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昔の資料から読みとると?
ちなみに、日本最古の漢和辞典『新撰字鏡(しんせんじきょう)』には、アルコール度が高いお酒を「カラシ」と記述しているそうです。これは、アルコール度数が高く舌にピリピリとした刺激があったためではないかという見解があります。
そのほか、江戸時代の資料にも、お酒の味を「から口」と表現していたものがあるとのこと。これに関して、その時代のお酒は酸味による刺激が強かったため、「から口」と表現されたのではという見解があります。ただし、江戸時代のお酒は本当に辛口だったようです。いずれにせよ、古い時代から現代まで、いろいろな認識や解釈、恐らく誤解なども含めて積み重ねられ、酒好きを「辛党」と呼ぶ表現ができあがったことは間違いなさそうです。
お酒好きを左党とも言う
お酒好きなひとを表す言葉として、「辛党」のほかに、「左党(さとう)」あるいは「左きき」というものがあります。
江戸時代、職人は右手に槌(つち)、左手にノミを持っていたため、右手を槌手(つちて)、左手をノミ手といったのだとか。その「ノミ手」という言葉が、ごろ合わせで「飲み手」になり、やがて、よく飲むひとが「左党(さとう)」あるいは「左きき」と呼ばれるようになったようです。ちなみに、対義語としてお酒が飲めないひとは「右党(うとう)」と呼ぶそうです。
このほかにも、階級を含めた言葉「上戸(じょうご)」と「下戸(げこ)」があります。
大宝律令による身分制度には、大戸>上戸>中戸>下戸という四階級がありました。大戸は最上級、下戸は最下級です。それぞれ結婚式など祝いごとの際には、各家庭でお酒が振る舞われますが、お金持ちはたくさんお酒を用意できるものの、お金のない家は、振る舞えるお酒の量も少しでした。
そのようなことから、上流階級の「上戸(じょうご)」はお酒を飲めるひとに例えられ、下級階級の「下戸(げこ)」はお酒が飲めないひとに例えられるようになりました。うーん……なんだか、その意味を知ってしまうと、使いづらくなってしまいます。
時代は変わった!酒飲みでも甘党?
お酒が好きなひとは甘いものを好まないという固定観念のもと、「辛党」「甘党」という言葉が成り立っていますが、実際にはお酒も甘いものも大好き!というひとは少なくありません。食の多様化が影響し、最近はよりその傾向が強いようです。
日本酒と和菓子、赤ワインとフォンダンショコラ、シャンパンと漬け込みフルーツが入ったパウンドケーキなど……ワクワクするようなお酒とスイーツの組み合わせを楽しむ女性がどんどん増えています。これからは、そんな時代にあった「お酒好きさん」を言い表す言葉が必要かもしれませんね!
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