ライター : ☆ゴン

「ご馳走様」の本来の意味を知っていますか?

日本では食事のまえに「いただきます」、食べ終わったら「ごちそうさま」と言います。普段からなにげなく口にする食事のあいさつ、慣用句ですね。ごちそうさまを漢字で「ご馳走様」と書きますが、そもそもどういう意味があるのでしょうか。

この記事ではご馳走様という文字の意味、ご馳走様と言われたときの返事の仕方、海外との違いについて解説。本来の意味や由来を知ることで、これからもっと気持ちよく、ご馳走様と言えるようになるはずです。

ご馳走様は感謝の気持ちを表すために使う言葉

ご馳走様の「馳走」はもとは漢語で、「馬で走りまわる」という意味です。いつでもどこでも食材が手に入る現代と違い、昔は食材の調達といえば、馬で走りまわって集めるほどの大仕事。そんな食材で作る豪華な料理を、敬語の「御」をつけてご馳走と呼ぶようになるのです。

ご馳走を食べた客人が感謝の気持ちをこめて、さらに敬語の「様」をつけてご馳走様と言ったのがはじまり。ご馳走様が食後のあいさつになったのは、江戸時代後半のことです。グルメや外食文化が確立するなかで、庶民も慣用句として使うようになったとされます。

「いただきます」も感謝の言葉だった

「いただきます」は、「食べます」の敬語表現で謙譲語にあたります。食べるという行為はほかの動植物を摂取すること。つまり自分の生命を維持するためほかの命を犠牲にするので、その恵みに感謝するという意識が生まれます。

これは日本に限ったことではなく、世界共通の考え方です。信仰や宗教の世界でも、食べ物に感謝するという教義がほとんど。そこから生産者や料理を作ってくれた人を含めて、感謝の気持ちを伝えるため、食事のまえにいただきますと言うのです。

ご馳走様と言われたらどう返事するのが良い?

来客があって食事を出したとき、食べ終わってご馳走様と言われたら、どのように返事したら良いのでしょうか。昔はよく「お粗末さまでした」と言っていました。たいした料理ではありません、とへりくだって謙遜する日本独特の言いまわしです。

また、そこまでへりくだらないものの、「お口に合いましたでしょうか」という表現もよく使われます。どちらも日本語の奥ゆかしさを表す美徳。とされた時代もありましたが、いまは違います。がんばって料理を作ったのだから、無理に謙遜する必要はありません。

礼儀や礼節も時代によって変わるものです。来客が年配の人なら、「喜んでもらえてうれしいです」。相手が友だちや子どもなら、「そう?ありがとう」で良いと思いますよ。

国によってはご馳走様に該当する慣用句がある

ご馳走様は本来の意味と使い方が異なるため、外国語で直訳することはできません。しかし食後のあいさつや慣用句なので、よく似た使い方をする国があります。それはお隣りの韓国。

韓国では食後に、「チャル モゴッスム二ダ(よく食べました)」と言います。インスタントラーメンを食べても、ご馳走を食べても、食欲がなくて途中で席を立っても必ずこう言うのが決まり。もとは儒教の国なので、礼儀や礼節によく似たところがあるようです。

それ以外の国では、宗教による食前のお祈りはあっても、ご馳走様に該当する表現はあまり見られません。英語では「おいしい食事をありがとう」、中国語では「とてもおいしかった」というのが、一般的な感謝の伝え方です。

食後は必ず感謝の気持ちをご馳走様で伝えよう

いつもなにげなく使っているご馳走様は、まったく違う意味の言葉から来ているのですね。日本は漢字文化の国なので、中国の漢語を由来とするのは当然といえば当然。いずれにしても、食べ物に感謝の気持ちを表すのは良いことです。これからはもっと大きな声で、ご馳走様と言いましょう。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ