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松阪市下村町の大通りで、ひっそりと營業する小さなたこ焼き店「晴たこ(はるたこ)」。派手な看板もなければ、大々的な宣伝もない。それでもこの店には、開店から3年が経った今も変わらず足を運ぶ常連客が絶えない。店主の松井鮎美さん(45)が大切にしているのは、「無理なく、楽しく、できる範囲で」長く続けるための優先順位だ。
今回はそんな晴たこの歩みを松井さんにお伺いした。
今回はそんな晴たこの歩みを松井さんにお伺いした。
昼は事務員、夜は飲食店─二足のわらじを履き続けた20年
松井さんの飲食業との関わりは少し変わっている。学校を卒業後、松阪市内の会社で事務員として働き始めた。しかし、飲食店でのアルバイトも夜に続けていた。この二足のわらじ生活は20代から40代まで、実に20年以上続くことになる。
昼間の事務職は、いわば生活のための仕事として基本的には松阪を拠点に事務の仕事に就いていた。一方で夜の飲食店勤務は、単なる副業ではなく自分が本当に好きなことをする時間として今も続けているという。
働いていたのは主に和食を中心としたご飯屋さん。並行して知人が経営する、昼はお弁当、夜はお酒も楽しめる店でも勤めている。昼夜を通して働いていることを知ると、周囲は「よく働くね」と驚くという。しかし松井さんとしては、夜の仕事がない日は何をしていいかわからないほど、飲食の仕事が生活の一部になっていたという。
昼間の事務職は、いわば生活のための仕事として基本的には松阪を拠点に事務の仕事に就いていた。一方で夜の飲食店勤務は、単なる副業ではなく自分が本当に好きなことをする時間として今も続けているという。
働いていたのは主に和食を中心としたご飯屋さん。並行して知人が経営する、昼はお弁当、夜はお酒も楽しめる店でも勤めている。昼夜を通して働いていることを知ると、周囲は「よく働くね」と驚くという。しかし松井さんとしては、夜の仕事がない日は何をしていいかわからないほど、飲食の仕事が生活の一部になっていたという。
偶然の出会いから始まった店主への道
2022年、松井さんの人生に転機が訪れた。会社員時代の同僚の母親が、かつて現在の店舗でたこ焼き屋を営んでいたことを知る。その店舗は母親から別の男性オーナーに引き継がれていたが、体調不良で店を続けられなくなり後継者を探しているという。
ちょうどその頃松井さんも事務の仕事を辞めたところだった。既存の設備もそのまま引き継げるという条件も決断を後押しした。「やってみようかな」という軽い気持ちで、松井さんは店を引き継ぐことを決定。この店舗は、実は30年以上前から同じ場所でたこ焼き屋として営業していたらしい。そうして、松井さんの挑戦が始まることとなるのだ。
ちょうどその頃松井さんも事務の仕事を辞めたところだった。既存の設備もそのまま引き継げるという条件も決断を後押しした。「やってみようかな」という軽い気持ちで、松井さんは店を引き継ぐことを決定。この店舗は、実は30年以上前から同じ場所でたこ焼き屋として営業していたらしい。そうして、松井さんの挑戦が始まることとなるのだ。
試行錯誤の4ヶ月─大阪の名店を目指して
2022年8月、松井さんは正式に店舗を引き継ぎ、壁、天井を新しくし、外観も塗り直した。味の開発では、大阪の有名店のようなたこ焼きを目指してオープンまでの4ヶ月間、自分なりのたこ焼きを完成させるために試行錯誤を重ねることとなる。
粉とソースは、前オーナーが大阪から仕入れていた業者をそのまま使うことにした。大阪まで食べに行っては何度も試作を繰り返し、自分たちが納得できる味を追求していった。何度も味を調整し、「これならいける」と思える味に辿り着いたのが、オープン直前のことだったという。
相談役の友人は、たこ焼き好きで松井さんの挑戦を応援してくれた。「やってみたら」という軽い後押しから始まったが、今では店の重要な助っ人としてイベント出店時などに手伝ってくれる存在になっている。彼もたこ焼きを焼けるようになり、松井さんが休みたい日には代わりに店を開けることもあるそうだ。
粉とソースは、前オーナーが大阪から仕入れていた業者をそのまま使うことにした。大阪まで食べに行っては何度も試作を繰り返し、自分たちが納得できる味を追求していった。何度も味を調整し、「これならいける」と思える味に辿り着いたのが、オープン直前のことだったという。
相談役の友人は、たこ焼き好きで松井さんの挑戦を応援してくれた。「やってみたら」という軽い後押しから始まったが、今では店の重要な助っ人としてイベント出店時などに手伝ってくれる存在になっている。彼もたこ焼きを焼けるようになり、松井さんが休みたい日には代わりに店を開けることもあるそうだ。
静かなスタート、そして築かれた信頼
2022年12月、「晴たこ」は静かにオープンした。大々的な宣伝はせず、しれっと営業を始めたという表現が松井さんらしい。当時はまだコロナ禍の影響が色濃く残る時期で、飲食店経営には厳しい環境だった。
最初の頃は、前オーナーの常連客が「また始めたの?」と訪れることが多かった。店主が変わったことに気づかず、「娘さんが継いだの?」と聞かれることもしばしばだったという。
開店当初は、慣れない一人営業で苦労することも多かった。特に困ったのが、注文の管理だった。顔も名前も知らない初めてのお客さんばかり、渡し間違いで長時間待たせてしまったこともあった。この経験から、注文を受ける際にお客さんの特徴を簡単にメモするようにしたのだ。車の色やナンバー、服装など、自分がわかる範囲で記録を残すことで、渡し間違いは大幅に減った。
最初の頃は、前オーナーの常連客が「また始めたの?」と訪れることが多かった。店主が変わったことに気づかず、「娘さんが継いだの?」と聞かれることもしばしばだったという。
開店当初は、慣れない一人営業で苦労することも多かった。特に困ったのが、注文の管理だった。顔も名前も知らない初めてのお客さんばかり、渡し間違いで長時間待たせてしまったこともあった。この経験から、注文を受ける際にお客さんの特徴を簡単にメモするようにしたのだ。車の色やナンバー、服装など、自分がわかる範囲で記録を残すことで、渡し間違いは大幅に減った。
常連客に支えられる日々
開店から3年が経った今、はるたこの顧客の7割はリピーターだという。特に年配の常連客が多く、開店当初から通い続けてくれる人も少なくない。「美味しい」と言ってくれる声が、松井さんの何よりの励みになっている。
メニューは定番のソース味、塩味、ポン酢味、明太マヨネーズ味などを揃えている。中でも塩味は隠れた人気メニューで、一度食べた人はずっと塩味を注文し続ける傾向があるらしい。塩味にはブラックペッパーが標準でかかっており、松井さん自身も一番好きな味だという。
平日は松井さん一人で営業し、土日は母親が手伝いに来る。忙しい時もあるが、一人で対応できる範囲を超えることは少ない。これも「できる範囲で」という松井さんの哲学が反映された結果だ。
メニューは定番のソース味、塩味、ポン酢味、明太マヨネーズ味などを揃えている。中でも塩味は隠れた人気メニューで、一度食べた人はずっと塩味を注文し続ける傾向があるらしい。塩味にはブラックペッパーが標準でかかっており、松井さん自身も一番好きな味だという。
平日は松井さん一人で営業し、土日は母親が手伝いに来る。忙しい時もあるが、一人で対応できる範囲を超えることは少ない。これも「できる範囲で」という松井さんの哲学が反映された結果だ。
「晴たこ」という名前に込めた想い
店名の「晴たこ」の由来は、松井さん自身が「晴」という字の持つ明るさ、楽しさ、ウキウキした雰囲気が好きだったのが理由だ。読みやすく、わかりやすく、たこ焼き屋だとすぐにわかる名前。語感の良さと、晴れというポジティブなイメージが、店のコンセプトにも合っていた。自分たちが美味しいと思うたこ焼きを作り、それを気に入ってくれる人を大切にする。
松井さんの強みは、そのポジティブさにあるらしい。人からどんなことを言われても、あまり気にしない。開店当初、様々なアドバイスを受けたが、納得できることだけを取り入れ、それ以外は「人それぞれだから」と受け流した。
失敗しても、「次は気をつければいい」と前向きに捉える。過ぎたことをくよくよ悩むことはない。「なんとかなる」という楽観性が、一人で店を切り盛りする原動力になっているのだろう。
松井さんの強みは、そのポジティブさにあるらしい。人からどんなことを言われても、あまり気にしない。開店当初、様々なアドバイスを受けたが、納得できることだけを取り入れ、それ以外は「人それぞれだから」と受け流した。
失敗しても、「次は気をつければいい」と前向きに捉える。過ぎたことをくよくよ悩むことはない。「なんとかなる」という楽観性が、一人で店を切り盛りする原動力になっているのだろう。
気軽に立ち寄れる場所を目指して
松井さんが理想とするのは、「客が気軽に立ち寄れる店」。たこ焼きを買うだけでなく、ちょっとした会話を楽しめる場所。実際、店の前で立ち話をする客は多いという。焼き上がりを待つ間、松井さんと世間話をする。そんな何気ない交流が、この店の魅力の一つになっている。
今後の展望を聞くと、松井さんは「無理なく続けていきたい」と答える。イベント出店はもう少し増やしたいという。しかし自ら営業をかけることはしない。これも「できる範囲で」という哲学の表れだ。
今後の展望を聞くと、松井さんは「無理なく続けていきたい」と答える。イベント出店はもう少し増やしたいという。しかし自ら営業をかけることはしない。これも「できる範囲で」という哲学の表れだ。
「できる範囲で、無理なく、楽しく」。この言葉は、単なる経営方針ではなく、松井さんの生き方そのものだ。大きな野心や壮大な計画はない。ただ、自分が美味しいと思うたこ焼きを作り、それを喜んでくれる人がいる。それだけで十分なのだ。
松阪の街角でひっそりと營業する小さなたこ焼き屋。そこには、現代社会が忘れかけている「ちょうどいい」働き方と生き方がある。大きな成功を追い求めるのではなく、自分のペースで、楽しく、長く続けていく。はるたこは、そんな新しい飲食店のあり方を静かに示している。
松阪の街角でひっそりと營業する小さなたこ焼き屋。そこには、現代社会が忘れかけている「ちょうどいい」働き方と生き方がある。大きな成功を追い求めるのではなく、自分のペースで、楽しく、長く続けていく。はるたこは、そんな新しい飲食店のあり方を静かに示している。
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