食と歴史の街「臼杵」へ

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湯布院から1時間ほど車に揺られ、大分県南東部にある臼杵市に到着。臼杵市は2021年11月、ユネスコ「食文化創造都市」に認定された、今注目の街です。国内では山形県鶴岡市に続く2例目で、発酵・醸造を柱とした食文化が評価されています。

創業420年を超える醤油屋「可児醤油鑰屋(かにしょうゆかぎや)をはじめ 、1861年から味噌・醤油を販売する「小手川商店」、白寿や宗麟といった名酒や黒麹焼酎などを製造販売する「小手川酒造」など、醸造業を中心に発展してきました。

ここでは、食や城下町など、さまざまな形で日本の歴史に触れることができます。

歴史の息遣いを感じる「臼杵石仏」

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立派な屋根で覆われている、国宝・臼杵石仏の数々
臼杵を代表する名所が「臼杵石仏」。平安時代後期から鎌倉時代にかけて、凝灰岩の岩壁に彫られたと言われる磨崖仏(まがいぶつ)です。

60余体という数量と規模、さらに質の高さから、国宝に指定されています。木彫りと見まがうほど見事な彫刻技術を、間近に見ることができるんです。

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「こちらの如来三尊蔵、師匠と弟子の作品が比較できるんです!写真左は師匠が見本として作ったもの、写真右は弟子がマネて作ったもの。同じものを作ったはずなのに、明らかにクオリティが違うでしょう」

名物ガイドの古谷美和さんが教えてくれる情報は、どれも興味がそそられるものばかり。1,000年以上前の人にも、なんだか親近感が湧きました。

このような石仏が61体、いくつかのエリアに並んでおり、散策しながら楽しむことができます。実はそもそも、いつ誰が何のために作ったのかが明確に分かっていなかったり、仏像の種類が不明なものがあったりと、ロマンあふれるスポットです。

武家屋敷や寺院が今なお残る「城下町」

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戦国時代、有力なキリシタン大名の大友宗麟が築いた臼杵城址と、南西に広がる城下町。こちらも臼杵で訪れておきたい人気スポットです。臼杵石仏とはまた違う、歴史の息遣いを感じることができます。

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江戸時代に整えられた城下町には、旧藩主・稲葉家の武家屋敷や立派な寺院が並び、当時の風情を今に残しています。敵の進行を遅らせるため直進できないように作られた道や、硬い岩盤を削って道を作った「切り通し」(写真上)を見ることができ、歴史ロマンを感じずにはいられません。

また、醤油屋のしょうゆソフトクリームや味噌ソフトクリームなど、食べ歩きグルメもあるので、ゆったりと散策するのもおすすめです。

「喜楽庵」で、国内3軒でしか食べられない本膳料理を

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奥に江戸時代の屏風が広がる、豪華な中広間
旅の最後に訪れたのは、明治11年創業の料亭「喜楽庵(きらくあん)」。日本料理の原点といわれる本膳料理を食べられる貴重なお店です。豊後水道で育ったふぐ料理も名物。

本膳料理は、結婚式や祝い事のときにお殿様を囲んで食べられていた特別な料理。日本ではほかに、京都と飛騨の料亭でしか食べられません。

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11,000円〜 写真は本膳、二の膳
本膳料理(略式)では本膳、二の膳、三の膳に分かれた三汁七菜が並びます。上座のお殿様から順に食べることや、菜とごはんを交互に、かつ決められた順に食べることなど、さまざまな作法があります。

鯛の造り、ゆり根まんじゅう、二見のアワビ、ヒレ吸物など、特別感満載な料理に舌鼓。慣れない環境に最初は緊張しましたが、温かいもてなしの心を感じながら、特別なひとときを過ごすことができました。

独自の魅力が詰まった、湯布院と臼杵

あっという間の2日感、後ろ髪を引かれる思いで大分を後にしました。温泉はもちろん、豊かな自然が育んだ食と文化、さらには長く紡がれてきた歴史……大分の街は実に豊かな個性で溢れています。

そろそろ遠出もしやすくなってきたタイミング。ぜひ湯布院や臼杵を訪れて、食と自然と歴史を体感してみてください。

取材・文・写真:道岡直宏(macaroni 編集部)

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