ライター : 白井シェル

フリーライター

ぶどうの里からワインの里へ。「都農ワイン」とは?

都農ワインは、宮崎県都農町で製造されている日本ワイン。イギリスで毎年発行されているワインの専門書「WINE REPORT(ワインレポート)」の「もっともエキサイティングなワイン100選」にも選ばれたことがある、世界的に評価されているワインなんです。

「都農ワイナリー」がある宮崎県都農町は、亜熱帯で湿度が高く、台風が多いことから、ワイン造りには適さない地域だと言われていました。

しかし今では、地域の特色を生かし、都農ならではの風味を持つおいしいワインを造ることに成功。ワイナリーがあることで、有名な場所になりました。では、世界でも高評価の日本製ワインが誕生した過程とはどういうものだったのでしょうか?

都農ワインが誕生した「都農ワイナリー」の歴史

人口13,000人足らずの町である宮崎県都農町は、都農ワインが生まれた「都農ワイナリー」がある場所。宮崎市から車で北上すること1時間の小さな町です。昭和の時代より祖父から父へと引き継がれてきたぶどう園がある町でしたが、以前はワインを製造していませんでした。ワイン造りはもともと、小さな町の町おこしがきっかけだったのです。

小さな町おこしから、世界レベルのワインが誕生

都農町ではもともと生食用ぶどうの栽培がおこなわれてきましたが、ワイン造りは平成元年の町おこしが始まりです。ワイン造りに精通している人がいなかったため、ブラジルでワイン造りの経験がある小畑暁(おばたさとる)さんに委託。都農オリジナルのワイン造りがスタートしました。

しかし都農町は気温が高く、土にミネラルが不足しているなど、ワインには適さない土壌のため、すぐにワインを造ることはできません。土壌を根本的に改善するため、研究や試行錯誤を重ね、徐々にワイン造りに適した土地へと変えていきました。そして平成8年にはロゼワインと赤ワイン3万本以上出荷。都農ワインというブランドが確立していきます。

ワイナリー情報

都農ワインの原材料。「都農ぶどう」栽培へのこだわり

おいしいワインを作るには、ワイン造りに適したおいしいぶどうを育てることが大切です。都農ワインはどのようなぶどうを作っているのでしょうか。ここでは都農ワインの原材料である「都農ぶどう」を栽培するうえでこだわり抜いた土壌や品種、栽培方式についてご紹介します。

土へのこだわり

都農町は台風や湿気が多い気候、火山灰性の土地でミネラル分が少ないということで、ワイン造りには適していない場所と言われていました。そこで、土壌改良から着手。生ゴミと鶏糞を主成分とした堆肥を使うことで、ワイン用ぶどうが元気に育つミネラル分の高い土壌を作りました。

品種のこだわり

都農町ではワイン造りを始める以前から、キャンベル・アーリーを筆頭にマスカット・ベリーAやデラウェアというぶどうを生食用として栽培してきました。平成6年よりワイン専用品種のシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーといった新しい品種にも挑戦。どの品種を使ったワインであっても、都農ワインらしい渋みの少ない独特の香りと穏やかな味わいにまとまっています。
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