ライター : macaroni 編集部

創業100年のみかん農家に教わる。おいしいみかんの選び方

12月頃から旬をむかえ、冬場のスーパーにずらりと並ぶみかん。寒い日に暖をとりながらみかんを食べるのは、至福のひとときですよね。

「せっかくならもっとおいしく食べたい」「ハズレのみかんを引きたくない」という人のために、おいしいみかんの見分け方や正しい保存方法、酸っぱいみかんを甘くする方法を創業100年のみかん栽培者の児玉さんに教えてもらいました。

Photo by 観音山フルーツガーデン

ヤマチョー農園 六代目/児玉芳典さん 「ヤマチョー農園(愛称:観音山フルーツガーデン)」を代々受け継ぐ家に生まれる。神戸大学の農学部を卒業後、7年間公務員として勤務。恩師の「お前たちが日本の農業の事を考えなくて、誰が考えるんじゃ!」の言葉を胸に平成18年に就農
「なぜか、みかんはほかのくだものに比べて、雑に扱っても大丈夫だと思われがち。ところがそれは大間違い!じつはみなさんが思っているよりも、みかんはとってもデリケートなんですよ。いつもの扱い方だとおいしさが半減しているかも……? まずはその前提から知ってもらい、品種に関係なく応用できる見極めポイントをお教えします」

桃やバナナと同じ!じつは想像以上にデリケートなみかん

Photo by macaroni

ーーさっそくですが、おいしいみかんの選び方を教えていただきたいと思います。

児玉さん(以下、児玉) まず、細かいポイントをお伝えする前に、覚えておいてほしいのが、前提として身がショックを受けていないみかんを選ぶということです。

桃やバナナだと衝撃を受けると、すぐに茶色くなってしまうのでわかりやすいですよね。みかんだってこれと同じ現象が起きているんです。見た目だけではなかなか判別できないのですが……。

購入後はなるべく丁重に扱うように

ーーたしかに、みかんがそれだけデリケートだという認識はありませんでした!見た目でわからないのであれば、どうすればよいでしょうか。

児玉 一番理想なのは手選別のみかんを購入すること。ベルトコンベアでごろごろと運ばれるその瞬間も衝撃を受けていますからね。とはいえ、やはりスーパーで購入する機会も多いと思います。その場合は購入後からでいいので、桃をイメージしながら、なるべく丁重に扱うことを意識してください。

1. 皮の色が濃い

Photo by macaroni

ーーなるほど、まずは丁寧に扱うことが重要なんですね。それでは本題に、見た目で判断できる点で大事なポイントはありますか?

児玉 どの果物にもいえることかもしれませんが、皮の色が濃いものを選んでください。なぜか色が濃いのがいいのか、それは動物に発見されやすい実だから。

果実は種をより遠く、さまざまな場所に運ぶために、濃い色をつけます。動物に発見されやすくし、食べてもらえるようにします。つまり、動物によりおいしいものを知らせていることになるので、色が濃いものは生物学的に優秀な実、ということになるんですよ。

2. 皮のきめが細かく、手触りがツルツルしている

Photo by macaroni

ーー色以外で判断できるポイントもあるのでしょうか。

児玉 手触りがツルツルしていて、皮のきめが細かいものを選んでください。みかんの皮をよく見ると、小さいポツポツ、いわゆる「油胞(ゆほう)」があるのがわかると思います。この油胞がぎゅっと詰まっていて多いほど、きめの細かい皮になります。

Photo by macaroni

NG例:油胞が少なくすき間が空いている
児玉 皮のきめが細かいみかんは、ぶら下がった枝の先に付いている実に多いです。ぶら下がったみかんには糖分がたまりやすく、枝も生殖生長(実をつける成長)が強くなるため、甘くなります。しかし、店頭では枝を見ることはできないので、皮の表面のきめ細かさで判断すると良いですよ。

3. 重量感がある

Photo by macaroni

ーーくだものを選ぶときの基準ともいえそうですが、やはり身は重いほうが良いですか?

児玉 みかんの場合もそうですね、重みがあるほうが糖分が多くて甘い傾向があります。重量感があるということは、果汁分がしっかりと詰まっている証拠。持ってみて、よりずっしりと感じる方を選んでください。
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