ライター : noranora69

「ポタージュ」ってどんな意味?

「ポタージュ(potage)」はフランス語で、フランスではスープ全般を指す言葉です。フランス語で「ポ」は鍋を意味し、鍋で食材を煮込んでブイヨンを作ることから来ています。 ですので、フランスでは「コンソメ」「ブイヤベース」「ヴィシソワーズ」「ビスク」「ポトフ」もすべて「スープ」なんですね。
また、とろみのついた汁はフランスでは「ポタージュ・リエ(potage lié)」と言い、澄んだ汁のことは「ポタージュ・クレール(potage clair)」と言います。「ポタージュスープ」と呼ぶと「スープスープ」という意味になってしまい、間違った使い方になるんだとか。

「スープ」と「ポタージュ」の違いは?

「スープ(soup)」は英語です。元々はヨーロッパの料理でパンに肉や野菜を煮込んだ鍋料理、ワインやアップルシードルなどの果実酒を使ってふやかして食べるおかゆのような料理のことを呼んでいました。
15世紀に入ると、とろみのある汁は「ポタージュ(potage)」とイギリスなどでは呼ばれるようになりました。「ポタージュ」は「ポット(pot、鍋)」から派生した、鍋に入っているものという意味の言葉です。イギリスではポタージュは複数の食材を煮ることで出たダシのことを指し、そこからさらに転じて「ポリッジ(porridge、穀物のおかゆ)」という料理も誕生しました。
イギリスでは「スープ」「ポタージュ」はきちんと区分されずにレシピ本でも長い間使われてきましたが、ポタージュはフランス語であるということから、フランス料理におけるスープは「ポタージュ」と呼ぶというように変わっていったのです。

ところで「シチュー」の定義とは?

「シチュー(stew)」は英語ですが、語源はフランスの古い言葉で「éstuver」。現在のフランスでこの言葉は「エテュベ」と呼ばれ、蒸し煮にする・煮込むという調理用語になっているそうです。
英語でシチューという言葉が使用されるようになったのは14世紀あたりからで、野菜や肉・魚介類をダシやソースで煮込んだ料理のことを呼びます。溶かしたルーでとろみをつけて中の具材は大きめにカットして入れる濃厚な味のものを言います。

肉じゃがの由来とシチューに深い関係が!?

純和風料理というイメージの「肉じゃが」ですが、この料理の誕生には実に興味深いエピソードがあります。
明治時代、海軍で脚気(かっけ)という病気が大流行し、当時は死に至る病と恐れられていたのですが、高木兼寛という人が留学先のイギリスでは脚気にかかっている人は見たことがなかったため、イギリスの食生活を参考にし、軍艦の食堂のメニューをすべて洋食に変えてみたそうです。

東郷平八郎のリクエストから誕生した肉じゃが

そんな中、日露戦争で大活躍した英雄・東郷平八郎がイギリスで留学した時においしかったあの味がもう一度食べたいと日本人の料理長にリクエストしたのがビーフシチュー。 しかしデミグラスソースなどの材料が入手できなかったため、思案の末に醤油や砂糖を使って作った料理が肉じゃがの始まりだと言われています。栄養も豊富で脚気も予防できる料理として肉じゃがはもてはやされ、いつしか家庭料理として広まっていったのだとか。 諸説ある中の一説ではありますが、「肉じゃが」の由来がビーフシチューにあったというのは興味深いですね。

言葉は時代とともに変わっていくもの

汁物の言葉の違いはなかなか線引きが難しいですが、ヨーロッパの歴史の中で食文化もさまざまに交差するうちにできあがってきたのですね。 「チャウダー(chowder)」の語源もフランス語ですが、現在はクラムチャウダーといえばアメリカを代表する料理のひとつになっているのも面白いところです。ちなみにチャウダーとは「具だくさんのスープ」を意味するそうですよ。
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