた黒豆を汁ごと鍋に入れ弱火で炊く。沸騰したらアクを丁寧に取り、温めておいた魔法瓶に移して半日(6〜12時間程度)置く

2. 半日経ったら硬さをみる。硬い場合は再度鍋に移して、沸騰したら魔法瓶に移す。さらに半日置いて硬さをみて、やわらかくなっていたら鍋に戻す

3. 煮汁が半分になるまで煮詰める

4. 粗熱が取れたら密閉容器に移して保存する

「アクは雑味のもとになるので、その都度取り除きましょう。強火で煮込むと皮にしわが寄ったり破れたりしてしまうので火加減には注意してください」

Photo by Yasuaki Watanabe/UP inc.

「黒豆を指でつまんで軽くつぶれるくらいやわらかくなっていたら、煮詰めてOKのサインです。

完成後は、煮汁にしっかり浸して密封容器に入れて保存してください。豆が煮汁に浸っていないとシワが寄ったりカビたりする原因になります」

魔法瓶であっという間!小豆煮のレシピ

Photo by Yasuaki Watanabe/UP inc.

調理時間:約半日(火にかける時間は約5分)
保存期間:目安は1週間~1カ月


魔法瓶で簡単に黒豆を炊く方法を教えていただきましたが、じつは黒豆に限らずどんな豆でも上手に炊くことができるそうです。特に皮がやわらかい小豆は、黒豆よりもさらに短時間で作れます。

「寒くなるとぜんざいが恋しくて、小豆を炊きたくなりませんか?小豆なら黒豆よりももっと簡単に魔法瓶で炊くことができますよ。半日ほどできれいな小豆煮ができますし、少量のぜんざいを作りたいときは350ml程度の小さな魔法瓶でOKです」

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