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あなたは「辛党?それとも甘党?」という表現は、普通によく耳にしますよね。しかし、その言葉に含まれた意味は複雑に入り混じっているようです。そのカギとなるのはお酒……!辛党と甘党の真実を求めて、古き時代にさかのぼり真相を探ります。

あなたは辛党……ではないかも?

こんな会話を耳にすることはありませんか?

「辛党はカレーやキムチなどの辛(から)いものが好きなひとのことじゃないの?」
「違うよ、辛党は、甘いものよりお酒の方を好むひとのことだよ」

たしかに、辞書にはしっかりと「辛党……菓子などの甘いものよりも酒のほうを好むひと」と記されています。

NHK放送文化研究所では「辛党」=「辛いもの好き」という認識が生まれたいきさつを、1980年代の「激辛ブーム」以降、もともと日本にはあまりなかった激辛味が多くなり、それを表現する際に「辛党」が転用されたのではと解説しています。では、辞書にも載っていない「辛党は辛いものを好むひと」という解釈は間違いなのでしょうか?

実はこれ、間違いとはいいきれません。なんと、昔から「辛党は酒好き」も「辛党は辛いもの好き」も、並行して使われていたのです。

辛党の本当の意味、知ってる?

過去の用例から見る「辛党」の意味

昭和初期に活躍した劇作家の岸田國士(きしだくにお)さんが書いた『甘い話(1930年)』や、俳人の種田山頭火(たねださんとうか)さんの『其中日記(1935年)』では、「辛党はお酒を好むひと」という解釈で引用されています。

しかし、新聞記者だった松川二郎(まつかわじろう)さんの『趣味の旅 名物をたづねて(1926)』や、日本の医師で育児評論家の松田道雄(まつだみちお)さんの『私は赤ちゃん(1960)』では、「辛党は辛(から)い味付けを好むひと」という解釈で引用しているようです。

そうなると、1980年代の激辛ブームから「辛党」の解釈が取り違えられたという話が怪しくなってきました。1920年代にも、1930年代にも、1960年代にも、辛党は辛いもの好きという解釈と、酒好きという解釈が並行していたのですから。さて、ではいったい真実はどれなのでしょう?

「辛党」の本当の意味とは

結論からいうと、いろんな解釈すべてが間違いではありません。ただし、唐辛子のような激辛ではなく、塩辛い(塩味が濃い・しょっぱい)ものというのが本来の意味です。つまり、「辛党」=「甘いものよりも、お酒もしくは塩辛いもの、あるいは両方が好きなひと」というわけなのです。

そもそも、辛(から)いという言葉は、古い時代において「舌を刺すような鋭い味覚」全般をいい表していたようです。それは、しょっぱい味や、酸っぱい味、アルコールによる刺激もひとくくりだったということです。塩味が濃いものを「からい」といい表すのは、東海・西日本一帯・東北においては現代でも同じです。

なお、辞書に「辛党=酒好き」解釈のみが引用され、「辛党=塩辛いもの好き」が引用されていないことに関して、「ある時期になぜか辞書から取りこぼされてしまった」といわれています。

1930年代生まれの80代の女性に「辛党」とは?と尋ねてみると、即座に「お酒が好きなひと」と答えてくれます。しかし、では、辛いものが好きなひとのことではないの?と聞くと、「いや、辛いもの“も”好きなひと」といいます。そして、「お酒が好きなひとは、味付けの濃い塩辛いものを好むから、どちらの意味も含まれる」と教えてくれました。

じゃあ甘党は?

では、「辛党」の反対の「甘党」はどうなのでしょう?

これについては、甘いものが好きなひとで間違いありません。ただし、「お酒よりも、甘いものを食べるのが好きなひと」という意味が本来のものです。

昔から「酒好き」と「甘いもの好き」は、対立させられる風潮があったようです。そのため、「辛党」と「甘党」は、まるで反発しあうような意味を込めた対義語になりました。

しかし、古い文献には、お酒入りのお菓子があるのにそれは不合理であるとか、それぞれのよさがあるとか、酒も好きだがお菓子も好きだというカミングアウトまであるようです。

日本酒が辛党、甘党に影響?

お酒が深くからんでいる「辛党」と「甘党」ですが、そもそも日本酒にも「辛口」と「甘口」があります。日本酒の「辛口」は日本酒度が高いので、「辛党」が酒好きを意味するようになったという解釈もあります。また、お酒好きは辛めのお酒を好み、甘いお酒を好まないという見解も影響しているといわれています。

しかし、日本酒度は、お酒の強さとは関係ありません。

日本酒度とは、お酒の甘口・辛口を見分ける目安であり、お酒がお水より軽い・重いを示すもので「-(マイナス)」と「+(プラス)」で表現されます。「-(マイナス)」度数が高ければ、お水より重い糖分が多い甘いお酒です。逆に、「+(プラス)」度数の高いお酒は糖分が少なくて辛いお酒です。つまり、辛口のお酒は、日本酒度「+(プラス)」の数値が高いわけですが、これはあくまでも甘口・辛口を見分けるものなのです。

また、熟練の愛酒家は、辛口であるとか、甘口であるといったことには、固執していないようです。

1980年代には、宣伝文句に影響され、あたかも辛口が優れたお酒かのような認識が広がりましたが、酒通といわれる人々は「酸味・渋み・うま味」などが複雑に絡み合う味を楽しんでいるので、辛口や甘口でお酒を評価することはないとのことです。

昔の資料から読みとると?

ちなみに、日本最古の漢和辞典『新撰字鏡(しんせんじきょう)』には、アルコール度が高いお酒を「カラシ」と記述しているそうです。これは、アルコール度数が高く舌にピリピリとした刺激があったためではないかという見解があります。

そのほか、江戸時代の資料にも、お酒の味を「から口」と表現していたものがあるとのこと。これに関して、その時代のお酒は酸味による刺激が強かったため、「から口」と表現されたのではという見解があります。ただし、江戸時代のお酒は本当に辛口だったようです。いずれにせよ、古い時代から現代まで、いろいろな認識や解釈、恐らく誤解なども含めて積み重ねられ、酒好きを「辛党」と呼ぶ表現ができあがったことは間違いなさそうです。

お酒好きを左党とも言う

お酒好きなひとを表す言葉として、「辛党」のほかに、「左党(さとう)」あるいは「左きき」というものがあります。

江戸時代、職人は右手に槌(つち)、左手にノミを持っていたため、右手を槌手(つちて)、左手をノミ手といったのだとか。その「ノミ手」という言葉が、ごろ合わせで「飲み手」になり、やがて、よく飲むひとが「左党(さとう)」あるいは「左きき」と呼ばれるようになったようです。ちなみに、対義語としてお酒が飲めないひとは「右党(うとう)」と呼ぶそうです。

このほかにも、階級を含めた言葉「上戸(じょうご)」と「下戸(げこ)」があります。

大宝律令による身分制度には、大戸>上戸>中戸>下戸という四階級がありました。大戸は最上級、下戸は最下級です。それぞれ結婚式など祝いごとの際には、各家庭でお酒が振る舞われますが、お金持ちはたくさんお酒を用意できるものの、お金のない家は、振る舞えるお酒の量も少しでした。

そのようなことから、上流階級の「上戸(じょうご)」はお酒を飲めるひとに例えられ、下級階級の「下戸(げこ)」はお酒が飲めないひとに例えられるようになりました。うーん……なんだか、その意味を知ってしまうと、使いづらくなってしまいます。

時代は変わった!酒飲みでも甘党?

お酒が好きなひとは甘いものを好まないという固定観念のもと、「辛党」「甘党」という言葉が成り立っていますが、実際にはお酒も甘いものも大好き!というひとは少なくありません。食の多様化が影響し、最近はよりその傾向が強いようです。

日本酒と和菓子、赤ワインとフォンダンショコラ、シャンパンと漬け込みフルーツが入ったパウンドケーキなど……ワクワクするようなお酒とスイーツの組み合わせを楽しむ女性がどんどん増えています。これからは、そんな時代にあった「お酒好きさん」を言い表す言葉が必要かもしれませんね!

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ライター たまにイラストレーター ファブリックスのデザイナーから...

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