「明日は半殺しにしようか……」おはぎにまつわるキケンな合言葉とは

徳島県と群馬県の一部の地域では、おはぎのことを「半殺し」と呼ぶ人がいるのだとか。お彼岸のお供えに欠かせないおはぎには、どんな秘密が隠されているのでしょうか?気になる「半殺し」の意味や由来などをご紹介します。

2017年12月5日 更新

おはぎを「半殺し」と呼ぶ人々の謎

2016年の秋分の日は9月22日(木)。国民の祝日なので、今から遊びに行く予定を立てている方も多いでしょう。お休みをつなげて、長いシルバーウィークを過ごす方もいるかもしれませんね。しかし、秋分の日の前後3日間は「秋のお彼岸」という、ご先祖さまを供養する期間なんですよ。お墓参りをして、亡くなった方をしのびながらゆっくり過ごす日を作りたいですね。

さて、お彼岸のお供え物といえば「おはぎ」ですが、おはぎにまつわる物騒なウワサがあるのです。なんと、おはぎのことを「半殺し」と呼ぶ人がいるんだとか……!これは何かの暗号か、おはぎに恐ろしい歴史があるのか。気になる真相を調べてみました。

半殺しとは

おはぎを作りながら「今日は半殺しにしようか……」そんな物騒なことを口走る人々は、徳島県と群馬県の一部の地域にいます。それも、主な層はおばあちゃんだというから驚き。徳島県や群馬県には猟奇的なおばあちゃんが多いのでしょうか。

安心してください。「半殺し」という言葉は、おはぎのお米の状態を表しているのです。おはぎは、もち米とうるち米を蒸して、つぶしながら丸めたものに、あんこをまぶして作ります。このもち米を、なめらかなお餅になるまでつかずに、ごはんのつぶつぶが残る程度につぶした状態を「半殺し」と呼ぶのです。

おはぎのつぶつぶご飯、おいしいですよね!なめらかなお餅とはまたちがった食感を楽しめます。しかし、もち米をつぶすことを「半殺しにする」と言うとは……。言葉のチョイスは物騒ですが、くすりと笑ってしまいます。

全殺しもある

もち米のつぶし方は「半殺し」だけではありません。なんと、「全殺し」もあるのです。つぶつぶが残る状態までもち米をつぶしたおはぎを「半殺し」と紹介しましたが、お米のつぶつぶが残らないなめらかなお餅の状態までついたものを「全殺し」と呼ぶのです。

このなめらかなお餅にあんこをまぶしたのが「あんころ餅」。和菓子の中でも、コロンとしていてかわいらしい「あんころ餅」は、「全殺し」でつくられるアブナイ和菓子なのです。ちなみに「全殺し」だけでなく、「皆殺し」「本殺し」と呼ぶこともあります。怖い怖い!

さらに、地方によってはお米のつぶれ具合ではなく、あんこの状態で呼び分けることもあるのです。小豆の皮、豆の粒が残っている粒あんのおはぎを「半殺し」、こしあんのおはぎを「本殺し」と呼ぶこともあるのですよ。地域によって定義が変わるのはおもしろいですね。

民話にもなった「半殺しと本殺し」

現在においても、郷土和菓子「半殺し」「半殺し餅」を徳島県や群馬県などで売っているところもあります。パッケージの「はんごろし」の文字と、満面の笑みを浮かべるキャラクター、そして品名の部分に控えめに表記された「おはぎ」のバランスに、じわじわと笑いがこみあげてきます。

東北地方を中心とした地域では「半殺しと本殺し」にまつわる民話が言い伝えられてきました。地域によって細かい内容に違いはありますが、大筋は次のようなものです。

江戸からはるばる訪れた地で、寝床に入る準備をしていた主人公は、泊めてもらった家の人(お話によっては宿屋の亭主)が「明日は半殺しにしようか、本殺しにしようか」と相談しているのを、盗み聞きしてしまいます。

「自分が半殺しの目にあわされるのではないか……」と慌てふためく主人公。眠れぬ夜を過ごしますが、翌朝、おいしいおはぎをごちそうになる、というものです。
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