ライター : macaroni編集部

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大胆な料理哲学、人呼んで“料理界の海賊”

Photo by Makoto Kishita

昨今の状況で自らの進むべき道に迷っているシェフが多いなか、底力を見せつけ料理人としての存在感を増しているシェフもいます。

その代表が、代々木上原のフレンチレストラン「sio(シオ)」のオーナーシェフ・鳥羽周作さん。

「sio」は、「ミシュランガイド東京2020」にて1つ星を獲得した人気店。同店を仕切る鳥羽シェフは、圧倒的な行動力と発信力によって、今や業界をリードするカリスマ的な存在です。人呼んで、“料理界の海賊”。

Photo by Makoto Kishita

鳥羽シェフは大学卒業後、Jリーグの練習生、小学校教員を経て、32歳で料理の世界に入ったという異色の経歴の持ち主。

神楽坂のイタリアン「DIRITTO(ディリット)」といったさまざまな名店で研鑽を積み、2018年7月、シェフを務めていた代々木上原「Gris(グリ)」を買い取り、「sio」としてリニューアルオープン。

2019年10月には丸の内に2号店「o/sio(オシオ)」を、同年12月には渋谷「フクラス」内に純洋食店「パーラー大箸」をオープン。オーナーシェフ2年目とは思えない快進撃を続けています。

Photo by sio

その鳥羽シェフが、今年4月からTwitterで公開し始めた自作レシピ「#おうちでsio」が、本人ですら予想しなかったほどの大反響を呼びました。

sioのすべては「幸せの分母を増やす」に基づいている

そもそも鳥羽シェフが提唱しているsioの基本理念は、「幸せの分母を増やす」ということ。

これをやることで世の中の幸せが増えるかどうか、その一点ですべてを判断していますね。」(鳥羽シェフ)

Photo by Makoto Kishita

コロナの影響でお客が減り始めたのが3月上旬頃。鳥羽シェフは「この状況で、自分は料理人としてどう動くべきか」を熟考するため、自発的にステイホーム生活に入りました。

時を同じくして保育園が休園になったため、元気いっぱいの小さい男の子2人がいる鳥羽家は大変な状況に……。そのなかで毎日ご飯を作る奥さまを見て、鳥羽シェフはハッとしたそうです。

Photo by Makoto Kishita

「料理の好き嫌いに関わらず、誰もが自炊せざるを得ない状況になりましたよね。何をどう作っていいかわからない、毎日3食作るのに疲れる……。そういう人たちのために、自分に何ができるかを毎日考えていました。」(鳥羽シェフ)

多くの料理人が店の売上確保で頭がいっぱいのときに、鳥羽シェフが始めたのはその真逆のこと。誰にでも作れる簡単レシピを開発し、無料で発信することだったのです。

「今だからこそ、料理の力を信じたいんです」

Photo by Makoto Kishita

3月30日のTwitterの投稿で、鳥羽シェフは以下のような決意を語っています。

Photo by macaroni

翌日から鳥羽シェフは、「o/sioの唐揚げ」「パーラー大箸の#弾ける海老フライ」「パーラー大箸の看板メニュー 牛タンシチューのデミグラス」など、秘蔵レシピを惜しげなくTwitterやnoteで公開し始めます。

「4月から今まで、寝ているとき以外は常に新作レシピを考えていますね。僕らなりのレシピを誰でも作れるように、かつ140文字以内でシンプルに伝える方法にもこだわり続けています。」(鳥羽シェフ)

誰でも簡単においしく、だけを考えた

簡単レシピだけにとどまらず、コンビニのおつまみ・菓子パン・カップスープなど、市販品を利用したレシピも続々登場し、料理界の関係者を驚かせます。

Photo by macaroni

料理人としてのイメージを落とすことに繋がるかもしれないのに、なぜそのような料理まで提案し続けたのでしょう。

その答えは、鳥羽シェフが9月28日に発売したレシピ本「やさしいレシピのおすそわけ #おうちでsio」のまえがきにありました。

Photo by Makoto Kishita

▲「やさしいレシピのおすそわけ #おうちでsio」(鳥羽周作著/小学館)
「僕は、誰かに料理を作るのがとても好きで料理人になりました。コロナ禍で、シンプルにもっとたくさんの人に料理を届けたいと思いました。レストランに来た人だけでなく、もっとたくさんの人に。」
誰でも簡単に“おいしい”だけを考えました。」

例えば、きのこ・塩昆布・バター・麺つゆだけでできる「無限パスタ」は、買い物に行けないほど忙しい人の冷蔵庫にあるものをイメージしてできたレシピ。

そのとき冷蔵庫にあるものを自由にプラスし、作る人がアレンジできるような“余白”も残したレシピです。

Photo by Makoto Kishita

「一番大切なのは、どうあったら嬉しいか、相手側に立てるかどうか。僕は本当に、どうしたら喜んでもらえるかしか考えていない。だからブレずに、ピュアにやり続けていられるんです。」(鳥羽シェフ)

レシピ本は「sio」の愛が詰まった究極のミニマム

Photo by Makoto Kishita

「やさしいレシピのおすそわけ #おうちでsio」には、Twitterで投稿したレシピに新作を加え、合計57レシピを収録。事前予約が殺到するほどの注目を集めています。

「その家にはその家の好みの味がある。だから、この本で紹介しているのはあくまでもベースの味。使い込むほど味が出てくるお皿みたいに、この本をベースにして、その家にとっての“おいしい”を育てていってもらいたいですね。」(鳥羽シェフ)

Photo by Makoto Kishita

無料の情報があふれたこの時代に、あえて紙の本を出したのは、「お店に来られない遠方の人にも、僕たちの愛を直接届けることができる」から。鳥羽シェフは熱く語ります。

僕らなりの“愛のデリバリー”。単なるレシピ本ではなく、『sio』の愛が詰まった究極のミニマムツールなんです。レシピは、あえて短くシンプルにしています。あと、キッチンに置いてほしいのでサイズも小さくし、開きやすい作りにこだわりました!」

鳥羽シェフの深く広い愛、それに感動した書籍編集スタッフの愛……いろいろな愛がこの本にぎゅっとつまっています。その愛を受け取り、新たな“おいしい”を探してみてはいかがでしょう。

Photo by sio

本に収録されている「唐揚げ」や「ナポリタンを超えたナポリタン」「o/sioのとりもも唐揚げ(奈良漬けマヨ)」などいくつかのメニューは、「o/sio」「パーラー大箸」でも食べられます。

自宅で作ってからお店で“味の答え合わせ”をするもよし、お店で食べて正解を確認してから自宅で作ってみるのもよし。ぜひ、楽しい“味の答え合わせ”にチャレンジしてみてください。

Photo by Makoto Kishita

取材時も、鳥羽シェフの熱い想いとあふれる愛はとどまることを知らず。
そこで近日続編として、ここで紹介しきれなかった「sio」の理想像や鳥羽シェフの愛のすべてに迫ります。乞うご期待!

STAFF
Writer:emiko kuwahara
Photographer:Makoto Kishita
Director:Naohiro Michioka
Producer:Ryo Takakura

書籍情報
「やさしいレシピのおすそわけ #おうちでsio」
著:鳥羽周作
出版:小学館
定価:本体1,300円+税
発売日:2020年9月28日
店舗情報
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