ライター : macaroni 編集部

この記事でわかること

魚の血合いとは、魚を捌いた際に見える赤く黒ずんだ部分のこと。一般的には筋肉の部分を指しますが、腎臓の部分を血合いと呼ぶこともあります。

血合いには酸素を貯蔵するためのたんぱく質が含まれており、赤身魚のほうが白身魚よりも血合いの割合が多いといわれています。高たんぱく低カロリーで、ダイエット中や疲労を改善したい場合に適している食材です。

この記事では、臭みを取るための下処理方法や調理法、血合いを使うレシピもご紹介します。

血合いとはどんなもの?

血合いとは、魚を捌いたときに見える赤く黒ずんだ部分のことです。この部分は、あまり好きではない、いつも捨ててしまうという方も多いのではないでしょうか。

血合いは、一般的に魚の背身と腹身の間にある赤色筋繊維という細胞が固まった部分を指します。血合いには赤っぽい色をした「ミオグロビン」というたんぱく質が多く含まれているのが特徴。そのため、ほかの部分に比べて濃い色味をしているんです。

血合いについて、「食べてみたいけどどうやって食べるのかよくわからない」「食べて大丈夫なの?」という方もいるはず。しかし、血合いは下処理や調理に工夫を持たせることで、おいしく食べることができるんですよ。

血合いは鮮度を見分けるひとつの基準

血合いは血管などが集まる部分のため、鮮度がよくないと生臭さを感じます。そのため、とくに血合いを生で食べたい場合は鮮度を見分ける必要があります。

まぐろの血合いを例に挙げると、鮮度のよいうちは鮮やかな赤黒い色をしていますが、鮮度が落ちるにつれて、徐々に色が黒ずんできます

スーパーで刺身を買う際、切り身に血合いが含まれている場合は、その色合いによって鮮度をある程度見分けられます。鮮度を判定する際のひとつの基準として覚えておくとよいでしょう。

腎臓を指す場合もある

一般的に血合いは「赤色筋繊維」、つまり魚の筋肉のことを指すことが多いですが、腎臓の部分を血合いと呼ぶこともあります

とくに魚を専門に扱う業界では、「血合い=魚の腎臓」という認識が一般的だそう。魚をおろす段階で腎臓の部分をしっかりとかき出さないと、刺身で食べる際に生臭さを強く感じるからです。

そのため、魚を専門に扱う業界では、魚の腎臓は丁寧に除去することが求められます。意識的に丁寧な処理をしないといけない部分のため、業界では「血合い=魚の腎臓」と認識されているんですね。

血合いのある魚とは?

赤身魚の場合、まぐろ、さば、かつお、いわし、さんまなどは、尻尾のほうに向かうほど血合いの部分の割合が高くなるのが特徴です。まぐろの場合は15%以上、真さばの場合は35%以上といわれていますよ。

白身魚の場合は、たら、鯛、かれいなどに血合いが含まれています。しかし、その割合は少なく、一般的には数%程度で10%を超えることはないといわれているんですよ。(※1)

白身魚より赤身魚のほうが血合いが多い理由

前述した血合いに含まれる「ミオグロビン」には、酸素を貯蔵する役割があります。赤身の魚は長時間泳ぎ続ける性質(回遊性)を持っているため酸素を多く必要とし、結果として血合いを多く持つようになったのだとか。

そのため、白身魚より赤身魚のほうが血合いの割合が多いといわれています。(※1)

血合いに含まれる栄養素

血合いには、前述したミオグロビンのほか、鉄やビタミンA、ビタミンD、ビタミンB6、グリコーゲン、アンセリンなどが豊富に含まれています。

このうち、鉄はもちろんミオグロビンは、貧血対策に役立つ栄養素。ビタミンAは目や皮膚の粘膜の健康を保つはたらきがあり、ビタミンDは骨格や歯の正常な発育に関わります。ビタミンB6は免疫機能の維持や、脂質の代謝に関与する栄養素です。

グリコーゲンは疲労回復や疲れにくい体作りに役立ち、集中力を高めるはたらきが。同じくアンセリンには疲労改善のはたらきがあり、そのほか、尿酸値を低下させ、痛風対策に役立つといわれています。(※1,2,3,4,5,6,7)

高たんぱく低カロリー

また、血合いは「高たんぱく低カロリー」な食材といわれています。そのため、ダイエット中に鉄やビタミン類を補給したい場合や、疲労改善に関わる栄養素を積極的に摂りたい場合におすすめですよ。(※1)

血合いの食べ方と取り除き方

取り除き方

血合いの取り除き方は、「筋肉の血合い」と「腎臓の血合い」で異なります。

筋肉の血合いの取り除き方
魚には血合い骨と呼ばれる大きめの骨が存在し、そこに血合いが固まっています。魚を三枚おろしにした際は、血合い骨ごと包丁で切ってしまうのが簡単でおすすめな方法です。

腎臓の血合いの取り除き方
腎臓の血合いは、お腹の部分を切って内臓を取り出したあと、歯ブラシやスプーン、専用器具などを使ってかき出します。内臓を取り除くと、血合いの膜が目で確認できるので、そこに切れ目を入れてからかき出すようにするといいですよ。

下処理の仕方

血合いは臭みがあるため、しっかりと下処理をしてから料理に使いたいもの。臭みを取る方法は大きく分けて「塩を使う方法」「加熱処理をする方法」があるので、以下で手順を紹介します。

塩で血合いの臭みを取る方法

塩を使う方法は多少時間がかかりますが、加熱処理で臭み取りをするよりも、身が固くなりにくいのがメリット。新鮮な血合いを生で使いたい場合や、煮物や焼き物などに使いたい場合におすすめです。

塩を振る方法
1.
血合いを流水で軽く揉み洗いして汚れを落とし、水気をしっかりと拭き取る
2. 塩を振って20~30分置く
3. 血合い表面に水分が出てきたら、再度流水で洗って水気をしっかりと取り除く

塩水に浸ける方法
1. 血合いを流水で軽く揉み洗いして汚れを落とす
2. 塩水に15分程度漬ける
3. 水を替えながら1時間ほど塩水に漬ける
4. 水気をしっかりと取り除く

加熱処理で血合いの臭みを取る方法

ゆでる方法
時間をかけず、よりしっかりと臭みを取りたい場合は、血合いをゆでる方法がおすすめです。

1. 血合いをさっと水洗いし、水気を拭き取る
2. 酒を加えた熱湯で5分ほどゆでる
3. ゆであがったら塩と酒を少々まぶし、数分置く
4. 再度水気をしっかりと拭き取り完成

揚げる方法
下処理をしてもクセが残る場合は、思い切って揚げ物にしてしまうのもひとつの手です。

1. 事前に水をはったボウルに血合いを入れ、1時間程度置いてから、水気をしっかりと拭き取る
2. しょうゆや酒などで下味をつける
3. 小麦粉や片栗粉をまぶして揚げ物に

よりしっかりと臭み対策をしたい場合は、下味ににんにくやしょうがなどの香味野菜を使ったり、スパイスを使ったりするのもおすすめです。

血合いに向いた料理

血合いは煮物や焼き物、揚げ物など、さまざまな調理法で食べることができます。しょうゆやみそを使って甘辛煮にするほか、ステーキやソテーにしたり、唐揚げにしたりとバリエーションは豊富。新鮮な血合いが手に入った場合は、刺身やユッケ風の和え物にして楽しむのもいいですよ。

魚の血合いを使うおすすめレシピ5選

1. 臭みを感じさせない!まぐろの血合いの角煮

まぐろの血合いを使う角煮のレシピです。まぐろの血合いを角切りにし、酒を加えた熱湯でサッと下ゆでをするのがポイント!このひと手間で、気になる生臭さも消えておいしく仕上がります。甘辛い味付けで、ごはんにも合いますよ。

2. 子どもでも食べやすい。血合いのハンバーグ

まぐろの血合いや豆腐を使うハンバーグのレシピ。たねにごま油を入れることで臭み消しになります。血合いをミンチにする際に目に見える筋は取り除くようにすると、おいしく仕上がりますよ。ハンバーグなら、お子さんでも食べやすいですね。

3. 下味をつけて。血合いの唐揚げ

臭みもなく食べやすい、竜田揚げのレシピ。細かく刻んだ血合いや野菜に調味料、小麦粉を加えて混ぜて揚げればOK。すべての材料を袋に入れて混ぜれば、洗い物も少なくできます。スーパーなどで血合いがたくさん手に入ったらぜひお試しください。

4. 風味抜群!ぶりの血合いのバターしょうゆソテー

ぶりの血合いをにんにくバターしょうゆで味付けすれば、お酒にぴったりのアテが完成!にんにくのパンチ、バターしょうゆの濃厚な味わいで、臭みも気にならずいただけます。血合いだけでなく、刺身の切り身があまった際にも活用できるレシピです。

5. 手軽に作れる。かつおの血合いのつみれ汁

かつおの血合いで作る、つみれ汁のレシピ。つみれは材料と調味料をフードプロセッサーにかけるだけで作れるので、とってもお手軽。香味野菜を混ぜることで、臭み消しになりますよ。最後にしょうがの絞り汁や小口ねぎを加えて、風味豊かな一杯に仕上げましょう。

血合いは捨てずに活用しましょう♪

魚の血合いは赤黒い色味をしていて臭みもあることから、ついつい敬遠してしまいがちな部分。しかし、栄養が豊富でさまざまな料理に活用できる部位でもあります。スーパーの魚売り場では安価で売られてるので、経済的なのもうれしいところ。

この記事でご紹介したように、下ごしらえをしっかりしたり、濃い目の味付けにしたりすれば生臭さも気にならずにおいしくいただくことができます。ぜひお試しくださいね。
【参考文献】
(2021/12/21参照)
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