ライター : peridot99

和歌山紀南出身ライター

「ねこまたぎ」北海道では?

「ねこまたぎ」と聞いてどんな意味を想像しますか。「ねこがまたぐ?」文字だけ見ると、こうなりますよね。「ねこまたぎ」という言葉の意味を調べてみると、「魚が好きな猫でも食べずにまたいで通るほど味の悪い魚」あるいは「猫が食べるところがないほどキレイに身を食べた後の魚の骨」を表しています。 一方は「味の悪い魚」、もう一方では「おいしい魚」と真逆の意味ですが、どちらが本当なのでしょう。地域によっても意味が違ってくるようです。
例えば、北海道で「ねこまたぎ」は、「ほっちゃれ」を指しているとか。「ほっちゃれ」とは、産卵時期前後の鮭のことです。鮭は海に出て、また川に戻ってくる習性があります。川に戻ってきた鮭たちは、色は褪せ、鱗や脂も落ち、食べてもおいしくありません。そこで、「そんな魚を放ってやれ」といった意味から産卵時期前後の鮭のことを「ねこまたぎ」と呼ぶようになったそうです。

代表的な「ねこまたぎ」は「ヒイラギ」

「猫でも食べない魚」という意味の代表的なものは「ヒイラギ」です。ヒイラギは小骨が多く食べるのには向かないため、そう呼ばれているそうです。また「ねこまたぎ」のほかに「ねこ泣かせ」とも呼ばれていたとか。ヒイラギの他に、昔はイワシやサバも「ねこまたぎ」と呼ばれていました。

関西圏は北海道とは正反対

北海道で「ねこまたぎ」は「味の悪い魚」を指します。しかし関西圏ではその正反対「猫が口にできる部分がないくらい、身のない魚の骨」を意味しているのだそう。 骨だけを残してきれいに魚を食べるのは、簡単なようで意外とむずかしいですよね。魚をきれいに食べるには、箸の使い方や食べる順番がポイントだそうです。北海道と関西圏でどうして正反対の意味になったのでしょう。そこのところはよく分かっていません。

マグロのトロ「ねこまたぎ」説

日本人が一番好きなお寿司のネタは「マグロ」ではないでしょうか。その中でも「大トロ」や「中トロ」は、高級なお寿司屋さんで食べると、一貫びっくりするような値段です。どうして「トロ」と呼ばれているのかご存知でしょうか。その理由は、「とてもやわらかくて、口に入れたときに『とろっ』と、とろけるような感じがする」からだそうです。 現在では高級な魚として定着している「マグロ」ですが、アジやサバよりも価値が低く、江戸時代お刺身で食べられていたのは赤身だけで、赤身に比べてトロは腐りやすく、味が落ちるため、「ねこまたぎ」と呼ばれていたそうです。

江戸時代のトロは捨てられていた

江戸時代「トロ」は醤油漬けなどの下味がつけられていました。これは、元々は防腐のための処理だったそうです。しかし、「トロ」は脂分が多いため醤油が染み込みにくく、捨てられていたとか。今考えるともったいないですね。 相模湾で捕れるマグロは、江戸の魚河岸に運ばれる間に鮮度が落ちてしまいます。特に脂身である「トロ」の部分は、身崩れや臭みがあり食べられなかったそうです。その状態を「だんだら」や「ズルズル」と呼び、畑の肥料にされていたそうです。生の魚は鮮度が命ですからね。魚のおいしさをキープする方法が存在しなかった時代では、やむを得ないことかもしれません。
「トロ」が食べられるようになったのは、昭和に入ってからです。そのころになると、船の性能もよくなり、遠くで捕った魚も早く港に持ち帰れるようになったため、新鮮なマグロが出回り始めたからだそうです。今では、マグロを捕獲するとすぐにマイナス60度で冷凍保存ができるようになりました。なんと、2年間も新鮮なままで保存することができるそうですよ。すごい進歩ですよね。

「ねこまたぎ」と呼ばれている魚「ウグイ」

河川の上流域から下流域に生息している「ウグイ」もまた、「ねこまたぎ」と呼ばれている魚のひとつです。冬から産卵期の3~6月にかけては、唐揚げをお酢につけて食べたり、みそ田楽にして食べると美味だとか。産卵期のウグイを「アカウオ」や「サクラウグイ」と呼ぶこともあるそうです。 しかし、夏のウグイは味が落ちるので「ネコマタギ」といわれています。「ウグイ」は決して、まずい魚ではありません。野菜にも旬があるように、魚にもおいしく食べられる時期があるのですね。
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