ライター : Terry Naniwa

編集・企画・ライター

茶懐石がご飯の奥深さとおいしさを教えてくれました

Photo by 西村仁見

ーー 八塚さんが「お米・ご飯」に魅せられたきっかけを教えてください。

八塚さん(以下、八塚) 愛媛で暮らしていた子どもの頃は、祖父母がコシヒカリやあきたこまちを作っていたので、自然とおいしいお米に親しんでいました。新米のおいしさも覚えています。でも社会人になって糖質制限を意識するうちに、あまりご飯を食べなくなりました。しばらくその食生活が続くと、なぜかパワーが不足するというか、活力が出ないと感じるようになって。もしかしたらご飯を食べていないからかなと思い、ロケの日の朝、久しぶりに食べてみたんです。すると、元気が違った。パワーが長持ちするというか、ハードなロケも問題なしでした。やっぱりご飯って大切なんだなと実感して、毎日1食はご飯を摂る食生活に戻しました。

そして茶道をはじめた5年前、ご飯に対するイメージがガラッと変わりました。茶懐石ではまずご飯から頂きます。しかも“煮えばな”をひと口です。これはお米からご飯に変わる瞬間の水分をたっぷり含んだ状態のことを指します。ツヤツヤで瑞々しく香りも味も甘い。舌の上でとけていく……。初めていただいたとき、「ご飯ってこんなにもおいしかったのか!」と感動しました。その後、炊き上がったご飯、蒸らしたご飯、最後におこげも登場します。茶懐石は時間とともに変化していくご飯を存分に味わえるお料理で、贅沢な経験でした。

ご飯の奥深さに触れた瞬間と言えば良いでしょうか。「お米だけでも人をもてなすことができる」と知り、ご飯こそ私たち日本人の何よりのご馳走と思うようになりました。ご飯とご飯のお供ひと品で、心ゆくまでお米を楽しむ! そんな晩餐が1週間に一度はほしいと思うほど、ご飯が大好きになりました。

ーー それほどご飯が好きな八塚さんであれば、そのご飯をさらにおいしく楽しくしてくれるご飯のお供への思い入れも強いのでは?

八塚 ご飯のお供も大好きですし目がありませんね。10年半番組MCを務めた「おはよう朝日 土曜日です」では全国各地に行きましたので、地元のおいしい「食」にたくさん出会えました。そのなかで、これは!という「珠玉のご飯のお供」も見つけてきましたので、この機会にご紹介できればと思います。せっかくなので、私自身も味わいながら、その感想も添えてご案内しますね。まずは西日本のおいしいご飯のお供たちです。

明太子好きも大満足の味!「THE MENTAI 中辛」(福太郎)

Photo by 西村仁見

瓶入りの明太子。40gのお手頃な量で、食卓にそのまま出してもおしゃれです。プチプチ食感とほど良い辛さがご飯にぴったり。ここでは「ゆず」「あまえび」「いか」など計13種のラインアップから、代表格の「中辛」をご紹介します。福岡で明太子を作り続けている「福太郎」自慢の品です。

八塚 この明太子、ただただおいしいです。旨味、辛味が絶妙で、ご飯が止まりません(笑)。明太子好きな私にとっては、ご飯のおかわりを何杯してしまうか心配になってしまうくらいうれしい味。瓶のパッケージが素敵なので、手土産や贈り物にも良さそうです。「サーモントラウトいくら」や「七味あごだし」など、ほかの味も気になりますし、試してみたい!

このネーミングに納得!「奥出雲山椒ジャコのり[頼むからごはんください]」(いずも八山椒)

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奥出雲の香り高い山椒と瀬戸内産の海苔、日本海のジャコと純国産素材のみで作られた佃煮です。それぞれの素材が絶妙のハーモニーを演出し、この味に惚れ込んだテリー伊藤氏が商品名の名付け親に。姉妹品のジャコみそとあわせて、島根の誇りが感じられる逸品です。

八塚 ジャコの食感が楽しいです。甘めの味付けの佃煮と思いきや、山椒がしっかりとお口の中で映えてくれます。薬味のイメージしかなかった山椒が、ご飯のお供の主役となっていることに感動。アクセントのあるこの味、やみつきになりますよ。「頼むからごはんください」と言いたくなっている自分がいます(笑)。

何これ!新感覚の梅干しは天下の味「梅あぶら」(石神邑)

Photo by 西村仁見

紀州ならではの梅干しの魅力を、新たなスタイルで楽しんでもらいたいとの想いで開発された品。とろけるような果肉の梅干しに、ベーコンやクセのない米油で素揚げした玉ねぎを加えて仕上げられた味は、八代将軍吉宗のように和歌山から天下をつかもうとする逸品です。

八塚 見た目は塩辛のようでしたが、食べてみれば、何これ!とうれしい驚きがお口の中で弾けます。ほど良い酸味とまろやかなコクが感じられ、そこにベーコンのパンチが効いている。あっさりさっぱりでありながら、お肉が入ったことでこれはもう立派な「おかず」になっていますね。梅干しの香りに加え、深い旨味をもった満足感十分の味。あぶないおいしさです(笑)。

故郷・愛媛のアイデア商品!「ベジソルト[野菜のお塩]」(えひめ活き活きファーマーズ)

Photo by 西村仁見

野菜からできた塩!野菜を乾燥させ凝縮したものと、塩だけをかけ合わせて作られたベジソルトです。ふたを開けると野菜の香りがやさしく広がります。野菜の栄養価をそのまま塩として楽しめる、八塚さんの故郷・愛媛が生んだアイデアの逸品です。

八塚 とにかく色が鮮やかで、まず見た目からおいしい。全13種のなかから「ほうれんそう」(緑)と「とうがらし」(橙)を用意しました。確かに塩です(笑)。でも、野菜の風味が感じられますし、これで塩にぎりを作れば、野菜嫌いのお子さんにも食べてもらえるのではないでしょうか。とうがらしは、しっかり辛さがあり、まさにご飯が進みます。天ぷらや揚げものの薬味塩としても活躍してくれそう。故郷にこんなおしゃれなご飯のお供があるなんてうれしいです。

鯖は塩焼きや味噌漬よりも醤油漬!「鯖の醤油漬」(平翠軒)

Photo by 西村仁見

鯖の産地福井では、3枚におろした鯖を特製の醤油に漬け込んだ醤油漬が常備食として食べられています。全国のおいしいものを集め、“食”の素晴らしさを発信している「倉敷 平翠軒」の店主が、この醤油漬を地元で食べたときの感動を伝えたいとの想いから、苦労を重ねて商品化。福井の鯖が、岡山から逸品となって全国に届けられています。

八塚 まず脂ののり具合がすごいです。身も肉厚でジューシーで、漬け汁が主張し過ぎず品が良いので、鯖本来のおいしさが引き立っています。鯖ってこんなにおいしかったのかと唸ってしまいました。ご飯との相性は百点満点。これからの鯖は、この醤油漬を定番にしたいくらいです。これを商品化してくれた平翠軒さんには感謝しかありません。
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