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住宅街でひっそりと営業する本場の広島焼き店
店を切り盛りするのは宮崎眞智子さん。いただいたお好み焼きは本格的で本場の味だったため広島出身かと思ったのだが、地元は松阪だという。この味に惹かれて広島出身者が足繁く通う人気店となった。どのような経緯で「まるちゃん」をオープンするに至ったのか。詳しい話を宮崎さんに伺った。
「外で働けないからこそ、自宅でできる仕事を」
その相談相手となったのが、共通の趣味である「ボウリング」で知り合った広島在住の友人たちだった。その強い縁が後に自身の人生を大きく動かすとは、当時は想像もしなかっただろう。20代の頃、旅行で訪れた広島で食べたお好み焼きの味に感動した経験もあり、友人から「広島焼きなら歳を重ねてもできる」と背中を押された。さらにお好み焼き店を経営する友人から「うちで勉強したらいい」と温かい言葉ももらい、挑戦への道が開かれたのである。
「家付き店舗」との出会いで一気に現実味
「ここなら家でできるからいいかな」と考えた宮崎さんは、友人からの助言と広島焼きの魅力を胸に、飲食店を始める決意を固めていった。
広島焼きの技術習得──友人の店と「おたふくソース」からの学び
開業のための準備期間──2016年からの本格始動
広島から取り寄せる本場の食材
「粉も違うし、麺も違う。キャベツは地元で手に入るけれど、イカ天などは広島特有。だから広島から全部取り寄せることにした」と宮崎さんは語る。
鉄板に関しても、広島焼き専用のものをわざわざ広島から購入。特にイカ天は「本場の味に欠かせない」と強調し、通常はトッピング扱いのものを、同店では無料で提供している。こうしたこだわりが、松阪で食べられる「本物の広島焼き」を支えているのだ。そして翌2017年、ついに「まるちゃん」はオープンを迎えることとなる。
オープン直後から大盛況
しかしその駐車場は後に住宅地へと変わり、利用できなくなってしまった。現在は店舗近くの限られたスペースに頼らざるを得ず、駐車場の問題は課題として残っている。
店名「まるちゃん」に込められた思い
病気をきっかけに生まれた決断
復帰後はメニューを大幅に絞り込み、現在の「広島焼き」と「ねぎ焼き」に専念する形となった。トッピングも同時に削減し、看板料理に集中することで、本場の味を提供するという方向性を強めたのである。
客層に広がる「広島焼き」への期待
広島焼きが持つ郷愁の力が、地域を超えて人を呼び寄せている。一度訪れた人が友人や家族を連れて再来店するケースも多く、口コミで広がっていくスタイルが定着している。こうした「紹介による広がり」が、まるちゃんの安定した集客につながっているのだ。
広島人が集う“憩いの場所”としての役割
かつては企業幹部など広島出身の人々が仲間を連れて来店し、広島焼きを囲んで盛り上がる姿が頻繁に見られた。インターネットで「松阪に広島焼きが食べられる店がある」と知って訪れる人も多く、広島人にとってはまさに“メッカ”のような存在であった。
三重における本格広島焼きの希少性
「この辺りでは、これまでスーパーの総菜やお祭りの屋台くらいでしか食べられていなかった」と宮崎さんは語る。だからこそ、本場のスタイルを再現した「まるちゃん」の存在は、広島焼きを初めて体験する三重県民にとっても、特別な意味を持つものになっているのであろう。
広島焼きとネギ焼きのみのシンプルなメニュー
メニューの変遷〜豊富なトッピングから絞り込みへ〜
そうした状況の中、提供スタイルを見直すことになった。人気のホルモン焼きそばなどもあったが、徐々にメニューを整理していった。
「広島に帰らなくてもいい」と思える味を届けたい
「やっぱり本場の広島焼きがここで食べられるということを知ってほしい。みんな、我慢できずに広島へ帰るって言ってたけど、ここで食べればもう帰らんでもいいわって言ってくれる。広島焼きのおいしさをもっと広めていきたい」
宮崎さんの言葉からは、広島焼きをただの料理としてではなく、文化として守り、伝え続けたいという強い決意が伝わってきた。松阪で本格的な広島焼きを味わいたいなら、訪れるべき店であることは間違いない。