ライター : いとう まさと

WEBライター

この記事でわかること

居酒屋で提供される「お通し」についての記事。お通しの意味や由来、突き出しや先付けとの違い、料金相場、断ることの可否、料金返金の有無などが紹介されています。また、お通しの定番メニュー、最近のトレンドも述べられています。

そもそも「お通し」とは何?

※画像はイメージです
お通しとは、席に着いてから注文の品が提供されるまでのつなぎとして出される簡単な料理のことです。

「お客さんを席にお通ししたことを調理場に伝えました」
「注文を確かに調理場へ通しました」


などの意味から「お通し」と呼ばれるようになったといわれています。「お通し」は、主に関東で使われている言葉です。

英語ではappetizer(前菜)や、cover charge(席料)と表現します。お通しは、自らが注文して来る料理ではないため、ひとことでは説明がむずかしく、注意が必要です。注文の料理の前に来るもので、自動的にチャージされることを一緒に説明しましょう。

お通しと突き出し・先付けの違い

お通しによく似た言葉に「突き出し」や「先付け」があります。これらはどのような意味を持つのでしょうか?お通しとの違いを整理するためにも、以下で詳しくご紹介します。

突き出しとは

「突き出し」は関東でいうところの「お通し」のことです。先ほど「お通し」は関東圏で使われる言葉だとご紹介しましたが、「突き出し」は関西圏で使われる言葉ということですね。

「突き出し」には、「お客さんの注文とは関係なく最初に出す」という意味があるとされています。「お通し」は注文を受けてから出すのに対し、「突き出し」は注文を受けたかどうかにかかわらず出すという違いがあるんですね。

先付けとは

「先付け」とはコース料理のうち一番はじめに出る料理(前菜)のことで、懐石料理から来ている言葉です。懐石料理ではごはん・汁物と一緒に「向付け」と呼ばれるおかずが出されますが、それよりも先に出されることから「先付け」と呼ぶようになりました。

また、より単純に「お酒と一緒に出す料理(おつまみ)」という意味でも使われます。こちらの意味で使われる場合、「お通し」や「突き出し」と大きな違いはありません。
お通し注文を受けてから料理が来るまでの“つなぎ”として出すもの
突き出し注文を受けたかどうかにかかわらず出すもの
先付けコース料理のうち一番はじめに出る料理のこと
(単純に「お酒のお供」という意味で使われることもある)

お通しの由来と現代における意味

いつからはじまった?お通しの由来

お通しは、注文の料理がくるまでお客さんを待たせないためのおもてなしの心から生まれた文化。料理ができあがるまで、お通しがあれば間をもたせることができますよね。

おなかが空いているときは、お酒だけを飲むよりお通しを一緒につまむほうが体にやさしいという気づかいも。

いつからはじまったか明確なことはわかっていませんが、昭和10年頃からの制度ではないかと推測されています。

「席代」の側面

もともとはおもてなしの心から生まれたお通し。現在では「席代」「チャージ料」の側面を持つこともあります。

海外でいうチップのような意味合いと考えられていますが、一般的なチップはサービスの対価として支払うため、料理は提供されない点に違いがあります。

お通しは無料?値段の相場は

ほとんどのお店ではお通しは無料ではなく有料で、「お通し代」が請求されることが多いです。平均相場は200~300円程度ですが、お店によってはそれよりも安かったり、1,000円を超える場合もあったりします。

また、なかにはお通しを無料で提供しているお店も。お通しでお金を取るのか、取らないのか、どのような料金設定にするのかはお店によって異なります。

お通しがいらないときは断れる?

お通しには席料が含まれることもあり、ほとんどのお店では断ることはできません。ただ、お通しには明確なルールがないため、なかには断れるケースもあります。

実際にお通しカットをお願いできるかどうかは、店によって異なります。トラブルをさけるためにも、事前の確認をおすすめしますよ。

断った・食べなかったとき料金は返ってくる?

お通し代を断ったときに料金が返ってくるかどうかも、お店によりけりです。お店によっては、料理に手をつけていなければ返金対応してくれるところもあります。

ただ、実際にどのような対応になるかはわからず、場合によってはトラブルが発生する可能性も。気になる場合は事前にお店に確認してから伺うようにするといいでしょう。

「お通し」をやめるお店も

以前は大半のお店でお通しが出されていましたが、最近は変化が生まれています。お通しの提供をやめるお店や、お通しを数種類から選べるお店などが増えているんですよ。

また、あらかじめお通しの金額が明示されたりしているお店もあるようです。

お通しのメリットとは?

お店側から見たメリット

お店側としてのメリットのひとつ目は、「お店の味を知ってもらえる」というもの。お通しは「お店の顔」であり、お店の味・コンセプトを知ってもらういい機会です。加えて器選びのセンスなどを気に入ってもらえば、お店のファンを獲得できるかもしれません。

また、「新商品を試すことができる」というメリットも。お通しとして試作品を出し、お客さんから意見をもらえれば、メニューの考案に役立てられます。

このほか、注文した料理が届くまでの待ち時間を感じにくくするという目的もあります。余りがちな食材を上手に使えば、フードロスを防ぐことにもつながりますよ。

お客側から見たメリット

お客側から見たメリットのひとつ目は「お店の味・コンセプトを知れる」ということ。前述のとおり、お通しには「お店の顔」としての側面があるため、お店の個性・レベルを知る材料になります。

また注文した料理が届くまでのあいだ、お通しを肴にしてお酒を楽しむことができるのもメリット。手持ち無沙汰になることが少なく、待ち時間を楽しく過ごしやすくなるのが利点でしょう。

お通しの定番・人気のメニュー

お通しの定番メニュー

定番・人気メニュー

  1. 枝豆
  2. たこわさ
  3. 刺身
  4. もつ煮込み
  5. ポテトサラダ
お通しの定番はお酒のお供の代表格・枝豆や、ピリ辛でお酒によく合うたこわさなど。このほか、軽くつまめる刺身や、お店の味を確認でき、満足感の高いもつ煮込みなども人気です。まろやかなポテトサラダは女性にも人気が高いお通しですよ。

お店によってはこんなメニューも!

お店によってはお通しにもこだわりを持っているところもあります。旬の食材を取り入れつつ季節感を出し、月替わりのお通しを用意しているお店は少なくありません。

旬の野菜と魚介を炭火であぶって出すお店や、「すっぽんの茶碗蒸し」や「えびのアーモンド揚げ」など、一風変わったこだわりの品を出すお店も。女性に人気のイタリアンのお店では、泡のソースがのったおしゃれなカルパッチョを出すこともあるそうです。
▼人気のお通しメニューはこちら

お通しは事前に確認してトラブルを防ごう

お店の味を知ることのできる「お通し」は、楽しみにしている方も多いはず。一方では、食べられないものだったらどうしよう……と不安な方もいらっしゃいますよね。事前にお通しカットについて確認して、心地よく食事を楽しみましょう。

自宅でお酒を楽しむときは、お通し風メニューを作って居酒屋気分を味わうのもおすすめですよ。自分好みのレシピで、お酒をより豊かに楽しめるようにしましょう。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ