ライター : 松 宏彰(カレー細胞)

カレーキュレーター

港町・神戸には、おすすめのカレーがたくさん

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

日本唯一のジャイナ教寺院である「バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院」
今でこそ関西のカレーといえば、大阪のスパイスカレーが思い浮かびますが、実はもともと関西でカレーの街といえば神戸だったんです。

その理由は大きく3つ。ひとつは「洋食文化」。ハイカラな西洋文化が根付いた港町 神戸には老舗洋食店がたくさんあり、そのなかでカレー文化も磨き抜かれてきたわけです。

2つ目は「華僑文化」。神戸には香港や東南アジアの中華系「華僑」が多く住んでおり、元町中華街をはじめ、カレーが名物の中華料理店もたくさん。タイやベトナム、マレーシアなどの華僑系レストランだってたくさんあるんです。

そして3つ目は「印僑文化」。実は神戸は日本最古のインディアンタウンなんです。神戸に住み真珠や繊維貿易を営むインド人たちは、華僑に対し「印僑」と呼ばれてきました。北野エリアには日本唯一のジャイナ教寺院やイスラム教のモスクもあり、現地式のインド周辺国料理のお店がたくさん。日本全国にスパイスを卸している「神戸スパイス」もこのエリアにありますね。

洋食文化・華僑文化・印僑文化、この3つの軸から広がった神戸の多彩なカレー文化。コスモポリタン気分で食べ歩いてみませんか?

1. 神戸が誇るリアルインド「クスム本場家庭料理」

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

神戸北野、坂の中腹に「異人プラザ」というすごい名前の建物があります。そこにインド食材店とともに入っているのが「クスム本場家庭料理」。

「ここが一番インド」と日本中のインド料理ファンから熱い支持を得ているお店です。いや、お店なのかどうかも一瞬わからない雰囲気。以前は向かいのマンションの一室で営業していたのですが建物火災で全焼し、こちらに移ってきました。

食材店を営なむテワリさんの奥様クスムさんによる、インドの日常食が提供されます。バターチキンやナンといったレストランインド料理とは全然違う、家庭の味と雰囲気を楽しんでみてください。

ランチ(A)

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

1,000円(税込)
豆カレーに加え日替わりカレー2種、チャパティ2枚、ライス、サラダ、サモサ(インドの軽食)2個、ドリンクがついたセット。以前はメニューがなく、席へ座ったら自動的にこちらが出てきました。

インドの家庭には高価なタンドール窯はないため、鉄板で焼く薄いパンであるチャパティを食べるんです。カレーもクリーミーなものでなく油控えめサラサラの日常仕様。

そして特筆すべきはサモサ。固めで分厚いパイのような生地の中にホクホクのポテトマサラが入っており、フレッシュなミントチャトニをつけていただきます。このサモサが圧倒的においしいんです!
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2. 神戸でビリヤニ&ハリーム「アリズ ハラールキッチン」

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神戸北野モスクの向かいにある「NAAN INN(ナーン・イン)」で、参拝帰りのムスリム客へビリヤニを提供していた名シェフ アリさんが独立開業したお店が「Ali's Halal Kitchen(アリズ ハラール キッチン)」。

神戸らしい洗練された内装と、家族経営ならではのアットホームさが魅力の小さなお店です。

昨今はやり始めているビリヤニも、神戸でいただくなら「アリズ ハラールキッチン」と、「ナーン・イン」がおすすめですよ。

【土日スペシャル】ハリームセット

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1,300円(税込)
野菜や豆、大麦小麦と肉を、トロットロになるまで煮込んだムスリムのシチュー料理。断食明けに、消化がよく栄養のあるこのハリームをいただくのがムスリムの習慣です。

この日のハリームに用いられていた肉はチキン。ドロッと粘りある濃厚な食感のなかに、筋状に残った鶏肉が認識できます。

手間と時間がかかるため、日本人だけを相手にしているお店では決して扱えないメニュー、一度食べれば虜になること間違いなし!
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3. 食べると体が軽くなる!? 奇跡のスリランカ料理「カラピンチャ」

Photo by 松 宏彰(カレー細胞)

神戸のスリランカ料理といえば、まずここ。店主の濱田さんはスリランカでひたすらココナッツを割るところから修業開始、「未来のスリランカカレー店 カラピンチャ」を名乗りながら開業を模索。

水道橋商店街でのランチ間借り営業を経て、2013年12月晴れて実店舗「Karapincha(カラピンチャ)」を開業しました。

現地仕込みの料理は、自らスパイスを仕入れ販売するほどのこだわりから生まれています。なのに店内はとても穏やか。濱田さんご夫妻のやわらかなお人柄もあり、もっとも現地スリランカの風を感じるお店なのに、もっとも日本的な温かさを感じるお店なのです。
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