ライター : macaroni 編集部

監修者 : 龍 慶介

てしま農園 代表

教えてくれた人

てしま農園 代表 / 龍 慶介さん
自衛隊のパイロット、大手広告出版会社と異色の経歴を経て、10年前に農業の世界へ。“植物のプロとお客様をつなぐ”をコンセプトとした『てしまの苗屋』を立ち上げる。初心者の方に植物を育てることの楽しさを伝えたいと、苗の丁寧な育成はもちろん、購入される方への説明や相談にも積極的に対応。失敗しにくい苗の販売と育成に力を注いでいる。

植物への愛情たっぷりの龍さんに、11月のベランダ菜園におすすめの野菜&ハーブと基本的な知識やアドバイスをいただきました。

寒さが本格的になる11月。水のやり過ぎに注意!

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龍さん:ぐっと気温が下がり寒くなる11月は、一般的に野菜の成長速度も緩やかになります。春に向けて菜園をお休みする方も多いかもしれませんが、注意点にさえ気を付ければベランダ菜園を十分楽しむことができますよ。

その注意点とは、ズバリ「水のやり過ぎ」。野菜の成長が緩やかになる=必要な水も少なくなるので、土の表面を見て水やりするようにしましょう。基本は1日1回の水やりですが、土の表面が湿っていればその日の水やりは不要です。

寒い時期はこう乗り切る!冬のベランダ菜園の裏技

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龍さん:寒い時期は野菜が弱ってしまわないか心配になりますよね。簡易トンネルを作ってベランダ菜園ならではの寒さ対策をするのがおすすめです。

<簡易トンネルの作り方>
1. ポリ袋(または不織布)を用意する
2. 日が落ちる15時以降に、プランターにポリ袋を被せる
3. ポリ袋の裾を、洗濯バサミでプランターのフチに止める


簡易トンネルを設ければ、特に冷える夜間でもトンネル内の空気が2~3℃高くなります。成長を促進させることができるため、早期収穫にも効果的。ただし気温が上がる日中は蒸れてしまうので、外すことを忘れないようにしましょう。蒸れを防止するために、袋の底(被せた場合は天になる部分)に空気穴を数カ所あけておくとよいですね。

また、日の当たり方も野菜の成長には重要です。特にマンション住まいの方は、できるだけ日の当たる場所に置ける工夫を。光合成によって成長が促進されるので、木棚や室外機の上に置くというのもひとつの手です。ただし室外機の前に置くのは厳禁。室外機の冷風で植物が乾燥してしまい、管理がむずかしくなります。

ベランダ菜園の11月のおすすめ野菜は「ペコロス」

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ペコロスって?11月に植えるといい理由は?

龍さん:ペコロスは、直径3~4cmサイズの極小玉ねぎの総称です。専用品種もありますが、極小サイズになるような育て方をすれば、どの品種の玉ねぎでもペコロスとして栽培が可能です。

ペコロス/玉ねぎの苗は、9月にご紹介した九条ねぎと似ています。ここで突然ですが質問です。みなさんは長ねぎと玉ねぎの違いってわかりますか?「長ねぎは葉を食して、玉ねぎは根を食す」と思った方は、惜しい!

じつは玉ねぎの丸い玉の部分は、根ではなく葉の一部。長ねぎの白い部分に当たるところが、栄養によって肥大化して丸くなっているんですよ。

玉ねぎは気温が高いうちに植え込むと、早く成長しすぎて収穫時期の春先にとう立ちします。とう立ちするとどうなるかというと、玉の中に芯ができて食感や味が落ちてしまうのです。そのため、玉ねぎは気温が下がりしっかり寒くなった11月に植えるのが適しています。

ペコロスを上手く育てるコツは?

栽培に適した環境

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龍さん:ペコロスは日差しを好む植物です。ブロックや棚を利用するなどして高い位置に置き、できるだけ日当たり、風通しのよい環境で栽培します。

寒冷地でペコロスを栽培したい場合は、寒さに強い品種の苗を利用するとよいです。
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