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西洋料理に欠かせないハーブ「タイム」
私の洋風料理に欠かせないハーブ「タイム」。
シソ科の多年草であるイブキジャコウソウの総称で、日本でタイムと呼ばれているのは、南ヨーロッパ原産のタチジャコウソウであるコモン・タイムのことを言うのだそうです。
ヨーロッパ、北アフリカ、アジアを原産地とするタイムは、強い殺菌力や防腐効果を持ちあわせています。
古代から暮らしに根付いていたハーブ
古代エジプトではミイラを保存するために、古代ローマでは聖堂の浄化の際に、古代ギリシャでは神殿で焚く香として、タイムは古くからヨーロッパの暮らしのなかで使われていました。
古代のギリシャやローマでは勇気と品位の象徴として、戦地へ赴く兵士たちはタイムのお風呂に浸かり、女性たちはタイムをかたどった刺繍をスカーフに施して、戦地へ向かう恋人や旦那さんに贈ったのだとか。
タイムの使い方と保存方法
香りと効能の高いタイムは、スープや煮込みや焼きものなど、あらゆる西洋料理に幅広く利用されています。薬効としては、咳や痛みを鎮めたり、たんを取り除いたり、強壮効果や防腐作用が期待できます。
香りの持続するタイムは、乾燥させた状態で保存することも可能です。
その場合、根っこの部分を切って小さなブーケにして台所に吊るしたり、通気性のよいざるなどに並べて保存したりします。
フレッシュな状態のまま保存する場合は、濡れたペーパーに包んでラップなどで密封し、冷暗所で保管します。
今回は、一年中わが家の台所で大活躍のタイムを使って、桜の季節にぴったりのレシピを紹介します。
成層圏を憶いだす、新たまねぎのポトフ。
パリへと向かう飛行機のなかで、「ポトフ」が「pot(鍋) - au - feu(火)」であるということを知り、なんて素敵な言葉なんだろうと感心したのを憶えています。
pot - au - feu = 火にかけた鍋。
それ以来、私にとってポトフは特別な食べものとなりました。
鍋に野菜とハーブを入れて火にかけるだけのポトフは、手のかからないご馳走。
仕事で帰りの遅い夜や急な来客のときなどに、重宝するシンプルな料理です。
ポトフを作るたびに思いだす、成層圏のなかでの時間。
パリにまつわる本を何冊も持ちこんで、睡眠をとるのも忘れ下調べのためにと読書へ走った雲のうえの宇宙。
窓から見えた青の風景は、地球を想う青い色でした。
「新たまねぎのポトフ」のレシピ
材料
・塩
・水
・油
・タイム
・新たまねぎ
作り方
1. 鍋を熱し油をさして、たまねぎを加え、弱火で炒める。
2. たまねぎがしんなりして白い色が透明がかってきたら、塩とタイムを加えて、玉ねぎを覆うくらいの水を注ぐ。
3. 沸騰するまで強火で、その後は中火と弱火を行ったり来たりで、たまねぎが汁になじむまで煮こんでいく。
4. とろとろの汁が出来あがったら、器に供し、胡椒やオイルなど(分量外)をかけて、熱々のうちにどうぞ。
新たまねぎは、食べやすい大きさにちぎったり、切り刻んだり、お好きなように支度してください。
塩は、ひとつまみずつ加えて数分おき、味をみる。足りなければ足す。という加え方をすると、失敗することもありません。
今回は、オリーブ油を使用しました。お家にある油でお作りください。
水と塩とハーブ、そして野菜のみと、とてもシンプルなレシピなのに、驚くほど美味しく感激してしまいます。
美味しく仕上げるコツは「美味しそうだなぁ」と思える材料を選ぶことと、美味しく出来あがるのを楽しみに調理する時間です。
春のよろこびを想う、春色のグリル。
鯛が春の魚だと知ったのは、ここ最近のこと。
実家では「おめでたい魚」として、祝いごとの食卓には鯛の炊きこみご飯が並べられたりしたものです。
アクアパッツァなどでも鯛は調理されたりしますが、私のなかでは日本の祝儀を感じる魚。
とりわけ、家族と囲んだ特別な日の食卓を憶いだします。
鯛と同じく家族を憶う食べものをあげると切りはありませんが、春が来るたび実家の庭に必ず現れたのは、ふきのとうとつくし。
雪解けのなかに現れる愛らしいそれらを見つけては、春がやって来たよろこびを、食卓で分かち合いました。
春を告げる旬菜が持つ苦みは、冬のあいだに自然と身体に溜まった不要なものたちを体外へと押し流してくれる働きがあります。
旬のものをいただくということの意味もまた、食卓で学びました。
私にとって家族と囲んできた幾つもの食卓は、季節を知るための手がかりだったように思います。
春のよろこびを料理に込めて、大切な人と分かち合う食卓を積み重ねていきたいものです。
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