ライター : macaroni 編集部

監修者 : 野﨑 洋光

「分とく山」総料理長

食感と風味を活かす。アスパラガス料理2品

分とく山の料理人、野﨑洋光さんから教わる基本のレシピ。今回は人気の春野菜「アスパラガス」を使う、焼き物と揚げ物2品です。

野﨑さんは、旬の春野菜のなかで特にアスパラガスを食べると元気になるそう。「焼いても炒めても揚げてもおいしく、綺麗なグリーンが料理を明るくしてくれます。そんな彩りが身や心を元気にしてくれる。」といいます。では、アスパラガスをどのように調理すればもっともおいしく食べられるのか、野﨑さん流の食材の組み合わせ方に注目しながら、ほかの料理にも活かせるテクニックをたっぷりご紹介します。

鮮やかな色と食感、甘みを活かす調理法で、旬のアスパラガスの味わいを堪能しましょう。

教えてくれる料理人

Photo by 分とく山

「分とく山」総料理長 野﨑 洋光(のざき ひろみつ)さん

1953年(昭和28年)福島県石川郡古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校卒業後、東京グランドホテルの和食部に入社。5年間の修行を経て八芳園に入る。1980年に東京・西麻布の「とく山」料理長に就任。1989年に南麻布「分とく山」を開店し、現在、グループ店を含む5店舗を総料理長として統括。雑誌、TVなど各種メディアを通して、調理科学、栄養学をふまえた理論的な料理法に基づくわかりやすい和食を提唱。

著書に「常備菜でつくる和のお弁当」(世界文化社)「季節を楽しむ おもてなしの食卓」(KADOKAWA)「日本料理 前菜と組肴」(柴田書店)「じつは知らない和食の常識」(洋泉社)「野﨑洋光が考える 美味しい法則」(池田書店)「和食のきほん、完全レシピ」(世界文化社)ほか多数。

アスパラガスをおいしく食べる極意

野﨑さん:「食べる直前に調理することです。ゆでたり、炒めたり、揚げたり、熱がちょうどよく入った状態で食べるとアスパラガスの甘みを一番に感じられます」

購入してすぐの鮮度の良い食材を使用することはもちろん、野崎さんの料理メソッドでもある「直前調理」は押さえておきたいポイントのひとつです。アスパラガスは穂先が固く締まり、切り口がみずみずしいものを選んで調理しましょう。

1. 甘辛タレを煮絡めて。アスパラガスの肉巻き

Photo by とも花

まず最初に教えてくれたのは、コクと旨みたっぷりの牛肉で巻いたアスパラガスの肉巻き。やさしい甘みのあるアスパラガスは相性抜群!甘辛い味付けでご飯もお酒もすすみます。切り口が鮮やかで冷めてもおいしく食べられるため、お弁当のおかずにもおすすめですよ。

材料(2人分)

Photo by とも花

・アスパラガス(細め)……5本
・牛肉スライス……150g
a. みりん……150cc
a. 酒……90cc
a. しょうゆ……30cc(大さじ2杯)
・小麦粉……適量
・サラダ油……適量

カロリーと糖質・塩分量(1人分)

エネルギー……550kcal
糖質……48.8g
食塩相当量……2.7g

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

レシピのポイント

野﨑さん:「照り地(合わせ調味料)の割合は、みりん:酒:しょうゆ=5:3:1です。この割合を覚えておくと、肉料理や魚料理などに応用でき便利ですよ。牛肉スライスはロースがおすすめです」

下ごしらえ(準備時間:5分)

1. アスパラガスを切る

Photo by とも花

アスパラガスは根元1~2cmを切り落してから硬い部分の皮をむき、半分の長さに切ります。

野﨑さん:「皮をむく目安は芯の白い部分が見えるか見えない程度が良いです。旬のアスパラガスは全体的にやわらかいため、状態によって加減してくださいね」

2. アスパラガスをゆでる

Photo by とも花

鍋に湯を沸かし、アスパラガスを加えて約2分ゆでます。色よくゆであがったら湯から引き上げ、水気を切っておきます。

作り方(調理時間:20分)

1. アスパラガスに小麦粉をまぶす

Photo by とも花

アスパラガスに小麦粉をまぶし、5本ずつに束ねます。

2. アスパラガスを牛肉で巻く

Photo by とも花

牛肉はアスパラガスの幅に合わせながら隙間ができないように、2~3枚をずらして重ね合わせます。アスパラガスを手前に置き、くるくると巻いていきます。

3. 肉巻きに小麦粉を薄くまぶす

Photo by とも花

肉巻きを2本作り、小麦粉を薄くまぶします。

4. 肉巻きを焼く

Photo by とも花

フライパンに油をひき、巻き終わりを下にして肉巻きを中火で焼きます。

5. 調味料を加える

Photo by とも花

全体を軽く焼いたら、フライパンの汚れと余分な油をキッチンペーパーでふき取ります。

Photo by とも花

aの合わせ調味料を加え、強火で肉巻きに火を入れていきます。

6. 肉巻きを取り出し、煮汁を煮詰める

Photo by とも花

肉巻きは全体に火が入ったら一旦取り出して、煮汁だけを煮詰めていきます。

ここが野﨑流!ポイント1. 一度取り出す

野﨑さん:「煮汁を煮詰めるときは、肉に火が入りすぎて固くなってしまうのを防ぐため、一度取り出しましょう!」

7. 肉巻きを戻し入れる

Photo by とも花

煮汁の泡が大きくなりはじめたら取り出した肉巻きを戻し入れ、煮汁を煮絡めます。

8. 盛り付ける

Photo by とも花

肉巻きは1本を4等分に切り、皿に盛り付けます。煮汁を回しかけたら完成です。

「お好みで山椒や七味をかけるのもおすすめ」だと野﨑さん。風味が加わり、味のアクセントになって、どんどん食べすすめてしまいそう。お好みでどうぞ!

2. 削り節の衣が香ばしい。アスパラガスの土佐揚げ

Photo by とも花

続いて2品目は、削り節の旨みをまとわせたアスパラガスの土佐揚げです。シンプルなのに奥深い味わいが楽しめる逸品。油で揚げることで、アスパラガスの甘みがより一層引き立ちますよ。パリッと揚がった衣の香ばしさと旨みに、お箸を持つ手が止まらなくなること請け合いです!

材料(2人分)

Photo by とも花

・アスパラガス(細め)……4本
・削り節……10g
・卵白……2個分
・小麦粉……適量
・揚げ油……適量
・塩……適量

カロリーと糖質・塩分量(1人分)

エネルギー……90kcal
糖質……4.1g
食塩相当量……0.8g

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

レシピのポイント

野﨑さん:「削り節を衣にすることで、旨みをプラスすることができます。アスパラガスとの相性が良く、素材の味を引き立ててくれますよ。卵白を削り節の接着に使用します」

下ごしらえ(準備時間:10分)

1. アスパラガスの硬い部分の皮をむく

Photo by とも花

アスパラガスの根元1~2cmを切り落し、硬い部分の皮をむきます。

2. 削り節を乾煎りする

Photo by とも花

フライパンに削り節を入れ、弱火で乾煎りします。

ここが野﨑流!ポイント2. 乾煎り


野﨑さん:「削り節を乾煎りするのは、水分が飛んで乾くことで細かい粉にしやすくするためです」

Photo by とも花

パリッとしたら火からおろして冷まし、手で崩しながら細かくします。

3. 卵白を布で濾す

Photo by とも花

卵白を軽く溶いてほぐし、ガーゼやさらしなどの布をしいたボウルに入れます。

Photo by とも花

布を茶巾のようにして絞り、卵白をギュッと押し出します。

ここが野﨑流!ポイント3. 卵白を濾す

野﨑さん:「卵白はコシがあり、箸で溶くだけでは塊が残ってほぐれにくいため、布で濾してなめらかにします。布を茶巾のようにして絞ると時間がかからず手早く作業ができますよ」

作り方(調理時間:10分)

1. アスパラガスに小麦粉をまぶす

Photo by とも花

アスパラガスを半分の長さに切り、小麦粉をまぶします。

2. 卵白にくぐらせ削り節をまぶす

Photo by とも花

アスパラガスを卵白にくぐらせ、削り節をまぶします。

野﨑さん:「布で濾した卵白を使用することで削り節がまんべんなく付着し、見た目がきれいに仕上がります」

3. 揚げる

Photo by とも花

170℃に熱した揚げ油でアスパラガスを揚げます。

4. 盛り付ける

Photo by とも花

からりと色よく揚がったら塩をふり、食べやすい大きさに切って器に盛り付けます。

素材の旨み際立つ。旬のアスパラガスを楽しもう

「土佐揚げは、ほかの旬野菜に置き換えて調理することもおすすめ」だと野﨑さん。肉巻きの照り地の割合を覚えておくことも、和食の味付けの基本を押さえるポイントのひとつになりそうです。

ご紹介したレシピの材料や調理法はいたってシンプル。だからこそ主役になる素材の味わいが際立ちます。春から初夏にかけて、スーパーの店頭に並ぶ緑鮮やかなアスパラガスを食卓にひと品、加えてみませんか?
分とく山
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取材・文/大河内美弥(macaroni編集部)
料理・撮影/とも花

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