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横浜家系ラーメンの広がる系譜「直系」「壱系」「CPS」とは?

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「吉祥寺武蔵家」の「ラーメン」
『吉村家』の公式サイトによると、その味を受け継ぐラーメン職人は、直弟子・孫弟子を含め300人にも及ぶと言われています。そのなかで、『吉村家』が公式に『直系』の認定を与えているのは、2024年4月現在5店(杉田家、はじめ家、厚木家、高松家、上越家)のみです。

『吉村家』出身者のなかにも、元祖の味をベースにしつつ違う魅力を探るべく、さまざまに枝分かれしています。『出身者の店の出身者……』という形で枝分かれしていった店のひとつとして、新中野からスタートし都内で多店舗展開している『武蔵家』があります。『吉村家』の味よりも豚骨の味を立たせて、さらに濃厚にした印象。

その『武蔵家』出身の店主が、さらに個性的な味の『武道家(ぶどうか)』を立ち上げ、その系統も店舗を拡大しています」

壱六家の「らーめん」

「やがて家系ラーメン店が増えると、ブランド名に“家系”と付いてはいても、『吉村家』とは無関係の店も登場し始めます。『壱六家』から始まる『壱系』と呼ばれるラーメン店もそのひとつ。

『吉村家』で特徴的な鶏ガラよりも、豚骨が印象的で濃厚な『CPS(クリーミーポタージュスープ)』とも呼ばれています。

さらにセントラルキッチンを採用し、FC(フランチャイズチェーン)で店舗展開をしている『町田商店』などでは、従来の家系ラーメン店とは異なり、塩味や味噌味のラーメンも提供しています。

こうした展開に疑問を抱く方もいるかもしれませんが、家系ラーメンを食べられるお店が日本全国に広がるということに意味があるとも考えられます」

専門家直伝!横浜家系ラーメンを120%楽しむ方法

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輝道家の「ラーメン」とライス
「『吉村家』は創業当時、神奈川県新杉田の産業道路沿いにトラックを駐車できる店を出していました。ターゲットがトラックドライバーだったので、朝から食べられるような営業時間で、汗を流すドライバーさんたちにおいしく食べてもらいたいと思って、味も濃厚にしていたと思われます。

また、体力を消耗するドライバーさんにお腹いっぱい食べてもらいたいと考え、ライスもメニューにありました。家系ラーメン店の多くがライスを提供しているのは、そんな歴史があるのです」

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「そうした家系ファンたちから広まったのが、スープに海苔をひたし、それでごはんをくるんで食べる方法。おいしいので、ぜひ試してみてください。

また、卓上にたくさん調味料を用意しているお店も多く、ひと通り入れてみて、どれを入れたらどうなるかを自分の舌で確かめ、好みの方向を見つけるのも楽しいですよ」

個性豊かな横浜家系ラーメンを堪能しよう

お客に寄り添って、それぞれの好みに合わせてくれる懐の深さ、元祖への敬意を抱きつつ挑戦を続ける職人たちの情熱があふれる「家系ラーメン」。職人たちの想いがつまった渾身の一杯を、ぜひ味わってみてはいかがでしょう。

取材・文/桑原恵美子
写真提供/山本剛志
構成/道岡直宏(macaroni編集部)
※ 記事の内容は、公開時点の情報です。記事公開後、メニュー内容や価格、店舗情報に変更がある場合があります。来店の際は、事前に店舗にご確認いただくようお願いします。

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