ライター : 松 宏彰(カレー細胞)

カレーキュレーター

大阪スパイスカレーは、すでに新たなシーンへ!

スパイスカレーという言葉が全国区になってきた今日この頃。聖地・大阪ではここ10年ほどの間でおびただしい数のスパイスカレー店が登場してきました。

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

「カレー屋バンバン」の2種がけプレート(詳細は後ほど)
そもそもスパイスカレーの定義は非常に曖昧で、「カレー粉やルウを使わずスパイスから作るカレー。サラサラしている場合が多い」と説明されることも。ですが、それではインドやスリランカ、ネパールのカレーもみんなスパイスカレーになってしまう……。

むしろ重要なのは、「スパイスを独自に調合し、既成概念にとらわれない自由な発想で作るカレー」という“独自性”“自由度”のほうではないかと思えるのです。

つまり、大阪スパイスカレーとは本来、既存の食文化に対するカウンターカルチャーであり、音楽や絵画同様、自己表現の手段なんです。

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

大阪スパイスカレーの草分け「コロンビアエイト」
ところがスパイスカレー自体がジャンル化し、もてはやされてくると、とりあえず「スパイスカレーの定型」をなぞったお店が増えてきてしまった。

まさにROCK is DEAD!!

……ですがご安心ください。大阪のスパイスカレーシーンは、もうその先へと進んでいるのです。

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

「百薫香辛食堂」の合いがけカレー(詳細は後ほど)
キーワードは3点。
異ジャンルとの融合、出汁の可能性追求、そして「呑める」スパイスカレー店。

特に、有名店が2号店としてバル業態を選ぶケースが増えてきたことにも注目です。大阪スパイスカレー、その最前線をお届けしましょう。

1. レジェンドによるスパイス居酒屋「バビルの塔」(天神橋筋六丁目)

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

2012年にオープンし、大阪スパイスカレーブームの火付け役となった「バビルの塔」。「スパイスカレー」という名を大阪に広め、「あいがけ・あいもり」というスタイルを確立したレジェンドが2018年、2号店としてオープンしたのが「スパイスサロン バビルの塔」です。

本店のレトロポップな雰囲気はそのままに、夜は酒のアテを取りそろえたスパイス居酒屋となっています。天神筋・天満界隈は、ほかにも個性的なカレー&スパイス飲み屋がたくさんあり、カレーハシゴ飲みも楽しいんですよ。

バビルのスパイスカレーあいがけ

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

1,000円(税込)
「バビルの塔」といえばやはりあいがけ。豆カレーと肉カレーの組み合わせが日替わりでいただけます。この日は、豆カレーにオクラ入り、肉カレーにチキンマサラを選択。

見目麗しくスパイシーで軽やか。さすがの完成度です。ちなみに上に見える白いらせんは、マッシュポテトですよ。

ライムカルダモンサワー

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

550円(税込)
最近は、スパイス酒を置くお店が増えてきました。こちらは大阪を代表するスパイス・カルダモンを使ったスパイス酒。爽やかな香りが鼻孔をくすぐります。

一品料理をアテにして飲んだり、カレーに合わせたり、楽しいスパイス呑みの時間を過ごしましょう。
店舗情報

2. 新鋭店によるスパイス食堂「百薫香辛食堂」(本町)

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

インド・スリランカに加え、東南アジア、台湾などの食のエッセンスを融合し、大阪スパイスカレー新世代の旗手のひとりとして注目される「金剛石」。その2号店が、2020年4月にオープンした「百薫香辛(ひゃっかこうしん)食堂」です。

羊肉麻婆豆腐といった、スパイス飲みに適した一品料理がズラリそろった酒場。もちろん、スパイスカレーのクオリティも折り紙付き。思わずふらっと立ち寄ってしまう魅力にあふれています。

合いがけカレー+台湾煮卵、レバーマサラ

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

1,000円、100円、200円(昼・税込/夜・税別) ※合いがけカレー、台湾煮卵、レバーマサラの順
日替わりカレー2種の合いがけなのですが、そこに豆カレーや副菜も付いてくるので、実質3種合いがけ+αの豪華さです。

この日のカレーは、北インドアプローチの「チキンティッカ」と、ホールのブラックペッパーがゴロゴロ入った「牛筋エスニックキーマ」。

トッピングの「台湾煮卵」「レバーマサラ」もインパクト大でお酒が進む逸品。追加を忘れるべからず。
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