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松阪市の生活道路沿いにある「長助」は、地域に根差した味噌煮込みうどんの名店として半世紀近くにわたり愛され続けている。この店は、今や二代目の手によって新たな進化を遂げた。名物の味噌煮込みうどんだけではなく、カレーうどんや郷土料理である天巻きなど、実は松阪でよく食べられている名物料理を楽しむことができる。
そんな「長助」の二代目店主、山本裕太郎さん(32)は店を継いてはや7年になる。長助ひと筋12年、そんな裕太郎さんに店のこれまでとこだわりを伺った。
そんな「長助」の二代目店主、山本裕太郎さん(32)は店を継いてはや7年になる。長助ひと筋12年、そんな裕太郎さんに店のこれまでとこだわりを伺った。
受け継がれる技術と革新への挑戦
店の歴史は1975年頃、初代が松阪市内の二階建ての建物で創業したことに始まる。初代は元々寿司屋で働いていたが、うどん店での修行を経て独立を果たした。店名の由来は初代店主のあだ名から。体格の良く背の高い初代が「ちょーさん」と呼ばれていたことから名付けたという。最終的には自身のあだ名を冠した「長助」として開業した。
創業当時は現在の店舗からすぐ近くの小さな店舗からスタート。やがて現在の店舗となる土地も取得し、最盛期には100席を超える規模にまで拡大した。宴会需要にも対応できる大型店舗として、地域の人々の集いの場となったのである。
現在の店舗に移転したのは約25年前のこと。現店主が小学生低学年の頃だったという。移転当初は80席ほどあった座席も時代の変化とともに徐々に縮小し、現在は座敷席とテーブル席を中心としたより落ち着いた雰囲気の店構えとなっている。この変化は単なる規模の縮小ではなく、店主の経営哲学の変化を反映したものでもある。
創業当時は現在の店舗からすぐ近くの小さな店舗からスタート。やがて現在の店舗となる土地も取得し、最盛期には100席を超える規模にまで拡大した。宴会需要にも対応できる大型店舗として、地域の人々の集いの場となったのである。
現在の店舗に移転したのは約25年前のこと。現店主が小学生低学年の頃だったという。移転当初は80席ほどあった座席も時代の変化とともに徐々に縮小し、現在は座敷席とテーブル席を中心としたより落ち着いた雰囲気の店構えとなっている。この変化は単なる規模の縮小ではなく、店主の経営哲学の変化を反映したものでもある。
親父の背中から学んだ修行時代
名古屋の調理専門学校に通いながら父親が営んでいた店で修行を積んだ彼は、卒業後20歳の頃から本格的にこの道に入った。卒業と同時に松阪の「長助」へと戻ってきたのだ。
嬉野での修行時代、父親から学んだのは麺打ちの基本だった。手打ちうどんの技術、そばの打ち方、出汁の取り方といった基礎を徹底的に叩き込まれた。父親の店ではおせち料理も手がけており、季節の料理についても幅広く学ぶことができた。興味深いのは、父子関係における師弟関係の在り方だ。
裕太郎さんは当時を振り返り、「身内だからこそ難しい面もあったが、自分が何も知らない状態だったからこそ素直に学べた」と語る。
嬉野での修行時代、父親から学んだのは麺打ちの基本だった。手打ちうどんの技術、そばの打ち方、出汁の取り方といった基礎を徹底的に叩き込まれた。父親の店ではおせち料理も手がけており、季節の料理についても幅広く学ぶことができた。興味深いのは、父子関係における師弟関係の在り方だ。
裕太郎さんは当時を振り返り、「身内だからこそ難しい面もあったが、自分が何も知らない状態だったからこそ素直に学べた」と語る。
父から息子へ、そして独自の道へ
裕太郎さんが店を継いだのは7年ほど前の25歳前後のこと。それまでは父親と共に働いていた職人が店を切り盛りしていたが、裕太郎さんが本格的に関わるようになってから数年後その職人は店を去り、完全に世代交代が実現した。しかし、この継承は決して平坦な道のりではなかった。
店を継いでから最初に直面したのは、常連客からの「味が変わった」という声だった。何も変えていないにもかかわらず、そう言われることもあった。しかし裕太郎さんは、この声を単なる批判として受け止めるのではなく、より良い味を追求するきっかけとした。出汁の取り方、小麦粉の配合、味噌の種類まで、あらゆる要素を見直し、試行錯誤を重ねた。味の要となる味噌やうどん屋の根幹とも言える小麦に至るまで、時には複数の産地の材料をブレンドすることで、独自の味を作り上げていった。
店を継いでから最初に直面したのは、常連客からの「味が変わった」という声だった。何も変えていないにもかかわらず、そう言われることもあった。しかし裕太郎さんは、この声を単なる批判として受け止めるのではなく、より良い味を追求するきっかけとした。出汁の取り方、小麦粉の配合、味噌の種類まで、あらゆる要素を見直し、試行錯誤を重ねた。味の要となる味噌やうどん屋の根幹とも言える小麦に至るまで、時には複数の産地の材料をブレンドすることで、独自の味を作り上げていった。
長助こだわりの手仕事
「長助」最大の特徴は、メニューによって出汁を使い分けていること。味噌煮込みうどんには味噌専用の出汁を使用し、通常のかけうどんやカレーうどんにはかつお出汁を使う。さらに冷たいざるうどんには、厚削りのかつお節を使った別の出汁を用意している。つまり店内では三種類の出汁が常に準備されているのだ。
自家製の手打ち麺へのこだわりも並々ならぬものがある。使用する小麦粉は香川県産と長野県産を中心に使用している。味噌煮込み用の麺は特に硬めに仕上げられており、どれだけ煮込んでも独特の歯ごたえを保つ特別な配合だ。一方、通常のうどんに配合割合を変えた別の粉を使用。お客は硬い麺と柔らかい麺を選ぶことができ、それぞれの好みに応じた食感を楽しめる。松阪牛を使った贅沢なバージョンや、牡蠣を使った季節限定メニューなど、バリエーションも豊富だ。
自家製の手打ち麺へのこだわりも並々ならぬものがある。使用する小麦粉は香川県産と長野県産を中心に使用している。味噌煮込み用の麺は特に硬めに仕上げられており、どれだけ煮込んでも独特の歯ごたえを保つ特別な配合だ。一方、通常のうどんに配合割合を変えた別の粉を使用。お客は硬い麺と柔らかい麺を選ぶことができ、それぞれの好みに応じた食感を楽しめる。松阪牛を使った贅沢なバージョンや、牡蠣を使った季節限定メニューなど、バリエーションも豊富だ。
こだわりの味噌煮込みうどん
その中でも看板メニューは、何と言っても味噌煮込みうどんだ。
味噌についても独自の工夫がある。名古屋の味噌煮込みといえば八丁味噌が定番だが、同店では使用していない。代わりに名古屋の業者から仕入れた4種類以上の赤味噌をブレンドして使用。さらに「名物煮込み」と呼ばれる特別メニューでは、赤味噌に白味噌を加え、練りごまやニンニクを加えることで、よりコクとパンチのある味わいに仕上げている。
味噌についても独自の工夫がある。名古屋の味噌煮込みといえば八丁味噌が定番だが、同店では使用していない。代わりに名古屋の業者から仕入れた4種類以上の赤味噌をブレンドして使用。さらに「名物煮込み」と呼ばれる特別メニューでは、赤味噌に白味噌を加え、練りごまやニンニクを加えることで、よりコクとパンチのある味わいに仕上げている。
カレーうどんという新たな看板
近年、裕太郎さんが力を入れているのがカレーうどんだ。実は松阪周辺はカレーうどんの激戦区として知られており、多くの店が独自のカレーうどんを提供している。「長助」でも以前からカレーうどんを提供していたが、味噌煮込みのイメージが強く、それほど注目されていなかった。
転機となったのは、店の看板を変更したことだった。味噌煮込みうどんと並んでカレーうどんを大きく掲げたところ、注文数が劇的に増加した。看板を変えただけで売上が大きく伸びたことに、店主自身も驚いたという。これまで味噌煮込みを目当てに来ていた客の中にも、実はカレーうどんに興味を持っていた人が多かったのだ。看板という視覚的な情報の重要性を、店主は身をもって実感することとなった。
転機となったのは、店の看板を変更したことだった。味噌煮込みうどんと並んでカレーうどんを大きく掲げたところ、注文数が劇的に増加した。看板を変えただけで売上が大きく伸びたことに、店主自身も驚いたという。これまで味噌煮込みを目当てに来ていた客の中にも、実はカレーうどんに興味を持っていた人が多かったのだ。看板という視覚的な情報の重要性を、店主は身をもって実感することとなった。
現在では味噌煮込みうどんと並ぶ人気メニューとなったカレーうどんだが、その味わいは他店とは一線を画している。自家製の出汁とスパイスの絶妙なバランス、そして独自の麺との相性が、多くの客を魅了している。季節によってトッピングを変えるなど、常に進化を続けている点も支持される理由だろう。
常連が次の客を連れてくる店の空気
「長助」の客層は、主に年配の夫婦や友人同士のグループが中心だ。最近は広めのテーブルでゆったりと食事ができると家族連れでの来店が増え、時間をかけてゆっくりと食事を楽しむお客が多い。さらに、常連客が新しい客を連れてくるという好循環が生まれているという。
「中途半端なものは出さない」という覚悟
店主の経営哲学は明確だ。中途半端なものは絶対に出さない。すべての料理に目を通し、基準に満たないものは作り直す。価格に見合った品質を提供することが責任だと考えている。スタッフにもこの基準を徹底させており、迷ったら必ず確認するよう指導している。
若き店主の葛藤と成長
30代前半という若さで、すでに10年近くの経営経験を持つ山本氏。彼の落ち着いた雰囲気と、どっしりとした経営姿勢は、年齢以上の成熟を感じさせる。この十年余りの間には、様々な葛藤があった。店を継いだ当初は、期待と不安が入り混じり、ピリピリとした雰囲気もあったという。しかし、若くして店に入ったからこそ、時間をかけて成長することができた。もし三十歳で店を継いでいたら、今頃は焦燥感に駆られていただろうと笑いながら振り返っていた。
現在の店主からは、若さゆえの焦りや不安は感じられない。むしろ、長年この道を歩んできたベテランのような落ち着きと、確固たる信念が感じられる。それは、早くから店に関わり、様々な経験を積んできたからこそ得られたものだろう。上がり下がりを経験し、それでも店を続けてきたという自信が、今の彼を支えている。
現在の店主からは、若さゆえの焦りや不安は感じられない。むしろ、長年この道を歩んできたベテランのような落ち着きと、確固たる信念が感じられる。それは、早くから店に関わり、様々な経験を積んできたからこそ得られたものだろう。上がり下がりを経験し、それでも店を続けてきたという自信が、今の彼を支えている。
伝統と革新の狭間で
「長助」は、伝統を守りながらも、常に進化を続けている。父親から受け継いだ技術を基礎としながらも、二代目は独自の工夫を加え続けている。出汁の配合を変え、小麦粉の産地を選び、味噌のブレンドを調整する。これらの変更は、伝統を否定するものではなく、より良いものを追求する姿勢の表れだ。
常連客から「味が変わった」と言われた時、店主は防御的にならず、それを改善のきっかけとした。実際には何も変えていない時でさえそう言われることがあったが、それでも真摯に受け止め、さらなる向上を目指した。この姿勢こそが、店の味を進化させ続ける原動力となっている。
同時に、店主は変えてはいけないものも理解している。それは、丁寧に作るという基本姿勢であり、客に対する誠実さだ。中途半端なものは出さないという原則は、初代から受け継がれた精神そのものだ。技術や味は時代とともに変化しても、この根本的な姿勢は変わらない。
変わり続けるために、変えないもの
「長助」の物語は、単なる老舗の継承譚ではない。若き店主が、受け継いだ技と真剣に向き合いながら、自分なりの答えを積み重ねていく過程そのものだ。父から教わった技術を土台にしつつ、時代や自分自身と向き合い、少しずつ店のかたちを更新していく。その姿は、同じように「継ぐ立場」に立つ者にとって、静かな指針となるだろう。
一方で、変えてはいけないものもはっきりしている。丁寧に作ること。客に対して誠実であること。そして、中途半端なものは出さないという覚悟。それは初代から脈々と受け継がれてきた「長助」の精神そのものだ。技術や味は時代とともに変わっても、この根にある姿勢だけは揺らがない。
松阪の静かな通りで、今日も厨房には出汁の香りが立ちのぼり、麺が打たれている。一杯の中に込められているのは、二代分の技と経験、そして何より、客に喜んでもらいたいというまっすぐな思いだ。
「ぜひ一度、足を運んでほしい」
その言葉には、料理への自信と、客を迎えることへの喜びが、静かに滲んでいた
一方で、変えてはいけないものもはっきりしている。丁寧に作ること。客に対して誠実であること。そして、中途半端なものは出さないという覚悟。それは初代から脈々と受け継がれてきた「長助」の精神そのものだ。技術や味は時代とともに変わっても、この根にある姿勢だけは揺らがない。
松阪の静かな通りで、今日も厨房には出汁の香りが立ちのぼり、麺が打たれている。一杯の中に込められているのは、二代分の技と経験、そして何より、客に喜んでもらいたいというまっすぐな思いだ。
「ぜひ一度、足を運んでほしい」
その言葉には、料理への自信と、客を迎えることへの喜びが、静かに滲んでいた
長助
〒515-0045
三重県松阪市駅部田町1802
木曜日
11:00〜14:15
17:00〜20:00
月曜日
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火曜日
定休日
水曜日
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土曜日
11:00〜14:15
17:00〜20:00
日曜日
11:00〜14:15
17:00〜20:00
0598-23-8227
席数
32名(カウンター×8、座敷6名掛け×2、テーブル4名掛け×3)
定休日
火曜、月一回水曜不定休
最寄駅
松阪駅から車で10分
支払方法
現金のみ
平均予算
1,000〜2,000円
駐車場
店前10台、第二駐車場5台
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※記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。
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