ライター : macaroni 編集部

監修者 : 野﨑 洋光

「分とく山」総料理長

旬ならではの味!春香るたけのこご飯

Photo by とも花

旬の時期にしか味わえない、生のたけのこを使う炊き込みご飯です。ふわっと立ちのぼるたけのこと木の芽のさわやかな香りに、食欲をそそられますよ。たけのこのフレッシュなしゃっきり感に箸が進みます。生ならではの風味を損なわないアク抜き方法で、“たけのこらしさ”を存分に楽しめる逸品です。

教えてくれる料理人

Photo by 分とく山

「分とく山」総料理長 野﨑 洋光(のざき ひろみつ)さん 1953年福島県生まれ。武蔵野栄養専門学校卒業後、東京グランドホテル、八芳園を経て80年に東京・西麻布の「とく山」料理長に就任。89年に南麻布「分とく山」を開店し、現在、グループ店を含む5店舗を統括。各種メディアを通して、調理科学、栄養学をふまえた理論的な料理法に基づくわかりやすい和食を提唱。著書に『常備菜でつくる和のお弁当』(世界文化社)ほか多数

材料(4人分)

Photo by とも花

・たけのこ(小)……1本(150g)
・油揚げ……1枚
・木の芽……適量
・大根おろし汁……100cc(皮ごとすりおろし、しぼり汁を使う)
・水……100cc
・塩……2g
・米……2合
a.水……300cc
a.淡口しょうゆ……30cc
a.酒……30cc
a.塩……小さじ1/2杯

カロリーと糖質・塩分量(1人分)

エネルギー(カロリー):325kcal
糖質:121.3g
食塩相当量:2.9g

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

調理のポイント

・油揚げを細かく切ると米粒とよくなじむため、たけのこの食感が際立ちます。米と米との間に隙間を作り、べたつきを防ぐ効果も。油揚げを入れることで出汁がいらず、水と調味料だけで味が決まります。

・たけのこは食感を際立たせるため、厚めに切ります。味が浸みにくいことから、通常の炊き込みご飯より少し濃い味付けに。塩を加えることでたけのこの風味が際立ちます。

下ごしらえ(準備時間:15分 ※たけのこをおろし汁に浸す時間はのぞく)

たけのこの皮をむいて切る

Photo by とも花

たけのこは外側の厚い皮を2~3枚むき、穂先を斜めに切り落とします。縦に、深さ1~2cmほどの切り目を入れ、開いて皮をすべてむいていきます。根元のごつごつした硬い部分は包丁でこそげ取ります。

ここが気になるQ&A

編集部「穂先を斜めに切り落とすのは、何か理由があるのでしょうか」

野﨑さん「真っすぐ切るよりも斜めに切ったほうが、皮がむきやすいからです」

編集部「確かに、切り口の断面積が広がることで、むきやすくなりますね」

Photo by とも花

根元から1~2cmほどの硬い部分は切り落として取り除きます。

Photo by とも花

厚さ1cmほどのひと口大に切ります。穂先のやわらかい皮(姫皮)も使いましょう。

たけのこのアク抜きをする

Photo by とも花

おろし汁に水・塩を加えて、たけのこを2時間漬け込みます。

ここが気になるQ&A

編集部「たけのこのアク抜きに、大根のおろし汁を使いますが、米ぬかや米のとぎ汁を使う手順もよく見かけます。大根のおろし汁を使うのはなぜでしょうか」

野﨑さん「米ぬかや米のとぎ汁で、ただ火にかけただけではアクは抜けません。大根の酵素の働きと塩の浸透圧作用でアクが抜け、その後軽くゆでて使うことで歯ごたえ、香りとフレッシュな味わいが感じられます」

編集部「なるほど。大根の酵素の働き、そして塩もアク抜きに重要な役割を果たしているんですね」

アクが強いときは

Photo by とも花

上記の工程後、以下の手順でアク抜きをしてください。

・水500ccと米ぬか20gを合わせて火にかけ、約50℃にする
・水洗いしたたけのこを加えて10分置き、再び火にかける
・ひと煮立ちしたらそのまま1分間煮る。新しいお湯で洗ってザルにあげ、水気を切る

米ぬかの酵素を動かすためには、約50℃の温度が大切です。そのため50℃の汁に約10分浸すことで、アクがさらに抜けますよ。

油揚げを切る

Photo by とも花

油揚げはフードプロセッサーにかけ、みじん切りにします。フードプロセッサーがない場合は包丁で細かく切ってもかまいません。

Photo by とも花

熱湯をまわしかけて油抜きをし、きつく絞って水気を切ります。

作り方(調理時間:40分 ※炊飯する時間はのぞく)

1. 米を洗い水に浸し、ザルにあげる

Photo by とも花

米を洗って水に15分浸したら、ザルにあげて15分置きます。

2. たけのこを水洗いしてひと煮立ちさせる

Photo by とも花

たけのこを水洗いして鍋に入れ、水(分量外)を加えて火にかけます。

Photo by とも花

ひと煮立ちさせたら、ザルにあげて水気を切ります。

3. 早炊きモードで炊飯

Photo by とも花

炊飯器に米とaの水・調味料を入れてよく混ぜたら、たけのこと油揚げをのせて早炊きモードで炊飯します。

野﨑さん「通常の炊飯には浸水の時間が含まれています。すでに浸水して水切りしたお米なので、浸水時間を短縮する早炊き(高速炊き)モードで炊いてください」

4. 盛り付ける

Photo by とも花

炊き上がったら全体をサックリ混ぜて器に盛り、木の芽を添えます。

たけのこご飯で旬の味わいを楽しもう

大根のおろし汁を使うアク抜きや具材の切り方など、たけのこが持つ食感や風味を最大限にいかすためのポイントが詰まった野﨑さん流たけのこご飯。新鮮な生のたけのこが手に入ったら、ご紹介したレシピをぜひお試しください。

春の香りいっぱいのたけのこご飯で、旬ならではの味わいを堪能しましょう。
店舗情報
分とく山では、期間限定でランチ営業を行っています。
・分とく山 本店
おまかせコース:5,500円(税込)、11,000円(税込)、16,500円(税込)
・とく山
ふぐコース:16,500円(税込)、22,000円(税込)
取材・文/大河内美弥(macaroni編集部)
料理・撮影/とも花

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