ライター : 朝戸尚子

管理栄養士 / webライター

鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」がある

多く含まれる食品吸収率
ヘム鉄
魚の赤身
10~30%
非ヘム鉄野菜
穀類
豆腐
海藻
5%以下
食品中に含まれる鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、多く含まれる食品や体に吸収される度合いが異なります。ヘム鉄は肉や魚の赤身に多く含まれる鉄で、たんぱく質と結びついた状態で存在し、高い吸収率をもつことが特徴です。

一方非ヘム鉄は野菜や穀類に多く含まれ、たんぱく質とは結合していません。非ヘム鉄は吸収率が5%以下ととても低いですが、食べ方を工夫すると吸収率があがり、効率よく摂取できるようになりますよ。(※1)

非ヘム鉄の吸収率をアップさせるポイント

吸収率をアップさせるポイント

  1. たんぱく質やビタミンCが豊富な食材と組み合わせる
  2. 柑橘類や酢と一緒に食べる

たんぱく質やビタミンCが豊富な食材と組み合わせる

たんぱく質は腸での非ヘム鉄の吸収を助け、ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形に変えるはたらきがあります。

非ヘム鉄を効率よく摂りたいときは、たんぱく質やビタミンCを多く含む食材と一緒に調理するか、サイドのひと品として付け加えるといいでしょう。

ビタミンCは加熱すると壊れやすいため、フルーツや野菜を生で食べるか、加熱によって壊れにくい野菜と一緒に調理しましょう。ビタミンCが加熱で壊れにくい野菜はじゃがいも、ピーマン、パプリカなどが挙げられます。(※1,2,3,4)

柑橘類や酢と一緒に食べる

柑橘類や酢といった酸味のある食品は、胃を刺激して胃酸の分泌を促進し、非ヘム鉄の吸収率をよくしてくれます。

非ヘム鉄を多く含む食材に酢を組み合わせて調理したり、デザートとして柑橘類をプラスしたりすると、効率よく鉄を摂取できますよ。(※4)

鉄分の多い野菜一覧

種類100gあたりに含まれる鉄の量
小松菜2.8mg
ほうれん草2.0mg
水菜2.1mg
春菊1.7mg
枝豆2.7mg
そら豆2.3mg
(※5,6,7,8,9,10)
鉄を多く含む野菜としてよく知られているのは、小松菜やほうれん草をはじめとした青菜類ですよね。スーパーでも手に入りやすく、加熱するとカサが減ってたくさん食べられるので、食卓によく並ぶというご家庭も多いのではないでしょうか、

そのほかにも、枝豆やそら豆といった豆科の野菜、大豆を加工した食品である納豆や豆腐にも多く含まれますよ。

前述した非ヘム鉄を効率よく摂るポイントを参考に、これらの野菜を上手に料理に取り入れてみてくださいね。

鉄分の多い野菜は妊婦が食べても平気?

妊娠中に鉄分の多い野菜を食べることは問題ありません。むしろ妊娠中は赤ちゃんの成長のために鉄を使うため、摂るべき鉄の量は普段よりも増えます。妊娠中は貧血になりやすいことが知られているので、不足しないよう注意しましょう。

妊娠中に貧血になると立ちくらみや頭痛といった貧血症状のほか、赤ちゃんの成長に影響が出たり、母乳が出にくくなったり、出産後の体の回復が遅くなったりすることがあります。

効率よく鉄を摂取するために、鉄を多く含む食品と鉄の吸収率をアップさせる食材を組み合わせた食事がおすすめですよ。

ただし妊娠中は食中毒に注意が必要です。生野菜は土を落として、よく洗ってから食べましょう。(※11,12,13)
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