ライター : ヤマモトマコ

製菓衛生士・現役パティシエール

クロカンブッシュとは?

Photo by ヤマモトマコ

クロカンブッシュとは、結婚式や誕生日、キリスト教徒の洗礼のお祝いなどでよく食べられる、フランスの伝統的なお祝い菓子のこと。クリームたっぷりのプチシューにキャラメルがけし、円すい型に積み上げて作る豪華なひと品です。「クロカン(croque)」とは「カリカリの」という意味で、シュー生地やキャラメルが口の中でカリカリと楽しい食感を生む様子を表しています。

なぜシュークリームを使うの?

シュークリームの「シュー」とはフランス語でキャベツを意味します。キャベツは子孫繁栄や子宝を象徴する食べ物と考えられているため、たくさんのシュークリームで作るケーキは縁起が良いと考えられています。

おうちで作れる!クロカンブッシュの作り方

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調理時間 180
クロカンブッシュのレシピをご紹介します。小さなシュークリームで作るタワーはとても豪華でボリューム満点。パーティーやお祝いにぴったりのひと品です。むずかしそうに見えますが、基本的なお菓子のパーツの組み合わせでできるので、丁寧に作れば素敵なクロカンブッシュができますよ。作り方を細かく解説していくので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

材料(4〜6人分)

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※接着用キャラメルの材料はうつっていません。
※水あめはなくても大丈夫です。

コツ・ポイント

  1. パーツを組み合わせて作るお菓子は作る順番が大切
  2. 生地は等間隔で絞る
  3. 焼けるまでオーブンは開けない
  4. シュー皮は側面までしっかり焼く
  5. 接着用のキャラメルはつけすぎない

パーツを組み合わせて作るお菓子は作る順番が大切

お菓子はパーツ作りの順番がとても重要です。レシピのように、カスタードクリームを冷やしている間にシュー皮を作ったり、シュー皮を冷ましている間にディプロマットクリームを用意したりすればスムーズに作業が進みますよ。

生地は等間隔で絞る

シュー皮は生地から出る水蒸気がオーブンの庫内に充満することできれいに膨らみます。庫内に均等に水蒸気を満たすためにも、生地は等間隔に絞りましょう。

焼けるまでオーブンは開けない

シュー皮は水蒸気の力でふっくら膨らみ、水蒸気がオーブン内に充満することできれいな形に焼き上がります。まだ生地がやわやかく生焼け状態のときにオーブンを開けてしまうと、庫内の水蒸気が逃げシュー皮がぺちゃんこに潰れてしまいます。一度しぼんだ生地はもとに戻らないので、シュー皮全体に焼き色がつくまでオーブンは開けないようにしましょう。

シュー皮は側面までしっかり焼く

クロカンブッシュはクリームたっぷりのシュークリームを積み上げて作ります。焼きが甘くシュー皮がやわらかいと、保形性が悪くなりクロカンブッシュの形が崩れてしまうおそれも。シュークリームの側面は熱源に近い上面に比べて焼けにくいので、生地を絞る際は、隣同士を近づけすぎないことが大切です。

また、しっかりシュー皮が膨らんだら、オーブンの温度を下げ(レシピでは150℃)、じっくり側面まで焼き色をつけましょう。

接着用のキャラメルはつけすぎない

キャラメルのカリカリ感が持ち味のクロカンブッシュですが、接着用のキャラメルをつけすぎると、ちぎって食べる際に苦労してしまいます。簡単に食べられるように、家で作る場合は、最低限のキャラメルで接着することをおすすめします。

下準備

・シュー皮用、カスタードクリーム用の薄力粉を振るう ・シュー皮用の卵は常温に出しておく

作り方

1.芯になる円錐型を作る

黒い模様の白いさらにのった、クロカンブッシュの芯となる円すい型

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プチシューを積み上げる際に芯となる、紙型を作ります。
扇形にカットした厚紙

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厚紙を角度約120°、半径15cmの扇形にカットします。フリーハンドでだいたいの下書きをしてカットすればOKです。
扇形にカットした厚紙と同じサイズにカットしたベーキングシート

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厚紙と同じサイズでベーキングシートもカットします。
黒い模様の白い皿にのった、厚紙で作った円すい型とベーキングシートで作った円すい型

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扇形の半径を少し重ねてホッチキスで止め、円すい型を作ります。写真ではそれぞれ組み立てましたが、厚紙とベーキングシートを重ねて、まとめてホッチキス止めしてもOKです。
ベーキングシートで作った円すい型をかぶせた、厚紙で作った円すい型

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厚紙の円すい型のみだと、組み立てる際に使うキャラメルが紙にくっついてしまいます。ベーキングシートをプラスすることでキャラメルのくっつきを防止できますよ。

2.牛乳、バニラエッセンスを温める

片手鍋に入った牛乳、バニラエッセンス

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牛乳を鍋に入れ、バニラエッセンスを加えたら沸騰直前まで温めます。

3.卵黄にグラニュー糖、薄力粉を加える

ガラスのボウルに入った卵液、薄力粉

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牛乳を温めている間に、卵黄とグラニュー糖をホイッパーしっかり混ぜ、ふるっておいた薄力粉も加えます。

4.温めた牛乳を合わせる

ガラスのボウルに入った卵液に温めた牛乳を加えている様子

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ボウルに温めた牛乳を2回に分けて加え手早く混ぜます。
カスタード液を鍋に濾しながら戻している様子

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カスタード液を濾しながら鍋に戻します。

5.カスタードクリームを炊く

ツヤの出たカスタードクリーム

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中火~強火にかけ、ホイッパーで絶えず混ぜながら、一気に炊き上げます。ポコポコとクリームが沸騰し、ツヤが出てなめらかな状態になればOKです。
炊き上がったカスタードクリーム、バター(無塩)

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炊きがったカスタードクリームにバター(無塩)を加え、溶け残りがないようにしっかり混ぜます。
ラップを敷いたバットに薄く伸ばしたカスタードクリーム

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バットにラップを敷き、早く冷えるようになるべく薄く伸ばします。上からもラップをして、冷凍庫にまず15分入れて粗熱を取り、冷蔵庫に移してしっかり冷やします。

6.鍋で牛乳、バター(無塩)などを沸かす

片手鍋に入れた牛乳、バター(無塩)、塩など

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鍋に牛乳、水、バター(無塩)、塩、グラニュー糖を入れ、沸騰するまで温めます。
鍋に入った、溶けたバター(無塩)や牛乳、水などが入った液体

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バター(無塩)の溶け残りがないように、注意してください。

7.薄力粉を鍋に入れて加熱する

鍋に薄力粉が入っている様子

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沸騰したら鍋を一度火から離し、ふるった薄力粉を一度に加えます。木べらでざっくり混ぜ、冷めないうちに、すぐに鍋をコンロに戻し、加熱していきます。
加熱しているシュークリーム生地

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火加減は中火にし、絶えず木べらで生地を練りながらまんべんなく加熱します。
餅のようにひとまとまりになったシュークリーム生地

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最初の水っぽさがなくなり、鍋を傾けると、生地が餅のようにひとまとまりになり、鍋底にうっすら生地の膜ができたらOKです。

8.卵を加える

鍋に入ったシュークリーム生地に卵を入れる様子

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卵を溶いて、生地に数回に分けて加えます。生地温度が下がると状態が悪くなるので、鍋の中で素早く進めていきましょう。
卵を加えたシュークリーム生地

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最初は写真のようにもろっとした状態ですが、気にせずどんどん混ぜましょう。
なめらかな状態に仕上がったシュークリーム生地

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鍋で生地を加熱する度合いによって、卵を入れる量が若干変化します。生地がなめらかなになってきたら、加える卵の量は少しずつにしてください。 写真のように木べらですくうとゆっくり生地が落ち、生地が二等辺三角形のような状態になれば完成です。
塗れふきんをかけたシュークリーム生地の入った片手鍋

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生地が乾燥しないように、濡れふきんをかけておくと、良い状態で絞れますよ。

9.生地を絞る

透明な絞り袋に入れたシュークリーム生地

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丸口金(写真はサイズ10番の口金)で生地を絞ります。生地は重く絞りにくいので、絞り袋の約半分くらいを目安に入れましょう。 絞り始めるころに、オーブンを180℃に予熱しておいてください。
シルパットの上に、リング状に絞ったシュークリーム生地

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プチシューの土台になるリング状のシューを絞ります。芯になる円すい型の直径が約12cmなので、サイズはひと回り大きい直径15cm程度にしてください。 厚みがなるべく薄くなるように、押しつぶすようにして絞りましょう。
シルパットの上に等間隔に丸く絞ったシュークリーム生地

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プチシュー用に直径2.5~3cm程度の丸型に生地を絞ります。等間隔に絞り、膨らんだときにくっつかないように隣同士の距離をしっかり開けてください。 生地をすべて絞ると、40~45個程度できます。組み立てに使うプチシューは30~35個程度ですが、予備があると安心です。
丸く絞ったシュークリーム生地に霧吹きをしている様子

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表面にたっぷり霧吹きをします。
シュークリーム生地の尖った部分を押さえている様子

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生地に絞った跡がある場合は、指やフォークで軽くならしておくと、丸みのあるシュー皮が焼き上がります。
オーブンの中でシュー皮が膨らんでいる様子

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180℃のオーブンで12~15分ほど焼き、しっかり膨らんで表面に焼き色が付いてきたら、温度を150℃に落とします。側面までしっかり色がつくまでさらに15分程度焼いたら完成です。 リング状のシューも同様に、霧吹きをして180℃で20分ほど焼いてください。

10.カスタードクリームをなめらかにする

ガラスのボウルに入ったカスタードクリーム

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カスタードクリームをゴムベラでなめらかになるまで混ぜます。

11.生クリームと合わせる

ガラスのボウルに入った9分立ての生クリームとカスタードクリーム

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カスタードクリームに9分立ての生クリームを入れて混ぜます。
完成したディプロマットクリーム

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混ぜムラがなくなればOKです。使うまで冷蔵庫で冷やしておきましょう。

12.シュー皮にクリームを詰める

丸口金を使ってシュー皮の底に穴を空けている様子

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シュークリームの底に小さめの口金や竹串で穴を空けます。穴が大きすぎるとクリームがこぼれる原因になるので、必要最低限の大きさにしてください。
シュー皮の底の穴からディプロマットクリームを詰めている様子

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底の穴からディプロマットクリームを絞ります。絞っているクリームが止まる手ごたえがあれば満タンのサインです。

13.接着用キャラメルを作る

グラニュー糖、水、水あめを入れた片手鍋

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グラニュー糖、水、水あめを鍋に入れ、軽くゴムベラで混ぜてから中火にかけます。最初に混ぜておかないと、なべ底に接しているグラニュー糖の部分だけが先に焦げてしまうこともあるので注意です。 鍋の側面に面する部分が焦げやすくなるので、火は鍋からはみ出さないように調節してください。
飴が沸騰している様子

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鍋を火にかけたら、ゴムベラで混ぜるのはNGです。衝撃で砂糖が結晶化し、飴状にならないおそれも。鍋を回したり軽くゆすったりする程度なら大丈夫です。
水で濡らした刷毛で鍋の側面の飴を落としている様子

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鍋の側面が焦げないように、水で塗らした耐熱の刷毛でときどき鍋肌の飴を落としながら様子を見ましょう。
琥珀色になったキャラメル

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お好みの色のキャラメルになったら、ボウルに張った冷水につけて急冷します。しっかり冷まさないと、キャラメル化が進み、色が濃くなったり、苦味が強くなってしまいます。

14.シュークリームを接着する

リング状のシューの上に円すい型の芯を置いた様子

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リング状のシュー皮の上に、円すい型の芯を置きます。
キャラメルをつけてリング状のシューにシュークリームを接着した様子

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リング状のシューに接する部分にキャラメルをつけ、プチシューを接着します。キャラメルはとても熱く、手につくとあっという間に火傷してしまうので、扱う際は十分に気を付けましょう。
キャラメルで一周ぐるっと接着したシュークリーム

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キャラメルは必要最低限でOKです。すき間ができないように、ちょうど良いサイズのシュークリームを組み合わせて使いましょう。キャラメルが冷めて固くなってきたら、少しだけ火にかけるとやわらさが戻り、使いやすくなりますよ。
2段目まで積んたクロカンブッシュ

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上の段のプチシューは、下の段のシュークリームの隙間にはめ込むように積みます。すき間が開きにくく、全体のシルエットも整います。
頂点のシュークリームを飾っている様子

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頂点のシュークリームを円すい型の芯に刺して、接着が完成です。

15.デコレーションする

キャラメルでコーティングしたアーモンド

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残りのキャラメルを温め直し、アーモンドやクルミなどをコーティングして冷まします。しっかり冷めたら、シュークリームのすき間に埋め込みます。
粉糖でデコレーションしたクロカンブッシュ

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溶けない粉糖(分量外)を振って完成です!

クロカンブッシュのアレンジ方法

基本のクロカンブッシュを押さえたら、アレンジを楽しむのもおすすめです。紹介したレシピでは土台もリング状のシュー皮で作りましたが、クッキー生地にしたり、クレームダマンド入りのタルトにしたりするのもおいしいですよ。

また、シュークリームの隙間に生クリームを絞り、いちごやラズベリー、ミントを飾るのも良いでしょう。シュークリームの一部をマカロンに変えれば、よりカラフルで華やかに仕上がりますよ。

特別な日はクロカンブッシュを作ってお祝いしよう

むずかしそうに見えるクロカンブッシュですが、ひとつひとつのパーツはそれほどむずかしくありません。お菓子作りの基本が詰まったレシピなので、お菓子作りに慣れてきたらぜひ挑戦してほしいひと品です。ポイントを押さえて丁寧に作っていけば、素敵でおいしいクロカンブッシュになること間違いなし。

特別な日や大切な人のお祝いにぜひ作ってみてくださいね。

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