ライター : ピリカタント 西野優

出張料理人

季節に合わせて選ぶハーブとスパイス

はじめまして、こんにちは。 「ピリカタント」という屋号で、出張料理や食べることにまつわる会の開催、レシピの提供など、「旅する台所」として食に関わる活動を続けている西野優です。 この連載では、季節の変化に伴った体調の乱れを整えてくれるハーブやスパイスを使った料理と、料理をとりまく旅のエピソードを綴らせていただきます。 連載一回目の今回は、免疫力をあげてくれたり風邪やインフルエンザの予防にもよいと言われている、この季節にぴったりのハーブ「生姜(しょうが)」について。かんたんでおいしい異国風のレシピとエピソードをお届けします。

世界中で愛用されている生姜のお話

日本では食材として親しまれている「生姜(しょうが)」。 欧米ではハーブとして、中国やインドでは伝統医学の薬として。生姜は、世界のあちこちで幅広く活用されています。

生姜のはたらき

生の状態と加熱した状態とでは成分や作用が異なるため、わが家の食卓では夏には生のまま薬味として、冬には熱を加えて料理としていただくことが多い生姜。 生の生姜には殺菌・解熱・解毒作用などが。加熱した生姜には、身体を温め代謝を促す作用などがあります。 風邪やインフルエンザの予防をはじめ、吐き気を鎮めたり、胃を健やかに保ってくれたり、発汗を促してくれたり……と、健康であるための助けとなり身体に働きかけてくれる生姜は、一年を通して食卓に欠かすことのできない存在です。
保存方法も、濡らした新聞紙に包んでビニール袋などに入れ冷暗場で保管するだけと、シンプル。スライスしたりすりおろしたものを、冷凍保存することも可能です。

生姜の歴史

そんな頼りになる「生姜」の起源は古く、紀元前300~500年頃にはインドで食されていたと言われています。中国では紀元前480年頃の記録が確認されているようで、中国から日本へと伝わったのは2~3世紀頃のこと。 原産地と推測されている熱帯アジアから日本や地中海へと渡り、世界中に広まっていったと語られる生姜。イギリスでペストが流行した時には予防策に生姜が推奨され、それをきっかけに欧米ではジンジャーブレッドやジンジャークッキーが食べられるようになったのだそうです。
原産地である熱帯アジアから世界へと渡った生姜の旅に思いを馳せながら、台湾・日中・地中海の町を想像して作った異国風生姜料理を、みなさんにお届けします。

台湾風 生姜入り豆乳スープ

初めて台北を訪れた時のこと。 早起きして散歩をしたあとに、大きな公園近くの小さな食堂に入りました。 言葉も勝手もわからないので店内に貼られた紙のメニューを指差し注文して、揚げたパンのようなものと一緒に出てきたのが、この優しい味わいの豆乳スープ。 豆乳スープを飲むと、今でもあの時の音や匂いや味を憶いだします。 今回のレシピでは、身体を温めてくれる生姜を加え、味噌とみりんで味つけをして、日本の朝食にも合うようアレンジしました。 豆乳は、お近くに豆腐屋さんがあれば、ぜひ豆腐屋さんの豆乳を使ってみてください。揚げもまた、豆腐屋さんでその日に揚げられたものを選んでみてください。 そして、料理しながら豆腐屋のおじさんやおばさん、あるいはお兄さんお姉さんの顔を思い出してみてください。さらに味わい深くなること間違いなしです。

「台湾風 生姜入り豆乳スープ」のレシピ

材料 ・塩 ・みりん(なければ、お酒ときび砂糖などで代用) ・味噌 ・ラー油または胡麻油など ・豆乳 ・昆布(水で戻しておく) ・干し椎茸(水で戻し、刻んでおく) ・干しエビ(水で戻しておく) ・生姜(すりおろしておく) ・揚げ(好みの大きさに刻んでおく) ・ねぎ(好みのねぎを小口切り、細切り、みじん切りなどに)
作り方 1. 水に戻しておいた昆布、椎茸、エビを戻し汁ごと鍋に入れ、強火にかける。 2. 鍋の水が沸騰したら豆乳を加え、再び沸騰するのを待つ。 3. 沸騰したら中弱火にし、すりおろした生姜とみりんを加える。 4. 刻んだ揚げも加えてふつふつと煮たたせ、鍋のなかがとろっとしてきたら、味噌(白い豆乳の色が味噌の色にならない程度の分量)をとく。 5. 味をみて、塩で全体の味を調える。 6. 汁を器にうつし、ねぎをのせ、ラー油をまわしかける。 7. お好みで、こしょうや山椒、七味などをふりかける(分量外)。
※ 必ずこの材料でなければ…ということはありません。季節や天気や体調に合わせて、お家にある食材や手に入りやすい食材、お好きな調味料でお試しください。

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