ライター : 相羽 舞

管理栄養士

きのこの食べ過ぎによるデメリット・症状

きのこを食べ過ぎると

  1. 下痢や腹痛をおこす
  2. 便秘になる
  3. 吐き気をもよおす

下痢や腹痛をおこす

きのこ類に豊富な食物繊維は、適量であれば腸内環境を整え、便秘対策に役立つ栄養素です。食物繊維のなかでも水溶性食物繊維は、便をやわらかくする作用があります。そのため、過剰に摂ると便がゆるくなり過ぎて下痢につながるおそれが。

水溶性食物繊維は、なめこやえのきだけなどに多く含まれています。さらに食物繊維をサプリメントで摂っている人は過剰摂取にならないよう注意が必要です。(※1)

便秘になる

きのこには水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維が多く含まれています。特にしいたけやひらたけ、エリンギなどに豊富です。不溶性食物繊維は、便の量を増やして排便を促すはたらきがありますが、摂り過ぎると便が大きく固くなり、腸内でつまりやすくなります。

もともと便秘気味の人が不溶性食物繊維を摂り過ぎると、便秘が悪化するおそれがあるため気をつけましょう。(※1,2)

吐き気をもよおす

食べ過ぎや飲み過ぎは消化不良の原因となります。食物繊維が多いきのこ類は消化が悪いため、食べ過ぎると吐き気や胸焼けなどの症状があらわれることも。特に、胃腸の調子が優れないとき、疲れやストレスが溜まっているときは、きのこをたくさん食べるのは避けましょう。

また、まいたけやエリンギなどは、毒性成分をわずかに含むものがあります。加熱によって無害になるので、きのこはしっかり加熱して食べるようにしましょう。(※3,4,5)

きのこを食べ過ぎると太るのか

きのこは低カロリー・低糖質なので、きのこの食べ過ぎだけで太るとは言い切れません。しかし、食事全体で食べる量が増えて摂取するカロリーが必要以上に多くなれば、太るおそれがあります。

また、きのこだけを食べ続けるような偏った食べ方は、体調を崩すことにつながるのでおすすめできません。バランス良い食事を摂りながら、きのこは適量を摂るようにしましょう。(※6)

きのこの食べ過ぎが腎臓に悪いといわれるわけ

きのこの食べ過ぎが腎臓に悪いといわれるのは、スギヒラタケという野生のきのこによるものと考えられます。野生のスギヒラタケを採って食べる地域において、意識障害やけいれんなどが多数報告されており、当初スギヒラタケによる影響は、腎臓の機能が低下している人におこりやすいと考えられていたためです。

現在でもスギヒラタケの安全性はわかっておらず、健康な人も食べないようにと農林水産省から注意喚起が出されています。(※7)

カリウムの摂取制限がある人は注意

きのこはカリウムが豊富な食品です。そのため、腎臓の機能が低下し、カリウムを制限するよう指示されている人は注意が必要。

100gあたりのカリウム量は、えのきだけで340mg、しいたけで290mg、ぶなしめじで370mg、エリンギで340mgです。カリウムは水に溶ける性質があるので、一度ゆでこぼすと減らすことができますよ。(※2,8)

一日の摂取量は?きのこの食べ過ぎの目安

きのこを一日に食べる量は、50~100g程度が適量です。100gがどれくらいかというと、えのきやエリンギ、ぶなしめじなどは1パックほど、しいたけなら軸を取り除いて10枚ほど、マッシュルームなら10個程度が目安。

また、ひとつの種類に偏らず、いろいろな種類のきのこを摂るようにしましょう。(※9,10)

適量なら体にいい!きのこの栄養と効果

効果

  1. 便秘対策に役立つ「食物繊維」
  2. 免疫機能にかかわる「β-グルカン」
  3. カルシウムの吸収を促す「ビタミンD」
  4. 塩分の摂り過ぎを調整する「カリウム」
きのこは食べ過ぎず、適量であれば健康維持におすすめの栄養が豊富です。便秘や腸活対策に役立つ食物繊維をはじめ、免疫機能を高めるβ-グルカン、カルシウムの吸収を促すビタミンDなど、日常的に摂りたい栄養素が多く含まれていますよ。

また、カリウムはナトリウムを排出する作用があることから、塩分の摂り過ぎを調整するのに役立ちます。ただし、前述したようにカリウム制限のある人は食べる量に気をつけましょう。(※1,8,11,12,13)

きのこの食べ過ぎに気をつけよう

きのこは食物繊維が豊富なので、食べ過ぎると下痢や便秘など、便通の乱れにつながるおそれがあります。食物繊維は消化に時間がかかり、食べ過ぎによって消化不良をおこす場合もあるので注意しましょう。また、一部のきのこには微量の毒性成分が含まれることがあるため、しっかり加熱して食べることが大切です。

きのこは適量であれば健康維持に役立つ食品なので、食べ過ぎに注意しておいしく食べてくださいね。
【参考文献】
※2 八訂食品成分表2021|女子栄養大学出版部
(2022/10/14参照)
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