ライター : macaroni編集部

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記事を書いたのは……

macaroni 編集部 エディトリアルフォトグラファー / 植松富志男 嫁にはまるで頭が上がらず、家での立場は飼い犬(トイプードル/14才)以下。嫁にいびられ、犬には噛まれ、それでも「編集部一の愛妻家」を自称する恐妻家

日本人なら醤油にこだわらなきゃ……!(使命感)

Photo by macaroni

海外の人にとって、日本のにおいとはすなわち醤油のにおいなのだそうです。羽田や成田で飛行機を降りると「お、醤油?」と思い、街に出て日本人とすれ違えば「醤油だなあ」と思うという。生まれてこのかた日本に住み続けて、そのように感じたことはまったくなかったのですが、つまりは鼻が慣れてしまっているのでしょう。

体臭が醤油ってのはちょっと受け入れがたい話ですが、日々の食事のほぼすべてに醤油を使っているのが日本人ですから、さもありなんとも思います。血の一滴、細胞のひとつひとつに醤油のにおいが染み付いていても、決して意外ではありません。

それくらい身近な調味料ですから、なんとなく「作ってみようかな」と考えちゃったんですね……。「日本人だし、醤油にはこだわるべきっしょ?」みたいな軽い気持ちで参加したのは、ある醤油メーカーのワークショップ。そんなこんなで下画像のボトルの中身を仕込んで、3年ほどの時間が過ぎました。

3年も寝かせてしまったわけ

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約3年熟成させた諸味が入ったペットボトル
週に1度、中身をかくはんする作業(棒を突っ込んでグリグリ混ぜ合わせる)をして、気づけば約3年。ワークショップでは「1年ほどで絞れるようになりますよ」と説明を受けていたんですが、「あと1週間寝かせておいたらもっとおいしくなるかもしれない……!」と欲をかくうち、予定よりもだいぶん時間が経ってしまいました。ちなみに、一般的には、四季の温度変化にゆだねる場合で1~2年熟成させるのが適切と言われています。

実は、3年の間にほかにも醤油を作っていて、そちらは1年が過ぎたところで圧搾し、生(なま)醤油を存分に楽しみました。それが想像以上のできばえだったため、「もっと熟成させたらどうなるの?」と、好奇心が増してしまったのも時間超過の原因です。ときどきお店で3年熟成と書かれた醤油を見かけるので、「3年までは大丈夫!」と裏付けなく思い込んでしまったのもあるなあ……。

人間ってのは自分がしでかしたことにいろいろな理由をつけて誤魔化してしまうものなんですね。

3年熟成(in 自宅)の醤油を味見してみると……

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今回は三脚に濾し布を吊るして圧搾しました
醤油の基本原料は大豆、小麦、塩。蒸した大豆と炒った小麦に種麹を加えて作った麹と塩水を混ぜ合わせたものが諸味(もろみ)です。その諸味を長期間発酵・熟成させたうえで、布などに入れて搾る。これが圧搾です。諸味を搾ることで、醤油と搾りかすに分離させるわけですね。

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簡単なようで、これがけっこう大変。大した手間はないんですが、とにかく時間がかかります。ぽちゃん、ぽちゃんとゆっくり落ちる滴が出なくなるまでひたすら待つ。じれったくて、手でギューっとやってしまいたくなるんですが、それをすると醤油が濁ってしまいます。

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待って、待って、ようやく滴が落ちきったのは、丸々24時間経過してから。そうして完成したのがこちらの生醤油です。以前搾った1年ものの醤油はもっとクリアだったんですが、やたらと濃厚。薄く注いだのに、皿の地肌がまったく見えません。これ、口に入れて大丈夫なんだろうか。

意を決してなめてみると……、

驚くくらい良い味で、拍子抜けしてしまいました。市販の醤油よりもまろやかな味わい。ほど良い塩気のなかに豊かな旨みが感じられます。ふだん使っているちょっと良い醤油と比べても、この生醤油の方が好きかもしらん……。あとはお腹さえ壊さなければ大成功です。

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火入れの様子。80度で30分加熱しました
その後は半分をそのまま、もう半分は火入れ※をして、ボトリングをして作業終了。帰宅したカミさんに味見をしてもらったら、具体的な感想はなかったものの、まあまあ気に入ったようでした。
※生醤油を加熱して滅菌すること。微生物を死滅させることで発酵が止まるので、味の変化を防げる。また、色の赤みと香ばしい醤油香が強まる

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味見だけしてそのまま廃棄という可能性も考えていたので、この結果はうれしいサプライズ。どちらの醤油も刺身につけて良し、料理の味付けに使って良しで、大好きなTKGにもよく合いました。

というわけで、今後1、2ヶ月は醤油を口にすることが多くなりそうです。たぶん体臭の醤油香が強まってしまうと思われますが、鼻が慣れている日本在住の皆さんが気づくほどにはならないでしょうからご安心(?)を。それでも万が一、想定以上の醤油香を漂わせてしまっていたら……、「おいしい醤油を食べているのね」と、笑顔で気づかぬふりをしていただければ幸いです。
写真・文/植松富志男(macaroni編集部)
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