3代目を継がれて、どのように「近江屋」での商売と向き合われたのですか?

寺出:私たちは「近江屋」の看板を掲げており、初代は近江商人でした。そのルーツをさかのぼると、近江牛と深い縁があることがわかったんです。

築地で近江牛を売り、その心を伝えていくこと。それが自分のやるべきことだと気づきました。そこで産地に出向いて、生産者の方々と向き合ってルートを開拓に至り、一頭買いをするようにしました。

「近江屋さんの近江牛は、やっぱりうまいよ」と言ってもらえる。ひとつのことにしっかりと根を深く張り、心を尽くす。それが築地の商人だと思います。

Photo by Kaori Saneshige

インタビューの続編記事も近日公開予定!

インタビューでは、寺出さんが抱いている想いや、近江屋のルーツを訪ね、商売への向き合い方を変えていくまでを細かくお話しいただきました。ここでは紹介しきれないので、続編記事にてたっぷりお届けします。お楽しみに!

プロが惚れる“本物”に出逢える街「築地」

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築地市場の副理事長を務めておられますが、築地の歴史について簡単に教えてください。

寺出:築地市場は、関東大震災で焼失した日本橋魚河岸(うおがし)が、築地に移ってきたのが始まりです。それから市場機能を持つ場内が生まれ、そのまわりに自然発生的に場外が生まれ、それぞれが補い合いながら、築地というブランドを作っていったんです。

私は、生まれも育ちも築地の“築地っ子”です。私が生まれた当時は、高度成長期の真っ只中で、街中が活気にあふれていましたね。お客様も業務用卸しに来ているプロの方たちばかりで、朝6時から9時までにすべての営業が終わってしまう、そんな時代でした。

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今では、一般のお客様や観光客にも人気のスポットになりましたね。

寺出:街の様子が変わってきたのは、2000年頃からだと思います。飲食店も産直で仕入れるという流通の流れが変わりつつあるとき、24時間営業の「すしざんまい」がオープンしました。それにより、従来のプロだけでなく、違うタイプの方々も築地にいらっしゃるようになりました。

それで私たちも、朝だけじゃなく違う時間帯にもお客様に来てもらおうと、築地の楽しさを伝えるイベントを始めたのです。そのイベントが評判を呼び、多くのメディアにも紹介いただき、一般のお客様も多数いらっしゃるようになったんです。

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一般のお客様が増えるようになって、築地は変わりましたか?

寺出:築地がすごいのは、一般のお客様がドッと押し寄せるようになっても、“プロに向けて商売をしている”という芯が決してブレなかったことです。

うちの商売も70%は業務用卸しで、常に一流の料理人からの厳しい目に対応しています。プロが納得する本物を一般のお客様も買うことができる、その部分は時代が変わっても変わらない築地のモットーです。
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