器も素敵なものを選び、豪華にデコレート!

お皿もスイーツの一部!見映えのする、お気に入りの大きなお皿にデコレーションしてみてください。色鮮やかで豪華に見えるように試行錯誤していく、その過程も楽しんでもらいたいですね」

プリン・ア・ラ・モードはなぜ誕生した?発祥店が明かす秘話

Photo by ホテルニューグランド

開業当時のホテルニューグランド
――「プリン・ア・ラ・モード」は、どのような経緯で誕生したのですか?

熊倉さん(以下、熊倉) 「プリン・ア・ラ・モード」誕生の背景は、ホテルの歴史と深く結びついます。当ホテルは、第二次世界大戦から約7年間、ホテルとしては営業できず、外国人の高級将校たちの宿舎になっていました。

そこで、将校家族のご婦人方に何か喜んでいただけるものをと生まれたのが、「プリン・ア・ラ・モード」だったんです。

Photo by 島田みゆ

――なぜ、プリン・ア・ラ・モードという名前になったのですか?

熊倉 これは召し上がった将校夫人が付けてくださったものなんです。

知り合いもいない異国の地、さらには島国で敗戦国でもある日本での生活は、将校夫人たちも不安だったでしょう。ホテルとして、せっかくなら少しでも楽しく過ごしていただきたい、何かおもてなしができないかと考えました。そこで生まれたのが「プリン・ア・ラ・モード」だったのです。

この美しく豪華な見た目は、将校夫人たちにとって驚きであり、癒しにもなっていたのだと思います。

現在、りんごはウサギ型のカットですが、誕生当時はアローカットという包丁技術を使って切っていました。初めて見る繊細な技術に感動して、「プリン・ア・ラ・モード」と名付けたそうです。当時としては、まさに最先端だったのです。

Photo by 島田みゆ

――「プリン・ア・ラ・モード」といえば、横に長い舟形のお皿が特徴的ですが、なぜこのデザインなのでしょうか?

熊倉 これは本来デザート用ではなく、前菜用の「コルトンディッシュ」というお皿なんです。当時はパティシエという肩書の者はまだいなかったので、シェフのデザート担当者が使い始めたのではないかと言われています。

プリンもバニラアイスも単体メニューとしてはありましたが、「このお皿に両方のせて、さらにフルーツも加えて色とりどりに盛り付けたら、きっと喜んでもらえるのでは?」という想いが、このデザートを生み出したんです。

Photo by 島田みゆ

――フルーツ にオレンジ、りんご、キウイフルーツを使っている理由はあるのですか?

熊倉 米軍が持ち込んだフルーツを使っていたためです。保存が効きやすく一年中手に入り、接収中でも安定供給できるものばかり。

当時プルーンは、日本ではあまりなじみがなかったものですが、軍用食として入っていたのだと思います。

プリン・ア・ラ・モードは「食べた人を笑顔に、幸せにするスイーツ」

「実は、プリン・ア・ラ・モードのレシピは、シェフからシェフへと代々口伝えで伝承してきたものなんです。だからこそ変えることなく、これからも多くの人に愛される味を残していきたいです」と熊倉シェフ。

日本人らしいおもてなしの心から生まれたスイーツ、プリン・ア・ラ・モード。誕生の歴史を知って想いをめぐらせながら味わえば、きっとよりおいしく感じられますよね。

次の休日のご褒美は、プリン・ア・ラ・モードで決まり!楽しいティータイムを過ごしてください。

文・撮影:島田みゆ
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