ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

えのきを電子レンジで調理すると食中毒のリスクがあるってホント?

えのきを電子レンジ加熱すると食中毒を起こすと言われているのは、加熱不足が原因です。えのきは生食できないきのこのひとつで、料理に使う際は十分火を通す必要があります。

電子レンジを使ったレシピの場合、機種や加熱する量によっては加熱不足になってしまう場合もあるため、しっかり確認が必要です。(※1)

えのきの加熱不足で食中毒の原因となる成分

えのきに含まれる加熱が必要な成分

  1. フラムトキシン
  2. リステリア菌

フラムトキシン

えのきにはフラムトキシンという成分が含まれています。フラムトキシンはきのこが体外消化をするときの消化酵素で、溶血作用や消化管障害を起こすと言われるたんぱく質の一種です。

生や加熱不足のえのきを食べると中毒を起こすおそれがあるため、調理する際に火が通っているかどうかしっかり確認しましょう。(※1,2,3)

リステリア菌

リステリア菌は4℃以下の低温や12%食塩黄土下でも増殖できるのが特徴の食中毒菌です。ナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなど冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品が原因となることがあります。

健康な成人では多量に摂取しなければ発症しないと言われますが、アメリカではえのきが原因のリステリア集団感染や死亡例が確認されているため注意が必要です。

リステリア菌は加熱によって死滅するため、フラムトキシン対策と同様にえのきをしっかり加熱をするように気をつけましょう。(※4,5)

えのきによる食中毒を起こした場合の症状

下痢、嘔吐

えのきによる食中毒を起こした場合、下痢や嘔吐などの症状が起こります。ただし、健康な成人の場合は症状が出ないこともあるようです。

また、えのきは食物繊維のうち不溶性食物繊維だけでなく、水溶性食物繊維も含む食品。極端な量を食べ過ぎることでも下痢が起こるおそれがあります。加熱の加減だけでなく食べる量も注意が必要です。(※6,7,8,9)

発熱、筋肉痛

えのきによるリステリア感染を起こした場合、下痢や嘔吐といった一般的な食中毒のような胃腸の炎症以外に特徴的なのが発熱や筋肉痛などの症状です。これらの症状はインフルエンザの症状ともよく似ているため区別がむずかしいとされています。

また、重篤な症状になると敗血症や髄膜炎などの症状を起こします。海外では死に至った例もあることから、しっかり加熱をすることが大切です。(※4,5,6,7)
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