ライター : Terry Naniwa

編集・企画・ライター

食の世界を取材して30年余。自らの五感でセレクトした旬の情報から、次世代に残しておきたい 食の伝統などを発信中。大阪在住半世紀余、出汁の美味しさにこだわっています!

「亀の尾」と「旭」の2品種から誕生した日本のお米たち

日本には現在、約500品種ものお米があると言われています。そのうち2/3ほどがスーパーなどのお米売り場で目にする主食用のお米(うるち米)で、1/3はもち米や酒米です。「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」などが主食用の代表的な銘柄で、実際に食べておられる方も多いのではないでしょうか。

300品種を超える主食用のお米も、家系図をたどっていけば、明治時代に作られていた「亀の尾」と「旭」の2品種から生まれていることがわかります。

そこからおいしいお米を作るために、いろいろな品種の掛け合わせや、気候風土に適した品種の研究開発が脈々と続けられ、今に至っているのです。

80~90年代に人気を二分した「コシヒカリ」と「ササニシキ」

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画像(米袋)提供:パールライス宮城、全農パールライス
戦前、新潟県で味の良いお米と病気に強いお米を掛け合わせた試作米を、戦後、福井県が引き継ぎ、新品種として育成したのが「コシヒカリ」(1956年誕生)です。甘みと粘りが強く、つやと香りも良いと評判で、やがて全国で作られるようになりました。1979年から生産量第1位(※)の座を今も守り続けている、日本のお米の代名詞的存在です。

「コシヒカリ」誕生の7年後には「ササニシキ」が登場。80~90年代は日本米の2トップとして人気を二分しましたが、お米の難敵であるいもち病に弱く、しだいに生産者が耐久性の高い品種へ移行していったため、生産量は大きく減ってしまいました。ただ、お酢と混ぜてもべたべたしないという特性が寿司職人に好まれ、現在は「寿司米ならササニシキ」という独自の地位を築いています。

日本のお米界を席巻し続ける「コシヒカリ」ファミリー

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お米の家系図を見ると、「ササニシキ」は「コシヒカリ」の甥っ子にあたるとわかります。それだけでなく、現在の人気品種のほとんどが「コシヒカリ」の血を引いているのがわかります。生産量第2位~4位の「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」は「コシヒカリ」をお父さんとする異母兄弟です。

そのほかの人気銘柄を見ると、「はえぬき」は「あきたこまち」から生まれているので「コシヒカリ」の孫。「ななつぼし」は「ひとめぼれ」が親になるので、こちらも「コシヒカリ」の孫にあたります。さらに、ひ孫にあたるのが1989年(平成元年)誕生で北海道米のイメージを高めたと評判の「きらら397」と、「コシヒカリ」ファミリーが日本のお米界を席巻しているのがよくわかります。

「コシヒカリ」ファミリー名鑑(前)「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」

画像(米袋)提供:全農パールライス
「ひとめぼれ」生産量第2位(※)
1991年宮城県生まれ。冷害に強い耐久性を持ち、甘みと粘りのバランスが良い品種。「コシヒカリ」のおいしさをストレートに受け継いでいる良血統米。どんな料理にも合わせやすいお米として人気。主に東北で生産。

「ヒノヒカリ」生産量第3位(※)
1989年宮崎県生まれ。西日本を代表するお米を目指して開発された品種。サイズは「コシヒカリ」よりやや小粒。お米の旨味、香り、粘りの三拍子がそろったバランスの良さは親譲り。主に九州で生産。

「コシヒカリ」ファミリー名鑑(後)「あきたこまち」「ななつぼし」

画像(米袋)提供:全農パールライス
「あきたこまち」生産量第4位(※)
1984年秋田県生まれ。寒さに弱く秋田では栽培がむずかしかった「コシヒカリ」の弱点を克服し開発された品種。美しいつやと粘りが特長。地元湯沢市で生まれたとされる歌人・小野小町に因んだネーミング。秋田県産米の70%を占める。

「ななつぼし」生産量第5位(※)
2001年北海道生まれ。極寒の北の大地でも栽培できるお米として開発された品種。風味と粘りを長時間保ち、冷めてもおいしさが長持ちするのが特長。北海道産米のシェアトップ。

次世代のおいしいお米も「コシヒカリ」ファミリーから

「亀の尾」と「旭」から長い年月をかけて改良・開発されてきたお米の家系図は、まるでサラブレットの世界のよう。そのトップに40年以上君臨し、次々とおいしい次世代を輩出している「コシヒカリ」は、まさにお米界の『ディープインパクト』。令和の新時代にも、私たちを魅了してくれるおいしいお米の登場を期待したいですね。

※(出典)米穀機構「水稲うるち米の品種別作付比率の推移」2014~18年度より
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。
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