ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

くさやの臭いって?……例えるならアノ臭い

みなさんは「くさや」を食べたこと、ありますか?独特で強烈なにおいがあり、食べても大丈夫なの?と思うほど強烈な臭いを発するというくさや。 真空パックされたものや、冷凍加工した後にパッケージされたものなどについては、傍目には臭わないかもしれませんが、生のくさやや、焼いている際のくさやといったら……。 その匂いは、ある人は魚の腐ったような匂いといい、ある人は食べられるものではない、アノ匂いで例える人まで。でも、くさやはたくさんの人に食べられ、むしろ人気の珍味。 そもそも、どうしてそんな臭うのか、今回は、そんなくさやの臭いお話です。

そもそもくさやがクサイ理由

くさやはなぜそんなにも臭いのでしょう?その秘密を解明してみましょう!

くさやとは

くさやは、伊豆諸島の特産品として有名な、魚の干物です。材料の魚は、ムロアジ、シイラ、トビウオ、サンマなどさまざまな種類があります。くさやという魚がいるわけではないんですよ。

内臓や血合いを取り除いて開いた魚を、塩を入れた「くさや液」に1~2日漬けてから洗い流し、天日干しにして乾燥させます。その後、数日間冷風で乾燥させて作られます。

どうもくさやが臭い理由は、この「くさや液」にあるようです。まさに臭うこの件を次でご説明します。

くさや液の中身

「くさや液」は、魚を漬ける塩水のことです。数十年~数百年もの間、塩を継ぎ足し使われ続けているのだとか。そのため、魚の成分から微生物が発生し、発酵し続けるというわけです。 あの独特な臭いはここから発生していたんですね。魚の脂と発酵によるタンパク質の旨味の混じり合いによって、よりおいしくなるそうですよ。

なんで食べるようになったのか?

くさやは江戸時代から作られ始めたと言われています。もとは、塩水に魚を漬けてから干したいわゆる一般的な干物でした。しかし、当時は塩が貴重なものだったので、塩水を使いまわしながら使っていたところ、魚の成分などが塩水に蓄積し、さらに微生物なども作用し、くさや液ができたと言われています。 くさや液は、まるでぬか床のように大事にされ、守り継がれてきました。ずっと使い続けると、旨味が薄れるので、少し休ませては新しい魚を加え、発酵を促します。

おいしくてたって……くさやの臭いは強烈!

とにかくクサイ

くさやは、くさいからくさや。その匂いは、冒頭でお伝えしたように、食べ物では例えることができないのです。例えばドブのにおい、何かが腐ったような腐敗臭、公衆トイレ、動物園、ほかにもまだまだありますが、書くのを躊躇するものばかり……。嗅いだことのない方にとっては、こんな例えをされたら食べようとは思えないですよね。

くさやを出すお店はもちろん匂います。誰かがくさやを注文すれば、すぐにそれと分かります。
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