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オープン直後から大盛況
2017年に店を開くと、当初は想像以上の賑わいを見せた。当時は近くに工場があり、その広大な駐車場を無料で借りることができたことも追い風となった。最大20台ほど停められるスペースは、車社会の松阪において大きな強みとなり、客足を支えた。
しかしその駐車場は後に住宅地へと変わり、利用できなくなってしまった。現在は店舗近くの限られたスペースに頼らざるを得ず、駐車場の問題は課題として残っている。
しかしその駐車場は後に住宅地へと変わり、利用できなくなってしまった。現在は店舗近くの限られたスペースに頼らざるを得ず、駐車場の問題は課題として残っている。
店名「まるちゃん」に込められた思い
「まるちゃん」という店名には、深い由来があるわけではない。宮崎さんは「覚えやすくて親しみやすい名前にしただけ」と笑う。だが、広島には「◯◯ちゃん」と名のつくお好み焼き店が数多くあり、その土地の文化に馴染んだ響きがある。結果的に「お好み焼き屋らしい名前」として受け止められ、地元の人にも自然と浸透していった。
病気をきっかけに生まれた決断
大きな転機となったのは、3年前に宮崎さんが大動脈解離という大病を患ったことだ。その時、一度は「店を閉めよう」とまで考えたという。しかし、常連客たちの「治ったらまたやってほしい」という声が背中を押した。
復帰後はメニューを大幅に絞り込み、現在の「広島焼き」と「ねぎ焼き」に専念する形となった。トッピングも同時に削減し、看板料理に集中することで、本場の味を提供するという方向性を強めたのである。
復帰後はメニューを大幅に絞り込み、現在の「広島焼き」と「ねぎ焼き」に専念する形となった。トッピングも同時に削減し、看板料理に集中することで、本場の味を提供するという方向性を強めたのである。
客層に広がる「広島焼き」への期待
「鈴鹿や四日市、伊勢、津など、遠方からもわざわざ来てくれる」と宮崎さん。現在も客層の半分は、広島出身の人々や広島から出張で訪れる人たちである。「広島で食べておいしかったから、三重でも食べられないかと探して来る」という観光帰りの客も多いという。
広島焼きが持つ郷愁の力が、地域を超えて人を呼び寄せている。一度訪れた人が友人や家族を連れて再来店するケースも多く、口コミで広がっていくスタイルが定着している。こうした「紹介による広がり」が、まるちゃんの安定した集客につながっているのだ。
広島焼きが持つ郷愁の力が、地域を超えて人を呼び寄せている。一度訪れた人が友人や家族を連れて再来店するケースも多く、口コミで広がっていくスタイルが定着している。こうした「紹介による広がり」が、まるちゃんの安定した集客につながっているのだ。
広島人が集う“憩いの場所”としての役割
店内の壁には、広島にゆかりのある一般の人々のサインが並んでいる。広島ではお好み焼きは日常食であり、週に3回以上食べる人も少なくないという。松阪や三重県内に移り住んだ広島出身者たちは、「本場の味」を求めて自然と「まるちゃん」に足を運ぶ。
かつては企業幹部など広島出身の人々が仲間を連れて来店し、広島焼きを囲んで盛り上がる姿が頻繁に見られた。インターネットで「松阪に広島焼きが食べられる店がある」と知って訪れる人も多く、広島人にとってはまさに“メッカ”のような存在であった。
かつては企業幹部など広島出身の人々が仲間を連れて来店し、広島焼きを囲んで盛り上がる姿が頻繁に見られた。インターネットで「松阪に広島焼きが食べられる店がある」と知って訪れる人も多く、広島人にとってはまさに“メッカ”のような存在であった。
三重における本格広島焼きの希少性
三重県では「広島風」をうたう店はあるものの、鉄板を使い、目の前で一枚ずつ焼き上げる本格的な広島焼きを提供する店は少ない。
「この辺りでは、これまでスーパーの総菜やお祭りの屋台くらいでしか食べられていなかった」と宮崎さんは語る。だからこそ、本場のスタイルを再現した「まるちゃん」の存在は、広島焼きを初めて体験する三重県民にとっても、特別な意味を持つものになっているのであろう。
「この辺りでは、これまでスーパーの総菜やお祭りの屋台くらいでしか食べられていなかった」と宮崎さんは語る。だからこそ、本場のスタイルを再現した「まるちゃん」の存在は、広島焼きを初めて体験する三重県民にとっても、特別な意味を持つものになっているのであろう。
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