カツカレーこそ王道を掲げる「金沢カレー」

Photo by 株式会社チャンピオンカレー

ステンレス製の舟形皿にご飯を盛り、オーソドックスな濃い目のカレールウをかける。そこにカツをのせ、上からソースをかける。脇に千切りキャベツを添え、先割れのスプーンかフォークで食べる。これが近年、その知名度を高めてきた金沢カレーの一般的なスタイルです。

元祖と言われているのが創業60周年を迎えた「カレーのチャンピオン」、火付け役と言われているのが「ゴーゴーカレー」。そのほかにも「カレーの市民アルバ」「ターバンカレー」などがありますが、すべてベースはカツカレー。

2005年頃から、このカツカレースタイルが金沢カレーと呼ばれるようになりました。日本のカレーライスの原型を留めながら個性を発揮している稀有な存在です。

次世代を担うカレーの登場に期待!

歴史に「もし」はないと言いますが、もしカレーが「カレー+ナン」の形でインドから直接伝わっていたら、国民食と称される地位は築けなかったかもしれません。

カレーが伝わってきた歴史の恵みに感謝しながら、札幌スープカレー、大阪スパイスカレー、金沢カレーと今を代表する個性的なカレーに続くニューフェイスの出現を期待したいですね。

【参考文献】
※1『別冊サライ』|小学館2000年4月16日号
※『カレーライスの誕生』|講談社2013年刊
※『ニッポン定番メニュー事始め』彩流社2013年刊

【おまけコラム】カレーライスの名コンビ福神漬はいつから?

カレーライスの薬味の定番と言えば福神漬ですが、いつこの名コンビが誕生したのでしょうか?福神漬は1886年(明治19年)に上野の酒悦から発売されました。酒悦は日本郵船に缶詰などを納入しており、その流れで新商品の福神漬もお試し用として渡されていたようです。

当時、日本郵船のヨーロッパ航路の船の食堂では、カレーライスが人気メニューでその薬味にはチャツネが使われていました。ところがそのチャツネが切れてしまい、窮余の策で、コックのお試し用として積んでいた福神漬を薬味として出したところ大好評。以来、定番になったとのことです。

日本郵船歴史博物館に残されている資料によれば、明治35~36年頃から福神漬がカレーライスの薬味として使われるようになり、好評のため1等客室用の食堂に限り、2~3等客室用の食堂では沢庵が添えられていました。

洋食でありながらご飯を使った料理だからこそ、その薬味には漬物が適していたというところでしょうか。そして福神漬が名コンビの地位を獲得した背景には、味はもちろん、白いご飯に添える赤い色が日の丸をイメージできることが、洋食でありながら国民食として愛されるようになった要因のひとつかもしれません。
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